あんな鳥や、こんな鳥も?世界のおもしろい国鳥あれこれをご紹介
- 国鳥の選定基準とは?
- 国家や学術機関が選定するもの
- 歴史的に見て、国民が広く認知しているもの
- これは勇ましい!愛国心を象徴する国鳥たち
- オジロワシ【カザフスタン、キルギス、カザフスタンなど】
- ハクトウワシ【アメリカ】
- シロハヤブサ【アイスランド】
- アンデスコンドル【エクアドル、コロンビア】
- これは美しい!見た目がカラフルな国鳥たち
- ケツァール【グアテマラ】
- ホオジロエボシドリ(エリトリア)
- ゴクラクチョウ【パプアニューギニア】
- そんな生き方もあったの?飛べない国鳥たち
- カグー【ニューカレドニア】
- キーウィ【ニュージーランド】
- ドードー【モーリシャス】
- なぜ鳥が国のシンボルとして選ばれたのか?
この記事の目次
国鳥の選定基準とは?
国鳥とは国家を象徴するほどの大事な鳥類のことですから、まず基本的なこととして、どのような基準で国鳥が選定されているのか?少しだけ見ていきましょう。
国家や学術機関が選定するもの
鳥類保護の観点から、国家や学術機関が国鳥を選定し、広く周知と保護に努める場合があります。例えばアメリカですと1782年にアメリカ議会においてハクトウワシが選定されていますし、日本の場合には1947年に日本鳥類学会でキジが選定されていますね。
また世界的には1960年に東京で開催された第12回国際鳥類保護会議での決議によって、各国で正式に国鳥が定められることになりました。
ただ国民の意見を反映することなく公的機関が選定しているため、国民間できちんと認知されているかどうかはまた別の話。日本の国鳥がトキだと思っている方も多いのでは?日本の国鳥はキジなのです。
歴史的に見て、国民が広く認知しているもの
例えば鳥に関する伝説や伝承があったり、その国の文化面や国民との関わりによって、特に選定などはされずに国民間において国鳥として認識されている場合があります。
日本のキジに関しても、昔話の「桃太郎」に登場しますし、「キジも鳴かずば撃たれまいに」という民話にも出てきますね。また古くから食材としても貴重なたんぱく源として日本人の生活と密接に繋がっていました。
海外へ目を向ければ、かつてモーリシャスに生息していてとっくに絶滅してしまったドードーという鳥が国鳥になっていますし、ニュージーランドでは飛べない鳥キーウィの個性的な姿を、個性的な自分たちと重ね合わせて親しんでいますね。
鳥に対して何らかの親しみを持っているという点で、国民間での認識が高いということになります。
これは勇ましい!愛国心を象徴する国鳥たち
鳥の中でも獰猛で強さの象徴とされる猛禽類たち。そんな鳥たちを国鳥としている国々があります。まさに愛国心と国としての強さを内外にアピールしているかのようですね。
オジロワシ【カザフスタン、キルギス、カザフスタンなど】
Tokumi Ohsaka – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
オジロワシを国鳥にしている国は非常に多く、中央アジアのカスピ海~黒海沿岸にかけて集中しているのが特徴です。オジロワシの繁殖地は主にロシアで、冬になると越冬のために暖かいインド洋沿岸や南シナ海沿岸にやって来ます。
しかしそれ以外の期間は、カスピ海周辺を周年生息地としていて、この地域の留鳥(年間を通じて生息している鳥の意味)となっているのです。
ですからこの地域の人々にとっては非常になじみ深く、大空を雄飛する勇ましい姿を日頃から目にしていることになりますね。
オジロワシはその名の通り白い尾羽が特徴で、全身褐色であるものの頭から胸にかけては淡い色をしています。同じ猛禽類のオオワシに次ぐ大きさで、翼を広げると2メートルもの大きさになるのです。
また群れを作ることなく単独で行動することが多いのも特徴で、湖や川などの生息している魚類や小型の哺乳類などを捕食しますね。
ちなみに日本の北海道や北東北にも飛来することがたびたびあり、繁殖のために年間700~900羽もやって来るそうです。
ハクトウワシ【アメリカ】
Dan Pancamo – originally posted to Flickr as Baytown Texas Bald Eagles Fall 2010 by Dan Pancamo, CC 表示-継承 2.0, リンクによる
アメリカの国章としてもあしらわれているハクトウワシ。まさに強さと愛国心の象徴だといえるでしょうか。ハクトウワシは「白頭鷲」と書きますので文字通り頭部の羽毛が白いことが特徴です。しかし英名は「Bald Eagle(頭のはげたワシ)」となっているのが面白いところ。
しかし大事にされているかに思えるハクトウワシですが、かつては絶滅の危機もあったそう。スポーツハンティングの獲物や害鳥として捕獲され続け、その数を激減させたのです。
さらに1960年代に農薬として大量に使用されたDDTがそれに拍車を掛けました。ようやく1972年になってDDTの使用が制限され、保護活動が進んだために生息数は回復傾向に向かいました。
自分で魚類や哺乳類を捕獲して食べることもありますが、他の動物からエサを横取りすることもたびたびあります。アメリカ合衆国建国の父ともいわれた政治家ベンジャミン・フランクリンは、ハクトウワシが国鳥に認定されることに最後まで反対していたそうです。
「ハクトウワシは他の鳥の獲物を横取りする!そんな鳥が合衆国の国鳥であってはならない。国鳥にするべきなのは七面鳥こそがふさわしい!」
結局、北アメリカにしか生息しないハクトウワシが国鳥となったわけですが、ワシは元々ヨーロッパにおいて王国などの国章や紋章として扱われてきました。新しい民主主義の国にそんな君主制を象徴するものなど必要ない。という意見が多かったそうですね。
ちなみにハクトウワシは生涯をつがいで過ごし、その行動範囲は北アメリカ大陸を縦断するほどの広さです。まさに「勇気と慈愛」に満ちた国鳥にふさわしい鳥なのではないでしょうか。
シロハヤブサ【アイスランド】
アイスランドを含む北極圏では、まさにこの鳥!と呼べるほどシンボル的な存在です。北極圏ツアーなどでも、この鳥を目当てにやってくる観光客もいらっしゃいますし、その姿の美しさは神々しさを覚えるほどですね。
ハヤブサの仲間で最大級の大きさとなるわけですが、鳥類最高速度を誇るそのスピードは、新幹線のぞみを軽く追い越すほど。そして上空から急降下で他の鳥類や哺乳類を捕食するのです。
2009年にグリーンランドで最も古い猛禽類の巣が発見されましたが、なんと2500年以上も前のもの。シロハヤブサの巣だそうですね。何十代、何百代にわたって住み続けているものです。築2500年の家とは、いやはやすごいものですよね。