ソビエト連邦ヨーロッパの歴史ロシア

世界の破滅のチキンレースであった冷戦をヤルタ会談からマルタ会談までわかりやすく解説

朝鮮を分断した朝鮮戦争

北緯36度線で分断されていました。そして1948年にアメリカの占領地域に大韓民国(韓国)が、ソ連の占領地域に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が誕生します。

こうして二つに分断された朝鮮半島。しかし1950年に大韓民国を解放するべく北朝鮮のリーダーである金日成がソ連の許可を受けていきなり韓国に侵攻し、朝鮮戦争が勃発してしまいます。最初の頃は北朝鮮軍の猛攻のお陰で釜山近くまで韓国を追い詰めることに成功しましたが、アメリカが仁川に上陸し、本格的に軍事支援を開始してさらに中国も北朝鮮に対して軍事支援を開始すると朝鮮半島は見事にアメリカと中国・ソ連が代理で戦争してるかのような状態となり、戦争は泥沼化していきました。そしてもう進展がなくなった1953年に北緯36度線に近い板門店で停戦協定が結ばれると朝鮮戦争は停戦。しかし、まだ戦争状態は継続しており、今に至るまで根深い対立状態になっています。

インドシナ半島の社会主義国化とベトナム戦争

朝鮮戦争がアメリカとソ連の代理戦争となっていったと紹介しましたが、このような戦争の状態は朝鮮戦争だけではなくベトナムでの戦争でもこうなっていました。

第二次世界大戦が終結して日本が撤退するとインドシナではホーチミンを中心とする独立勢力がこの当時インドシナ半島を支配していたフランスに対して独立を求める運動を行い、さらには独立戦争まで発展していきます。結局、この第一次インドシナ戦争と呼ばれる戦争はホーチミンら独立勢力の勝利に終わり、ベトナムはなんとか独立を果たしました。しかし、ここでアメリカのちょっかいが入ってしまい今度は北緯17度線を境に北側にホーチミンら独立勢力の共産党政権の国を、南側にアメリカやフランスの影響が強い国をそれぞれ建国してこちらも朝鮮半島と同じく分断国家となってしまいます。

しかし、ホーチミンがこの分断国家のままでは真の独立を手に入れたとは思っていなく、南ベトナムを解放するためにベトコンを結成。ベトナム戦争が始まりこちらも代理戦争の様子を見せていきます。この戦いの結果はアメリカで反戦ムードの兆しが見えたことや北ベトナムのゲリラ戦法にアメリカが苦しんだこともあり北ベトナムが南ベトナムの首都であるサイゴンを陥落させたことによって北ベトナムの勝利で終わりました。

ちなみにアメリカが代理戦争であれ戦争に負けたことはこのベトナム戦争が初めてとされています。

冷戦による核開発競争

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冷戦の最大の特徴といえばアメリカとソ連が互いに核兵器を作っていき、世界を何回も破滅させるだけのパワーを得たということでした。

次はどのようにしてアメリカとソ連は世界を滅ぼす力を手に入れたのかを見てみましょう。

原子爆弾の発明

1943年、ネバダ州のとある砂漠で核という新しいエネルギーを使った兵器の初実験が行われます。その兵器の名は原子爆弾。2年後には広島と長崎に投下されて両都市を壊滅的な被害に追い込むなどその圧倒的なパワーを見せて世界を震撼させました。アメリカからしたらこの兵器を使えば、これから攻められる時に威圧的な影響を与えることもできるし、さらに戦争が起これば真っ先にこの兵器を使って戦争を早期終結させることができると考えていたのです。

途方も無い核開発競争

しかし、この核兵器を見てソ連も黙ってはいません。ソ連はアメリカのみが核兵器を持つとソ連が圧倒的に不利となることを見越しており、できるだけ早く核兵器を開発。アメリカが日本に投下してから4年後の1949年に核実験を成功させアメリカ国内では核兵器が敵の手にもあるという恐怖が広まっていきます。こうしてアメリカとソ連は互いに終わりのない核実験を行っていき、1952年にアメリカで原子爆弾よりも何十倍も威力がある水素爆弾を開発。さらにその実験をビキニ環礁で実行。島を対流圏まで吹き飛ばし粉々に砕き潰しました。一方のソ連も負けてはおらずツァーリボンバという世界最大の水素爆弾を開発し、核実験を行ってその威力を世界に見せつけました。ちなみにその威力がどれくらいかというと広島に落とされた原子爆弾を1とするとこのツァーリボンバは3300倍だと言われており、もし東京駅に落とされた場合には関東地方全体が吹き飛ばされ壊滅的な状態になると予測されています。

もはや取り返しのつかない核開発競争。アメリカとソ連としたらもし、相手より強い兵器を持たないと冷戦の時の優位性や、戦争になった場合に負けるかもしれないため死活問題でもあったのです。この時アメリカ国内とソ連国内に平和利用なんて言葉はありません。核を開発することが相手よりも強くなるただ一つだけの手段だったのです。

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