徹底した省エネ生活【ナマケモノ】
人間が勝手につけたネーミングだから「ナマケモノ」と呼ばれていますが、実は徹底的な省エネ生活を送るために進化した動物なのです。
ナマケモノの祖先はメガテリウムといい、身長10メートル近い巨大哺乳類でした。ところが体が大きければ大きいほど代謝は活発となり、多くの食べ物を必要とします。ひとたび気候に変動があれば、それは即座に生死に直結するわけで、メガテリウムはそうやって滅んでいきました。
しかし、ナマケモノの系統は違いました。危険の少ない樹上に登り、極限まで代謝を減らして無駄にエネルギーを消費しないという道を選んだのです。哺乳類では珍しく体温を自由に変えられる変温動物でもあり、一日たった8グラムの食べ物でも生きていけるその徹底ぶりは、まさに究極の進化形なのかも知れませんね。
まさに驚きの生命力~その他の生物編~
これまでに挙げてきた以外にも、驚くべき生物がまだまだたくさんいます。ここからは人智を超えた生物たちの生命力を見ていきましょう。
宇宙空間でも生き延びられる驚異の生物【クマムシ】
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クマムシは、水分がある場所で生活する小さな生物ですが、実は驚くべき生命力を誇っています。水分がないカラカラの環境に置かれると、体の代謝をほぼゼロにまで抑え、機能を止めて休眠状態に入るのです。そして、体に水分が入ることによって復活するのですね。
また、クマムシは非常に高い耐性を持つことでも知られており、沸騰したお湯で茹でられても、絶対零度でカチコチに凍らされても死ぬことはありません。
さらには真空の宇宙空間に曝露されて、危険なX線やガンマ線、紫外線などを大量に浴びても死にません。おそらく地球上の生命体で一番最後に生き残るのは、クマムシだろうとも言われていますね。それほど不死身で完全無比の生物だということなのでしょう。
カタツムリの行動を意のままに操つる生物【ロイコクロリディウム】
ロイコクロリディウムはカタツムリに寄生する寄生虫の一種で、その世代サイクルは鳥類とカタツムリの間を行ったり来たりし、両者を利用していると表現しても良いでしょう。
寄生したロイコクロリディウムは、カタツムリの触覚に擬態し、その視界を奪って意のままに操ります。カタツムリの意に反して、白昼堂々と行動させ、鳥たちの目に付くように仕向けるのです。
一方、カタツムリが鳥に食べられると、待ってましたとばかりに腸の中で卵を産み付けます。鳥がフンをすれば、カタツムリがまたそれを食べて世代交代できるという仕組みなのです。
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切っても切っても再生する不死身の体【プラナリア】
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優生学の実験材料としても有名なプラナリアですが、とにかく切っても切っても断面から再生します。頭に切れ込みを3つ入れれば頭が3つになるし、1匹のプラナリアを100もの細片に切っても100匹のプラナリアが再生するのです。
自己増殖という意味では、未来永劫、絶対に死なない生物だということになりますね。それと、小さな小さな脳があり、自己再生の際に脳までも元通りにできるとのこと。研究者たちの間では、将来的なIPS細胞への活用など、大きな期待が掛かっているほどです。
また、環境の変化に応じて再生パターンも違ってくるようで、宇宙へ持っていったプラナリアを切断してみると、なんと両端が頭になってしまったとか。極性を狂わせる変化があったということかも知れません。
地球は進化した動物の楽園
自然淘汰で絶滅した生物もいれば、人間のように究極の進化を遂げて繁栄している存在もいます。現実的に考えて、現在すべての生物は、まだ進化の過程の中にいると表現してもいいでしょう。これから先、天変地異や気候変動などによって地球の環境が劇的に変化した時に、いち早くその環境に適応した者だけが生き残れるのです。
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