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J・R・R・トールキンの『指輪物語』を解説!善と悪の狭間で人間は誘惑に勝てるのか?

5-2無こそが悪で悪は善の欠落

サウロンが作った「一つの指輪」をはめているものは、他の指輪も支配できます。彼は自分を神として崇めるように全世界の生き物に強要し、絶対的な権力化に置こうとしたのです。所謂、宗教的な争いであり、神として崇められる唯一の権利を指輪に込めたということ。

これは、中つ国に生きるものにとって最大の脅威といえます。この脅威は、弱いものを抑圧する権力のこと。でも、サウロンも始めから邪悪な存在ではなかったはず。ガンダルフは、サウロンでさえも悪の源ではないと語っています

完全な悪はないというのが、トールキンの考え方。善が独立した一次的な存在と考えると、悪は善に依存する二次的な本質があるといえ「悪は善の欠落」に値します。聖アウグスティヌスの「悪の観念」から来ており、共に無こそが究極な悪の根源と考えているからです。

5-3誘惑に負けることが悪を産む

魔力を持った指輪さえも悪ではなく、悪は人間の心の中にあると、トールキンは考えています。これは、人間の分以上の物を欲しがる気持ちが悪を産み、物を欲する誘惑に負けることが悪です。アダムとイヴの原罪でも、本来善である神の創造物が不公平を生み、禁断の果実を口にした欲望こそが諸悪の根源ということを伝えています。

「一つの指輪」を使いこなすためには、“支配欲に対抗できる精神”が必要です。中つ国最古の生き物「トム・ボンバルディル」は、自分の状態に心底満足しており指輪の誘惑に動じません。サムも自分の分をわきまえ居場所に満足していることで、指輪の誘惑をもろともしない強さを持つことができています。

5-4サウロンを産まない幸せの鍵

要するに不満が悪を誕生させ、満足からは豊かな心という善が生まれるといえるでしょう。素朴な日常に満足することが、欲望を満たし幸せを手に入れる究極の鍵といえるのではないでしょうか

トールキンは、ホビットたちの幸福な生活は、彼らが善良な性格を持っているからと語っています。フロドが指輪の誘惑に拒んでいられたのは、善良な性格があったからこそ。サムがフロドに忠誠を誓えたのは彼の善良な心が、サムに仕えたいという気持ちを与えたといえます。

二人の友情が続いたのも、善悪に対する共通の考え方を持ち、それに満足ができていたからでしょう。サウロンを作らないためにも、日常に満足し欲望に溺れない、善に満たされた人生を送りたいものですね!

素朴な日常に満足すれば、誘惑に打ち勝つことは簡単なこと?

『指輪物語』の最大のテーマは、「善対悪の戦い」でしょう。暗黒の力は悪で光の力は善としたトールキンは、どちらかが悪ではなく、善も悪もあるべきでバランスが大切としています。『指輪物語』を読んで、少しだけ自分の人生のバランスについて考えてみるのもいいかも。ちょっとだけ誘惑に負けた方は、ニュージーランドにあるホビット村に、心の休養に訪れてはいかがでしょう。

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