あんな鳥や、こんな鳥も?世界のおもしろい国鳥あれこれをご紹介
アンデスコンドル【エクアドル、コロンビア】
Abehm-de. – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
世界最大級の大きさのアンデスコンドルを含むコンドル科は、実はタカの仲間なのです。悠々と空を飛び回り、王者の風格すら感じる大型の鳥ですね。
コーヒーの有名な生産地コロンビアでは、「アンデスコンドル」という銘柄のコーヒー豆も存在しているほどで、国民から広く親しまれているといえますね。
またエクアドルのアンティサナ生態保護区ではアンデスコンドルが広く生息しています。とはいえ世界的に絶滅危惧種に指定されているため、アンデスコンドルをバードウォッチングしようとしても出会えるかどうか運次第なのです。
アンデスコンドルは、ほとんど羽ばたくことなく風に乗って滑空することが得意。そのためアンデス山地のような山岳地帯に生息しています。しかし一生が50年と長いにもかかわらず繁殖期が非常に短く、一生つがいで過ごすために繁殖能力が極端に低いといえるでしょう。
ちなみにハクトウワシと違って頭部には被毛がまったくありません。「掃除屋」とあだ名される彼らは獲物の死肉を漁る際、頭を突っ込んでついばみます。もし血液や腐敗液が被毛に浸み込むと不衛生となるため、進化の過程で頭部の被毛が無くなったのです。
これは美しい!見た目がカラフルな国鳥たち
どちらかというと、北半球に生息している国鳥たちは「地味」。南半球に生息している国鳥たちは見た目が「カラフル」な印象があります。次に南半球諸国を代表する派手でカラフルな国鳥をご紹介していきましょう。
ケツァール【グアテマラ】
D.Hatcher – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
グアテマラの国旗デザインにも描かれている美しい鳥で、「カザリキヌバネドリ」とも呼ばれています。ケツァールは世界で最も美しい鳥とされていて、手塚治虫原作の「火の鳥」のモデルになったといわれていますね。
かつて繁栄していたアステカ文明で公用語だったナワトル語では「大きく輝いた尾羽」という意味があり、文字通り長く真っすぐと伸びたグリーンの尾羽はケツァールの美しさを象徴しているようです。
いっぽうでアステカの神ケツァルコアトルが発祥だという伝承もあります。たしかに「ケツァル」は「鳥」という意味もありますから、あながち間違いでもなさそうです。
かつてアステカ人たちは、神々からの恩恵を受けるために人間を殺戮し、生贄にすることをならわしとしていました。
ところがアステカの農耕の神ケツァルコアトルは、そんなアステカ人たちの風習をやめさせようとしました。ところが生贄を好むもう一人の神テスカトリポカの恨みを買ってしまい、アステカの地を追い出されてしまったのです。
その後、ケツァルコアトルは自らの宮殿を焼き、自らがすすんで生贄となりました。火葬された灰は何羽もの美しい鳥となって大空へ羽ばたいていきました。
灰から生まれた美しい鳥がケツァールということなのですが、歴史的な逸話をモチーフとした伝承だともされていますね。
またケツァールは「捕まれば死ぬ」とされているため、自由の象徴としてイメージされているそうです。
ホオジロエボシドリ(エリトリア)
Olaf Oliviero Riemer, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
アフリカ大陸の東部にあって、紅海に面した小さな国。それがエリトリアです。大きさは北海道と九州を合わせたほどなのでアフリカの中でも小国といえるでしょうか。
ホオジロエボシドリは、目の下の頬にあたる部分が白く、まるで烏帽子のような冠を被っているように見えることから付けられた名前ですが、英語名でも「White-cheeked Turaco」。「白い頬のエボシドリ」という意味になりますね。
エリトリアだけでなく近隣のエチオピアやスーダンなどでも見られる鳥で、グリーン、ブルー、オレンジのコントラストが美しく映えますね。
ホオジロエボシドリは森林や過疎林などに住みますが、エリトリアの中でたくさん見られるのが「フィルフィルの森」という場所。アフリカ最北限の熱帯雨林となり、地元の人々にとっては神秘的な場とされています。
エボシドリ科はアフリカにしか生息していない鳥ですから、このホオジロエボシドリを含めてアフリカを代表する鳥だといえるかも知れませんね。
ゴクラクチョウ【パプアニューギニア】
chee.hong – originally posted to Flickr as KL Bird Park, CC 表示 2.0, リンクによる
ゴクラクチョウとは「フウチョウ」とも呼ばれていて、実はスズメの仲間なのです。多くのフウチョウ科は黒っぽい風貌をしていて、どちらかといえばカラスのような印象。
しかしパプアニューギニアに生息しているゴクラクチョウは、非常に鮮やかでカラフルな飾り羽をしています。なぜならニューギニアの地はゴクラクチョウにとって快適そのものの土地であり、天敵が皆無の状態。だから身を守るために、あえて擬態しなくても良いからなのです。
もっと生存競争の厳しい環境ではこうはなりません。また一年中熱帯雨林に囲まれた環境で、餌になる昆虫も豊富だし、果実も実ります。そういった意味では、世界で一番楽に暮らしている鳥だといえるでしょう。
そして地元パプアニューギニアの人々は、そんなゴクラクチョウに対して崇高な神に対するかのように接しているのです。人類学者ギリアン・ギリソンはこう言っていますね。
「ニューギニアの人々にとって、ゴクラクチョウの羽根は空を舞う人間の魂であり、生命誕生の象徴や世界の起源でもあるのだ。」
美しく着飾って求愛のダンスをするゴクラクチョウは、人々にとって憧れであり、まさに生命の象徴として大事にされてきたのでしょう。
そんな生き方もあったの?飛べない国鳥たち
空を飛ぶことができない鳥はたくさんいます。身近なところではニワトリがそうですし、ペンギンだってそう。彼らは空を飛ぶことよりも、様々な理由で地上で生きや水中で抜くことを選んだのです。そんな国鳥たちをご紹介していきましょう。