三国時代・三国志中国の歴史

【三国志】押さえておきたい8人の英雄たちーエピソードをご紹介

▼劉備玄徳にまつわる有名な言葉

劉備玄徳に関連した言葉として伝わっている有名な言葉は、「髀肉の嘆」と「三顧の礼」です。

「三顧の礼」は当時、伏竜と言われた諸葛孔明を迎えるのに三度通ったことから生まれた言葉でした。大切な人を迎えるには、誠意を見せるために何度でも尋ねることを言います。また、「髀肉の嘆」は、劉備が50歳を越えても国を建てることもできずに、新野にいた時に生まれた言葉です。酔った劉備が厠(かわや)に行き、そこで自らの太ももに贅肉がついてしまっているのを見て、歳をとっても国を持てないことを嘆いたことから「髀肉の嘆」と言われています。己の不遇を嘆くことをいう言葉です。

誠実な天才「諸葛亮孔明」

三国志の主役と言えるのは、劉備と曹操に、この諸葛孔明と言えるでしょう。正式には諸葛亮孔明です。三国志の中でも登場は途中からになりますが、その存在感は三国志の中でも際立っており、三国志ファンの間でも、この諸葛孔明の人気が際立っています。劉備と同様に義の人であり、その稀有な天才肌の策略を颯爽と駆使して、劉備に蜀という国を持たせました。そして劉備の死後、彼が目指した、漢王朝を滅ぼした魏の国を討つことに生涯をかけたのです。でも、志半ばに戦場で病に倒れて亡くなり、魏を討つことはできませんでした。

この諸葛孔明についてはさまざまなエピソードがあり、映画「レッドクリフ」にも描かれています。矢が不足していると周瑜がいうと、わらを積んだ舟を曹操陣営に漕ぎ出させ、一晩で多くの矢を舟のわらに突き刺させて帰ってきたのは有名な話です。呉の周瑜はその才を妬み、ライバルとして生涯孔明を敵扱いしていました。

▼諸葛孔明にまつわる有名な言葉

この諸葛孔明に関する言葉で有名なのは「泣いて馬謖を斬る」です。非常に可愛がっていた部下の馬謖が、街亭の戦いで孔明の命令を無視したために蜀軍は敗れました。そのため、孔明は、他の者たちへの影響を考えて泣く泣く馬謖を切ったことに因んだ言葉です。大切な人であっても、組織の規律を守るためには非情に徹して罰しないといけないという意味に使われています。

忠義の豪傑、「関羽雲長」

劉備玄徳、張飛と三兄弟の契りを結んだ関羽雲長は、青龍刀(青龍偃月刀)を常に脇に置く豪傑として生涯劉備玄徳に仕えます。まっすぐな性格で、当時飛ぶ鳥を落とす勢いの曹操の誘いと厚遇を断り、劉備の元に馳せ参じる義侠の豪傑です。中国史上でも最も強いと言われる呂布と互角に対峙できたのは関羽のみと言われています。豪傑としてのエピソードとして、右肘に矢が刺さり、当時の名医と言われた華佗に右腕を手術させながら、平気な顔で仲間と酒盛りをしていたと言われていました。いかにも豪傑らしいエピソードです。

横浜の中華街には関帝廟(かんていびょう)という関羽を祭った廟(ほこら)があるように、関羽はその誠実で忠義な人柄から死後神と崇められ、人々に愛され続けてきました。

破天荒だが、憎めない英雄「張飛」

桃園で兄弟の契りを結んだ張飛は、豪傑肌で力も強く、性格も勇猛果敢であったため、人々に恐れられていました。三兄弟は、長兄玄徳、中兄関羽、末弟張飛という順番で、末弟として愛されていたのです。粗野で、何度も劉備に迷惑をかけていましたが、不思議と憎めないところがあり、劉備も注意はするものの罰したことはありませんでした。思ったことはすぐに口に出し、行動を起こす、直情の人で、玄徳も愛していたのです。

部下に対しても厳しく、少し失敗すれば雷が落ちるため、恐れられていました。そのため、最後は部下に寝入ったところを襲われてしまい、命を落としています。

誠実な天才武将「趙雲子龍」

劉備玄徳の将軍として有名で人気があるのは、趙雲子龍でしょう。槍の名人で、三国志の人物でも、単独で中国ドラマとして描かれているのは趙雲だけです。趙雲子龍に最大の見せ場は、劉備が新野から曹操軍に追われて、逃げる長坂の戦いの時に訪れます。

劉備の甘婦人が赤子を連れて逃げていましたが、曹操軍に追いつかれ、婦人は趙雲に赤ん坊、すなわち、後の蜀の二代目皇帝になる劉禅を託しました。趙雲は周りを曹操軍に囲まれながらも、赤ん坊を懐に入れて馬で駆け抜けようとします。その行く手を曹操軍の兵士たちがたち塞ぎますが、そのたびに趙雲は跳ね退け、曹操の目に留まったのです。曹操は、また人材を欲しがる悪い癖が出て、趙雲を殺さずに捕まえよと命令します。しかし、その隙をついて趙雲は遂に曹操軍を突破して、張飛の待つ橋の入り口にたどり着き、あとを張飛に任せて劉備の元に馳せ参じ、赤ん坊を差し出したのです。

趙雲は、曹操の誘いをものともせずに、劉備への忠誠心を見せて、その勇姿は語り継がれました。劉備の信頼も厚く、呉に蜀呉の同盟を求めに行く際にも、趙雲は護衛にあたっています。

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