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残酷なのは白雪姫、継母の女王?それとも……エゲツないおとぎ話「白雪姫」の真実

継母に毒りんごを食べさせられて、王子様のキスで眠りからめざめる。ディズニー映画のプリンセスとしても有名な物語「白雪姫」。しかし19世紀にグリム兄弟が採集した、ドイツに伝わる原作の「白雪姫」民話はあまりにもえげつない!美女2人の女の戦い、そして意外や意外の残酷オチ。こんなプリンセスはいやだ……そんな白雪姫の真実をご紹介します。

白雪姫、だれもが知っている「はず」のおとぎ話

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まず、白雪姫のあらすじを追いましょう。子供のころに絵本で読み聞かされた、継母によって毒リンゴを食べさせられた白雪姫が王子様のキスでめざめる物語……だれもが知っているのはこんなロマンティックなイメージでしょう。しかし白雪姫の実態は殺伐!残酷!理不尽!記事を読み進めるにつれてぞっとしますよ。まずは物語の前半部を再確認です。

鏡よ鏡、世界で一番美しいのは?嫉妬からはじまる物語

白雪姫の実の母親となる王妃はある日、「黒檀(こくたん)のような髪、雪のような肌、血のようなくちびると頬」をもつ女の子がほしいと願います。やがてその奥方からは白雪姫が生まれますが、すぐに亡くなってしまうのでした。父親の王様が再婚した継母の王妃は高慢な性格。彼女は不思議な魔法の鏡をもっていました。「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだれ?」決してうそをつかない鏡はいつも「女王さま、あなたこそ、お国でいちばんうつくしい」と答えるのでした。ところが白雪姫は美しく成長します。ある時から、鏡はこう言うようになりました。「けれども白雪姫は、千ばいもうつくしい」

女王様は激怒。一人の狩人を呼びつけます。狩人は、白雪姫を殺してその肝臓を持ち帰るよう継母の女王から命令を受けました。しかし森で白雪姫の愛らしさに、手を下すことなく彼女を逃がすのでした。そして白雪姫は七人の小人の家を見つけます。ここまではだれもが知る「白雪姫」です。

七人の小人のもとで家政婦生活。女王の魔の手は……

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白雪姫がたどりついたのは、七人の小人の家。七人の小人は事情を聞いて、家事の労働とひきかえに白雪姫を家に置くことにします。小人たちは毎日昼間は、山で金銀宝石を掘り出す仕事をしていました。だから昼のあいだ白雪姫はたった1人で留守番をすることになります。小人たちの心配は的中しました。

継母の女王は、白雪姫が生きていることを知って激怒、ふたたび殺害をくわだてました。まず、年寄りの小間物屋になって美しい紐を売りつけます。その紐で白雪姫の首を締めてしまいました。このとき、七人の小人の機転で白雪姫は生き返ります。継母は再度やってきて、今度は毒の櫛(くし)を白雪姫に売ろうとしました。白雪姫がその櫛で髪をすくと、髪から毒が染みこんであっという間に姫は倒れてしまいます。またも七人の小人によって命を助けられた白雪姫。そして二度目の計画にも失敗した女王は、三度白雪姫のもとにおとずれます。そして毒のリンゴを差し出すのでした。自分も半分食べるからといって差し出されたために、白雪姫は素直に食べてしまいます。今度こそ白雪姫は本当に死んでしまったのでした。

白雪姫ってそもそもだれが書いた話?ありのまますぎるグリム兄弟のお仕事

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さて、ここでドイツの一地方の民話「白雪姫」の名を世界にとどろかせる原因となった、グリム兄弟、そして「白雪姫」物語の各バージョンについて知ることにしましょう。グリム童話といえば子どもの読み聞かせの鉄板ですが、19世紀初頭に出版された初版本は、オトナの残酷物語。どんなものだったのでしょうか。

そもそもグリム兄弟って?

この民話を採集したグリム兄弟とは何者だったのでしょう?民話収集家・言語学者・文学者のヤーコプ・グリムヴィルヘルム・グリムの兄弟はそれぞれ1785年、1786年の生まれ。年子の兄弟です。ほかにも6人の弟妹がいる大家族のお兄ちゃんたちでした。兄弟の生い立ったときはまさしくナポレオン戦争(1796-1816)まっただなか。フランスのナポレオンがヨーロッパをフランスの支配下に組みこんでいる最中でした。ドイツではそれに対抗してナショナリズム(民族主義)運動が起こります。「グリム童話」の誕生もそんな背景が関係していました。

大学教授としても活躍していたヤーコプとヴィルヘルムの兄弟はドイツ各地をめぐり、人々のあいだに伝わる昔話(メルヒェン)を採集します。語り手の口調をそのまま写しとり、ありのままの民話の姿を書き残しました。いわゆる「グリム童話」が成立したのは19世紀。初版本の出版が1812年です。

子どもの教育に悪い!と訂正要請が殺到

この記事であつかっている「白雪姫」には 実はいろんなバージョンがあります。その中でも一番エグいのは、グリム童話の初版本。実は初版本では、白雪姫を殺そうとしたのは「実母」。ほかのグリム童話メルヒェンにも、実母が子どもを虐待するという描写が各所に見られ、「子どもの教育に悪い!」と訂正の要請が殺到しました。それにしても、実のお母さんが、美への嫉妬のあまり娘を殺そうとした……ぞっとしますね。

また白雪姫には、初版本のほかにもグリム童話の改訂版のバージョンごとにさまざまな違いがみられます。たとえば初版本では白雪姫の援助者となる、七人の小人が実は殺し屋でした。あるいは山に巣食う盗賊・山賊であったという説もあります。ディズニーのほんわかしたイメージとは大違い。白雪姫って殺伐とした話だったんですね。

ぞっとするような暗喩も……おそるべきグリム版「白雪姫」

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物語はクライマックス。ここから先は知っている人が少ないのでは?王子様のキスでめざめたと思っている人が大半かと思います。でも実際は……。そして白雪姫のラストの残酷な行動はなにを意味しているのか?ロマンティックどころじゃない、こんなお姫さまなんて!衝撃の真実をごらんあれ。

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