あんな鳥や、こんな鳥も?世界のおもしろい国鳥あれこれをご紹介
カグー【ニューカレドニア】
Glen Fergus – Own work. Rivière Bleue National Park, New Caledonia, CC 表示-継承 2.5, リンクによる
カグーは求愛行動や威嚇行動などで大きく羽根を広げることがあり、さも俊敏に飛べそうなイメージのある鳥です。しかし翼は大きくとも飛ぶことはできません。なぜならそのように進化したからです。
ニューカレドニアはカグーたちにとって天敵となる動物がおらず、しかも食性は昆虫やミミズ。まったく飛ぶ必要がありません。そのため地上で暮らすことに特化したのです。カグーが足元の土をドンドン!と踏みしめると、その振動で虫の居所を察知します。そして長い嘴で獲物を捕らえるのですね。
まさにカグーにとって楽園だったニューカレドニアに人間たちが入ってきたことによって、彼らの生活は激変してしまいました。森林伐採による環境破壊や、家畜の豚やガードドッグたちに捕食されてしまうことで大きくその数を減らし、絶滅の危機に瀕したのです。
近年の保護活動の成果によって、その生息数は回復傾向にありますが、それでもニューカレドニア全体で1000羽程度に過ぎず、今後の繁殖が望まれるところですね。
キーウィ【ニュージーランド】
Glen Fergus – Own work, Stewart Island, New Zealand, CC 表示-継承 2.5, リンクによる
ニュージーランドのおけるキーウィの存在感は抜群です。ニュージーランド人たちは自分たちのことを総称して「キーウィ」と自称していますし、街を歩けば、あちこちの看板にキーウィの姿が描かれています。
ニュージーランドもかつては天敵がいないためにキーウィがたくさん生息していましたが、人間と共に入ってきた哺乳類たちに捕食されて数を大きく減らすことになりました。飛んで逃げることもできませんし、トコトコ歩くだけなので格好の獲物となったわけですね。
そのため近年ではニュージーランド全土で、固有種であるキーウィたちを保護し、森へ還すためのキャンペーンが繰り広げられています。また各地の野生動物公園などでは気軽にキーウィたちの姿を見ることができますね。
キウイフルーツの語源も、その丸っこいフォルムからキーウィを連想させたものだといわれていますし、ニュージーランド人たちが大きく誇りを持っている鳥であることは間違いないでしょう。
ドードー【モーリシャス】
Frederick William Frohawk (16 July 1861 – 10 December 1946), an English zoological artist – images.library.amnh.org – tumblr.amnh.org – bay174.mail.live.com, パブリック・ドメイン, リンクによる
アフリカ東岸の沖合に浮かぶマダガスカル島から、さらに東の沖合にあるモーリシャス。この島もまたドードーたちの楽園でした。他の飛べない鳥たちと同様に、入植してきたヨーロッパ人たちによって迫害され、保護される暇もなく絶滅してしまいました。
確かに人間が持ち込んだ犬やサルなどの捕食動物に起因するところも大きいのですが、何よりドードーたちの絶滅の決定打になったのは、砂糖作りのためのプランテーションだったのです。
広大な森林が切り拓かれ、サトウキビ畑が増加していくと、ドードーたちはどんどん森の奥へと追いやられていきました。また食料のために人間に捕獲されることも多く、その卵もまた容易に奪われてしまったため、ついに繁殖の機会を失ってしまったのです。
17世紀に絶滅してしまったドードーですが、一部では「もしかしたら復活させることができるのでは?」と話題になっています。
実は初期のヨーロッパ探検家たちが採集したドードーの標本は、現在でもイギリスのウェールズ国立博物館に保存されていて、皮膚や筋肉などの軟組織が残っているそうです。
もしゲノム(遺伝情報)をDNAマッピングできれば、近似種からドードーを復活させられる可能性があり、同じハト科のミノバトが候補として挙がっていますね。
なぜ鳥が国のシンボルとして選ばれたのか?
ちなみに鳥類は世界で最も数が多い脊椎動物だとされています。ということは人間よりも頻繁に目にしますし、どこにでも生息しているということ。人々の生活の中に最も溶け込んでいるという意味にもなりますよね。また国や地域によってその種類や分布も千差万別。非常に差別化が図りやすいといえるでしょう。国のシンボルに鳥が選ばれたのは、むしろ必然だったのではないでしょうか。
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