「プランテーション」とは?現地の安価な労働力を利用した大規模農園を元予備校講師がわかりやすく解説
プランテーション成立の歴史と植民地諸国の独立
16世紀、ヨーロッパ諸国は科学技術を発達させ、大航海時代を迎えます。特にイギリスやスペインは広大な農地を耕作させるため、アフリカから多くの黒人を奴隷として移住させました。また、19世紀になるとイギリス、フランスなどヨーロッパ諸国が東南アジア、アフリカを植民地化します。20世紀中ごろになると、植民地は相次いで独立しました。
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ヨーロッパ人による南北アメリカ征服と奴隷制大農園
15世紀末、コロンブスが”新大陸”に到達し、ヨーロッパ人が南北アメリカに進出し始めました。現在のカナダやアメリカにはイギリス、フランスが、ブラジルにはポルトガル、メキシコ以南のラテンアメリカにはスペインが進出します。
南北アメリカに進出したヨーロッパ諸国は原住民のインディアンやインディオたちから土地を奪い、商品作物を栽培する大規模農園をつくりました。これが、プランテーションです。
プランテーションの所有者である農園主(主にイベリア半島から移住したペニンスラールや現地生まれの白人であるクリオーリョ)は、アフリカから運ばれる奴隷を購入。黒人奴隷達を農園の労働力として働かせます。農園主の中には、体格の良い奴隷同士に子供を作らせるものもいました。
アメリカ南部のプランテーションでは綿花の栽培、カリブ海ではさとうきびやコーヒーの栽培がおこなわれ、これらの作物は消費地であるヨーロッパに輸送されました。
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欧米列強による東南アジア、アフリカの植民地化
19世紀はいると、欧米諸国による海外進出にさらに拍車がかかりました。
イギリスは北アフリカのエジプトとアフリカ南端のケープ植民地(のちの南アフリカ)を結ぶ地域を植民地化するアフリカ縦断政策を実行。フランスはアフリカ北西部のモロッコ・サハラ方面から南東のマダガスカルを結ぶアフリカ横断政策を実行します。
他のヨーロッパ諸国もアフリカ各地を次々と植民地としました。また、ヨーロッパ諸国は南アジア・東南アジア方面にも進出します。
イギリスはインド、ビルマ、スリランカを植民地化。フランスは現在のベトナム・ラオス・カンボジアにあたるフランス領インドシナを形成。オランダは現在のインドネシアを、スペインは現在のフィリピンをそれぞれ植民地化しました。
ヨーロッパ諸国の資本は植民地でプランテーションを展開。自国の利益を最優先し、原料となる商品作物生産を行わせました。
植民地諸国の独立
1939年に第二次世界大戦が勃発すると、ヨーロッパ諸国は植民地経営どころではなくなりました。特に、アジアでは日本が東南アジア各地を占領することでヨーロッパ諸国の植民地経営に大きな打撃を与えます。
第二次世界大戦後、植民地とされた各国では民族主義が台頭。ヨーロッパ諸国からの独立運動が活発化します。南アジアや東南アジアでは大戦終結直後から活発な民族運動がおき、次々と植民地が独立しました。
独立に強い抵抗を示したフランスもインドシナ戦争の敗北を受け、ベトナムの独立を承認します。
アフリカではガーナのエンクルマを中心とした独立運動がおきました。ガーナの独立に端を発し、アフリカでも次々と植民地が独立。1960年には一気に17カ国が独立したため、この年をアフリカの年と呼びます。
アジア・アフリカ諸国の独立に伴いプランテーションの多くが国有化、あるいは分割・小規模化されました。
プランテーションの代表的作物
プランテーションは欧米資本によってはじめられた企業的な農業です。熱帯や亜熱帯性の作物を単一で栽培することでコストを下げました。プランテーションで栽培される作物は現代の私たちの生活にも溶け込んでいるものばかりです。ここでは、代表的なプランテーション作物としてさとうきび、コーヒー豆、カカオ豆、茶について取り上げてみましょう。
さとうきび
さとうきびはインドや東南アジアが原産と考えられるイネ科の植物です。さとうきびはテンサイと並ぶ砂糖の原料作物として重要視されました。さとうきびの茎のしぼり汁から砂糖を抽出します。さとうきびの搾りかすはパルプの原料や家畜の飼料としても利用可能。
さとうきび生育の気候条件は年平均20度以上で、年降水量1000ミリ以上という高温多湿の環境が必要です。かつ、収穫時期に乾燥していなければなりません。この条件を満たすのは熱帯の中でも熱帯モンスーン地域とサバナ地域だけです。
さとうきびの主要生産国はブラジルとインド。ともに、熱帯モンスーン地域とサバナ地域を有する国ですね。日本では南西諸島、特に奄美大島や沖縄で栽培され、沖縄ではウージとよばれます。島唄の歌詞にも出てくるので耳にしたことがあるかもしれませんね。
コーヒー豆
コーヒー豆は、コーヒーノキの種子で中でもアラビカ種のコーヒーノキの種子のことをさします。原産地はエチオピアのカッファ地方。カッファ地方の名がコーヒーの語源とされます。
コーヒーノキの種子を乾燥・焙煎して飲用として用いました。生育環境は年平均気温16度から22度、年降水量が1000から3000ミリとされます。収穫期に乾燥することや霜が降りない地域という条件もあり、栽培適地は限定されますね。
コーヒーの栽培に適した地域をコーヒーベルトといいます。コーヒーベルトは赤道周辺で気温差が大きく、排水良好な高原などに限定されました。現在の主要生産国はブラジル、ベトナム、インドネシア、コロンビアなどでいずれも赤道付近で高地を有する国です。