サンドウィッチ伯爵が発案?「サンドイッチ」
image by iStockphoto
「イギリスの貴族・サンドウィッチ伯爵がカードゲームするときに、片手で食べられる食事を作らせたことがサンドイッチの始まり」そんなうんちく、耳にしたことはありませんか?
どうやらこれは、特に根拠のないお話らしいのですが、サンドウィッチ伯爵という方は、18世紀に確かにいらっしゃいました。伯爵にまつわる様々なエピソードと入り混じって伝わってしまったのではないか、と見られています。
サンドイッチについて多くを語る必要はないでしょう。「パンの間に様々な具材を挟んだもの」という定義で語るなら、サンドイッチの歴史は古代ローマや古代インドにまでさかのぼることになります。
発祥がイギリス、ということではなく、世界各地でそれぞれ個々に、何かを挟んだパンが作られ、庶民の間で食べられていた、と考えるべきでしょう。
もともとはファストフード的な存在。仕事の合間や夜食として、片手で手軽に食べられて様々な具材を楽しむことができるもの、という位置づけで発展していきました。
イギリスでは、貴族たちが夜遊びの合間に夜食として食べるものとして人気が高かったようです。
また、午後のお茶の時間に、お菓子といっしょに軽食として食べる習慣も。
また産業革命の話になってしまい恐縮ですが……。電灯がつくようになって労働時間がのび、夜寝るまでの時間が長くなったことから、おやつや夜食を食べる機会も増えていったようです。
そんな時代の流れとともに、手軽に食べることができて安価で美味しいサンドイッチが普及していったものと思われます。
みんな大好き「カスタードプディング」
日本では「プリン」という名称で親しまれている国民的スイーツ。歴史は古く、発祥については諸説語られていますが、一般的にはイギリスが起源であると言われています。
甘くてつるっと美味しいプリン。でも、その原型は、余った食材の有効活用であったとされています。
イギリスっぽいといえばイギリスっぽい感じもしますが……。
大航海時代、長い船旅の間、懸念されるのは食料不足です。動力のない船での風まかせの船旅は、予想以上に長引いてしまうこともあります。
そうなれば、残り物を工夫して食事を作らなければなりません。働く男たちにとって、食事は大事です。
硬くなったパンや肉の切れ端など本来なら捨てる箇所をとっておいて、卵を混ぜて蒸し焼きにして食べることも……。まあ、味は悪くなかったのでしょう。意外とおいしかったのかも。とにかくこれが、プリンの起源だと言われています。
そんなプリンの原型を、よりおいしく滑らかな「カスタードプディング」に変身させたのはフランス人だったようです。
なんとなく、いいところをフランス人に持っていかれてしまったような印象も受けますが……。これも、イギリス人が産業革命で忙しかったからなのでしょうか。
国によって多種多様「ショートケーキ」
トリを飾るのは、日本でもおなじみ「ショートケーキ」です。
1588年のイギリスの料理本「English’s Cookbook」に掲載されているお菓子が、ショートケーキの原型であると言われています。
ただ、もともとは、現代のようなフワフワのスポンジケーキではなく、ビスケットのような硬めの生地が使われていたようです。
丸く焼いた生地を何枚か重ね、間にクリームやフルーツを挟んだもの。これが発展して世界中に広まったものと考えられています。
ショートケーキの「ショート」という言葉の語源についても、諸説あってはっきりしていません。
例えば、生地を作るのにもともとショートニング(shortening・食用油脂)を使っていたから、という説があります。
また、日持ちがしないから、短時間で作れるから、という意味を含めて「ショートタイム」という単語を用いたから、という説も。
さらに、イギリスに昔からある「ショートブレッド」というお菓子からきている説など。「short」には「サクサクした」「もろい」という意味もあるのだそうです。
古くから口伝えで伝わった物には、公的な資料に記されていないため名前の由来がわからないものがたくさんあります。料理のレシピや呼び方もしかりです。
ショートケーキも、長い間世界中の人に親しまれてきたからこそ名前の由来が諸説ある……ということなのかもしれません。
美味しいものは、食べるのに忙しくて、名前の由来なんて考えているヒマはありませんよね。
おいしそうな料理がずらり!意外といけそう「イギリスの食べ物」
image by iStockphoto
こうしてみると「あれもイギリス発祥なのか!」と思うほど日本人にもなじみの深い食べ物が多いことに気づかされます。フランスやイタリア料理のような華やかさはありませんが……。でも、決して「不味い」というわけではありません。逆に「イギリス料理?そうなんですよ、不味いんですよね~」と自らジョークにしてしまうような、イギリスの懐の広さを感じてしまいました。忙しい合間にちょっとブレイクしたくなる、イギリスの食べ物はそんな魅力にあふれています。