あらすじ3~前半のクライマックス「赤壁の戦い」
そんな孫権のところに、曹操の軍勢が南下して攻め込んでくるという知らせが届きます。その数、なんと80万人。だいぶ盛ってる数字でしょうがとんでもない大軍です。一方、孫権軍は数万人。圧倒的な兵力差の前に、部下たちは戦わずに降伏すべきという意見がほとんどでした。
そこへやってきたのが劉備の参謀である諸葛亮(しょかつりょう)です。諸葛亮は、字(あざな/大人になってからつけた名)の「孔明」(こうめい)がよく知られています。「三国志」の中でも最高の天才とされる軍師です。
孔明に説得された孫権は、周瑜(しゅうゆ)という武将を立てて戦いを挑みます。決戦の地は長江沿岸の赤壁(せきへき)というところです。これが有名な「赤壁の戦い」。映画「レッドクリフ」の題材となった合戦です。
ちなみに、赤壁の戦いの舞台は諸説ありますが、湖北省赤壁市が有力とされていて、海外旅行客の人気スポットとなっています。
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あらすじ4~智将たちの策略合戦
周瑜は孔明に「10万本の矢を用意してほしい」と無理難題を突き付けました。孔明の才能を恐れた周瑜は、難癖をつけて殺してやろうと考えたのです。しかし、孔明は「三日で集める」と豪語。周瑜は驚きますが、いつまでたっても孔明が矢を作る様子はありません。すると三日目の真夜中、孔明は曹操軍のところに大量の藁人形を積んだ船団で向かうと、夜襲だと勘違いした曹操軍は船に矢を雨のように浴びせかけました。そして船が戻ってくると、藁人形には10万本の矢が刺さっていたのです。これには周瑜も感嘆し、孔明に非礼を詫びました。
しかし、周瑜も非凡な才能の持ち主です。曹操の水軍を火攻めにしようと策を練ります。
ある日、周瑜は年老いた黄蓋(こうがい)という武将と口論になり、逆上してムチ打ちの罰を与えました。無情にもズタズタになるまでムチで叩かれた黄蓋は、周瑜を裏切り船に乗って曹操軍へと降参してしまいます。でも、これは周瑜と黄蓋が仕組んだ罠でした。黄蓋の船からは火の矢が飛んできます。しかも曹操軍は船を安定させるために船同士を鎖で結んでいたため(これも周瑜の計略)、逃げることもできずにほとんどの船が焼失。曹操はわずかな部隊を引き連れ、命からがら脱出するはめになってしまいました。
この大逆転劇で、曹操は中国大陸統一の夢を絶たれます。「三国志」の醍醐味はこうした智将たちによる頭脳バトルにあるんですね。
あらすじ5~「天下三分の計」
諸葛孔明の天才的なところは、まだ弱かった劉備軍が天下を取るためのビジョンを持っていたことでした。
曹操は赤壁の戦いで敗れたとはいえ、まだ中国大陸の北部で強大な勢力を維持しています。一方で、孫権は南東部で勢力を拡大しつつありました。
そこで劉備は南西部の益州(現在の四川省)を取り、孫権と同盟して曹操と対抗するというのが孔明の策だったのです。一国では曹操と戦うことは難しいですが、三つの国が三すくみ状態になれば、お互い容易に手出しすることができません。曹操が孫権の国に攻め込めば、劉備は西側からスキをついて曹操を攻撃できますし、曹操が劉備を攻めれば、孫権が背後をついて攻撃できますよね。こうしたバランスの取れた状態は、弱小の劉備にとっては都合がいいわけです。この計画を「天下三分の計」と言います。
孔明の狙い通り、曹操は魏という国を作り、孫権は呉という国を作り、劉備は蜀の国を作りました。こうして三国が均衡した「三国時代」が始まり、数十年もの間続くことになります。
あらすじ6~晋による天下統一
劉備や曹操が死ぬと、孔明が物語の中心人物になります。孔明は忠義の人で、劉備の死後も蜀の中心人物として活躍しました。ライバルである魏の司馬懿(しばい)と戦いを繰り広げますが、最後は「五丈原(ごじょうげん)の戦い」で病に倒れ、その生涯を終えたのです。
その後、孔明を失った蜀は残された後継者たちによって善戦しますが、皇帝の位についた劉備の息子である劉禅(りゅうぜん)がとんでもないバカ殿様で、国力は衰退していきます。そしてついに魏に攻め込まれると、劉禅は戦わずして降伏。劉備・孔明が守ってきた蜀は滅亡しました。
では勝ち残ったのは魏なのかと思いきや、そうではありませんでした。司馬懿の孫の司馬炎(しばえん)は魏から皇帝の位を奪い、晋(しん)という国を作ります。そして西暦280年、孫権の孫の代になっていた呉は晋によって滅ぼされ、ついに三国が統一。長かった戦乱の時代はひとまず終わり、「三国志」の物語もここで幕を閉じることになります。
覚えておきたい「三国志」の4人の人物
以上、「三国志」のあらすじを見ていただきましたが、実際に「三国志」の小説や漫画を読むと、さまざま武将たちの人生が生き生きと描かれていて大変面白いのです。ここからはそんな「三国志」の最低限覚えておきたい人物を少しご紹介していきましょう。劉備、曹操、孫権、孔明についてはすでにご紹介したので、それ以外の武将・智将を見ていくことにします。