ペローやグリムだけじゃない！古今東西「シンデレラ」物語の知りたくない真実

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悪い子にはおしおき……？

舞踏会から急いで帰ったシンデレラは、ガラスの靴（グリム童話では金の靴とも）を落としてしまいます。その靴を頼りに、見初めた美しい娘を探し出そうとする王子。舞踏会の出席者たちのもとへ靴が回りますが、シンデレラの義理の姉たちのもとにもやってきました。

上の姉は母親の指図で爪先を切り落とし、王子をだまして花嫁になろうとします。しかしシンデレラを救けたあの鳩が王子に「本当の花嫁が待っているよ」と語りかけ、王子は靴ににじんだ血に気づきました。下の姉はかかとをナイフで切って同じくあざむこうとしますが、長姉のときと同じように鳩の妨害にあって失敗。家来が台所女中のシンデレラにためしに履かせてみると、ぴったり。めでたく婚礼となったのでした。

婚礼の場。ご機嫌取りにきた2人の義理の姉のもとに、あの2羽の鳩がやってきます。鳩たちは2人の姉の肩にとまると、眼をつついてえぐりだしてしまいました。2人は意地悪と不誠実のせいで、一生眼が見えなくなったのでした。

ヨーロッパだけと思うなかれ！世界のシンデレラ物語

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世界中にちらばる「継子いじめ物語」。最後にその一部をご紹介しましょう。風土や時代で物語の形は変わるとはいえ、ええっ、こんなに違うの！なのに筋はおなじで、めでたしめでたし……魔法がなくても願いは叶う！な日本、シンデレラがアクティブすぎるイタリア、そしてまさかの古代エジプトまで！

平安時代、日本の京のシンデレラ「落窪物語」

日本にもなんとシンデレラはいました。平安時代の「落窪物語」に出てくる、「落窪（おちくぼ）姫」です。継母にいじめられて、畳の落ち窪（くぼ）んだ部屋に住まわされた薄幸のお姫さま。味方は女房（女性の召使い）のあこきと、末の弟の三郎君だけ。しかしそんな彼女のもとに王子さま、もとい貴公子、右近の少将・道頼があらわれます。

通い婚が主だった平安時代。あこきの助けでこっそり逢瀬を重ねる落窪姫と道頼でしたが、継母に発覚。継母は落窪姫をさらに貧しい男のもとへ嫁がせようとしてしまいます。そこを道頼とあこきが救出。めでたく2人はむすばれ、継母には復讐を果たし、落窪姫の家の一族も栄えて幸せに暮らしたのでした。魔法ではなく、忠実な女房が姫を救うというあたり、他とくらべてなんだか現実的な話ですね。

えっ、殺しちゃうの！？イタリアのバジーレ「灰かぶり猫」

シンデレラ物語の「テンプレート」が、ヨーロッパではじめて成立したのは、ペローよりもグリムよりも前。17世紀イタリアのバジーレという詩人のまとめた「灰かぶり猫（チェネレントラ）」です。主人公のシンデレラにあたる娘の名は、ゼゾッラ。なんとこのシンデレラ、冒頭で継母を殺してしまいます。

殺したのは「最初の」継母。ゼゾッラは仲のよかった裁縫の女先生を父親と結婚させるべく、不仲で邪魔な継母を殺したのでした。うまいこと後妻におさまった裁縫の先生。しかし同士だったはずの彼女は子どもを6人もうけるや、ゼゾッラの父とともに彼女を冷ややかにあつかうのでした。ゼゾッラもまた、グリム版と同じように、大切に育てた木（この場合はナツメ）と鳩に助けられて、国王と結婚します。それにしてもずいぶん気性の激しいシンデレラですこと……。

最古のシンデレラ？ファラオ（王）に見初められたエジプト美人

なんとシンデレラは紀元前1世紀、舞台をエジプトにして登場もしています。ヒロインの名は女奴隷ロドピス（ロードピス）。外国人で肌が白いロドピスは、大勢の召使いの中で仲間にいじめられていました。ある日ロドピスが美しく舞い踊るのを見た屋敷の主人。感心してロドピスにバラ飾りのついたサンダルを贈ります。いじめが激しくなるそんなある日、ファラオ（エジプト王）がお祭りを開きました。ロドピスだけが仕事を言いつかって、お祭りに出ることができません。

泣く泣く川で服を洗う仕事をするロドピス。誤って濡らしてしまったサンダルを岩の上で乾かしていると、それをハヤブサにとって行かれてしまいました。そのハヤブサは遠くメンフィスの都にいたファラオの足元に、ロドピスのサンダルを落とします。これはホルス神のお告げだと悟るファラオ。このサンダルの持ち主と結婚することにすると宣言しました。サンダルの合う足を持つロドピスが発見され、もう片方のサンダルを持っていた彼女はめでたく、ファラオと結婚することとなったのでした。