ヘロドトス曰く「ナイル川の賜物」:エジプト文明
古代文明といえばやはりエジプト、という印象をお持ちの方も多いでしょう。
エジプト文明はアフリカ大陸北部、ナイル川のほとり、中流域から下流域にかけて発展した古代文明です。
紀元前5000年頃から、地の利を活かした灌漑農業が行われていたと考えられています。農業の開始時期はメソポタミア文明より後ですが、都市国家の形成はメソポタミア文明より早かったようです。
紀元前3000年頃には既に王国が成立しており、巨大なピラミッドの建造やヒエログリフと呼ばれる象形文字など、高度な文明が発達。他国の影響を受けず、紀元前1世紀頃まで数千年にわたって続いた文明として知られています。
こちらの記事もおすすめ
ナイルの賜物・古代エジプト文明を知るための10のキーワード – Rinto~凛と~
高い文明を誇ったが突然消滅:エーゲ文明
メソポタミアやエジプトより少し後の年代になりますが、バルカン半島を中心に地中海地域にも高度な文明が発達していました。
まず紀元前2000年頃、バルカン半島の南方に位置するクレタ島でクレタ文明と呼ばれる文明が誕生します。さらに紀元前1600年頃には青銅器文明として知られるミケーネ文明など「エーゲ文明」と呼ばれる文明が次々と発展。地中海の交通の便を利用して古くから交易が盛んに行われ、エジプトやメソポタミアの影響も受けたと見られています。
しかし紀元前1200年頃、エーゲ文明はなぜか終わりを迎えてしまい、その後400年ほど空白時期が。詳しいことはまだわかっていないのだそうですが、紀元前8世紀頃に古代ギリシア文明が誕生。ポリスと呼ばれる都市国家が形成され、高度な文明を育んでいきます。
同じく紀元前8世紀(紀元前753年)、イタリア半島に誕生したのが古代ローマ。温暖で穏やかな気候に恵まれた2つの半島に誕生した古代文明は、大きな都市国家へと発展していきます。
今なお謎のヴェールに包まれる:インダス文明
世界四大文明のひとつとされるインダス文明。インドの西側、インダス川流域に広がる地域にあったとされる古代文明です。
紀元前2500年頃から1800年頃まで、この地域には非常に高度な文明があったとされています。代表的な遺跡が「モヘンジョダロ」と「ハラッパー」です。
インダス文明の遺跡については、乾燥地帯にあるものも多く、他の古代文明と比べると調査研究が遅れ気味。まだ全容が明らかになっていない部分が多く、謎めいた古代文明として知られています。インダス文字と呼ばれる文字が残されていますが、まだ解読のヒントすら見えていないのだそうです。
モヘンジョダロの碁盤の目のように整備された遺跡から、非常に高度な文明があったことがわかっています。しかし紀元前1800年頃、インダス文明は衰退。忘れられた存在となってしまうのです。衰退の理由はまだ解明されていません。
こちらの記事もおすすめ
謎めいた古代都市遺跡「モヘンジョダロ」とは?わかりやすく解説! – Rinto
広大な大地に広がる高度文明:中国文明
古代文明発祥の地として忘れてはならないのが中国大陸です。
ここには、長江や黄河といった大河の流域に数々の古代文明が点在。世界四大文明としては、黄河文明が有名ですが、近年の研究で、他にも長江文明や遼河文明といった文明の存在も明らかになっています。
黄河文明は紀元前5000年頃から穀物を中心とした農耕が行われており、周辺からは彩文土器などが数多く出土。紀元前1900年頃には禹(う)、夏(か)といった王朝が誕生したと考えられており、紀元前1600年頃には殷(いん)王朝が誕生しています。
長江文明は長江の下流域に誕生した農耕文明で、周辺では紀元前5000年頃か、あるいはもっと古いものとみられる稲作の痕跡が数多く出土。最近では、世界最古の稲作は長江では?との説が有力になりつつあるそうです。
遼河文明は大陸の北部を流れ渤海に注ぐ遼河流域で起こった文明。紀元前6000年前後には既に大規模な集落が形成されていた可能性が高く、現在も調査研究が進められています。
こちらの記事もおすすめ
古代中国文明の源となった「黄河文明」を元予備校講師がわかりやすく解説 – Rinto
マヤ・アステカ・アンデス……中央アメリカ文明
世界四大文明に含まれていないせいか、古代文明のイメージがやや薄いアメリカ大陸。しかし、メキシコを中心とした中央アメリカ地域ではピラミッドや古代神殿らしき跡が数多く見つかっており、高度な文明が存在していたと考えられています。
文字を持たなかったものもあり、今なお多くの謎に包まれている中央アメリカの古代文明。紀元前2000年頃には農耕を中心とした定住生活が始まったとみられています。
紀元前1200年頃にオルメカ文明が誕生。その後、メキシコ中央部にテオティワカン文明、南東部にマヤ文明が発達していきます。
これらの文明は、メソポタミアやエジプト、地中海などとは海を隔てて離れているため、他の地域の文明との交流の痕跡は見られません。他の干渉を受けずまったく独自の発展を遂げたものと考えられており、アジアやオリエント地域のものとは異なる特色を持つ土器や石像、建造物が多数発見されています。