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「クトゥルフ神話」とは?ラヴクラフトからTRPGまで世界観をわかりやすく解説

クトゥルフ神話?TRPG?よく聞くけど何だろう?ニャル様やSAN値などネタで聞いたことはあるけど……アメリカの恐怖小説家ラヴクラフトからはじまり、その弟子やファンによって編まれた、夢の深淵から這い寄る恐怖の「神話」。この記事を読めばラヴクラフトの原作からTRPGまで、クトゥルフ神話がだいたいわかる……かも?いあ!クトゥルフ。

これだけおさえるべし!〈クトゥルフ神話〉世界の4つの基本

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1920年代、アメリカの恐怖小説家ラヴクラフトの作品からはじまったクトゥルフ神話。〈クトゥルフ(Cthulhu)〉はクトゥルー、クルウルウなどと日本語では呼ばれます。はるか昔、地球に現在の生命が宿る前,太古の地球を支配した神々がいました。それが〈旧支配者〉(グレートオールド・ワン)〉〈外なる神〉ら邪神たち。クトゥルフの世界をざっくり把握しましょう。

#1 星辰とともに移動して現れる〈旧支配者たち〉

クトゥルフ神話は〈宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)〉と呼ばれます。〈宇宙的存在〉が引き起こす事象、恐怖を扱うクトゥルフ神話。その宇宙的存在、人間以外に地球を支配しうる存在の1つが〈旧支配者〉です。

旧支配者は地球で生まれたもの、外宇宙から到来したものの2種類に大別されます。「地水火風」の四大元素説に基づいて分類されることもありますが、分類不能の旧支配者も多いです。知能を持ち、ある種異世界人・異星人的な存在と考えると自然かもしれません。

旧支配者たちは星辰の位置が正しくなったときに、世界から世界を移動できるとされています。星辰の位置が変わったため、旧支配者たちが休眠に入ったそのわずかな間に人間が栄えたとも、旧神(地球本来の脆弱な神々)により封印されたとも。星の位置が変わったとき、再び彼らは地球にやってくるかもしれません。

#2 外宇宙から来た「強大な力」そのもの 〈外なる神〉

旧支配者とは別の宇宙的存在が〈外なる神〉です。旧支配者は、それなりに世界の法則に従ったものであり、ある意味異星人敵な存在。しかし外なる神たちは宇宙法則そのものに介入できるほど強大なものです。

外なる神のほとんどには目が見えず、知能がありません。外宇宙から到来した強大な存在であり、姿が認識できるものすら稀です。外なる神を一言であらわすのならば「力」。また、外なる神を語る上で欠かせないのが、彼らのメッセンジャー〈ナイアルラトホテップ〉。外なる神に何かあったらナイアルラトホテップが調査におもむきます。

ちなみに旧支配者や外なる神に関しては作家ごとに解釈が分かれる部分があり、この記事で扱っているのはあくまでも概要であることを、お断りしておきますね。

#3 〈アーカム〉そして〈ルルイエ〉……クトゥルフ神話の重要な舞台

クトゥルフ神話において鍵となる重要な場所がいくつかあります。数ある舞台から主だった2つを紹介しましょう。

まずは〈アーカム〉の町。アメリカのニューイングランド地方(マサチューセッツ州)ミスカトニック渓谷のどこかにあるとされています。〈ミスカトニック大学〉の大学図書館にはネクロノミコンやエイボンの書など、クトゥルフに関連した魔導書が収蔵。アーカムのモデルは、1691年に大規模な魔女裁判が行われたアメリカのセイレムという町。セイレム魔女裁判が起こったのと同じ1671年にアーカムへの入植が行われていることが意味深です。

クトゥルフで、邪神たちが地球を支配していたとされる時代に栄えた都市が〈ルルイエ〉。現在はニュージーランドと南極の中間付近の海底に沈んでいます。ルルイエには邪神クトゥルフが封印されており、星辰が正しい位置についたときクトゥルフは目覚め、ルルイエは浮上するとか……。

#4 〈邪神VS人間〉クトゥルフ神話ストーリーの基本

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宇宙的存在である、旧支配者および外なる神を、クトゥルフ神話内では〈邪神〉とあつかいます。邪神たちとは意思疎通不能、彼らはただ現象として人間の前にあらわれ、人間に恐怖を与えるのです。現在何らかの形で封印されている邪神たちは、再び地球に現れることを望んでいます

その邪神の召喚阻止を行うのがクトゥルフ神話での基本シナリオパターン。クトゥルフ神話の始祖ラヴクラフトの小説「ダンウィッチの怪」をはじまりとして、ラヴクラフトの弟子ダーレスらのクトゥルフ諸作品、また現在人気のTRPG「クトゥルフの呼び声」のシナリオにおいても、邪神の召喚阻止がプレイヤーたちのミッションとなります。狂気と混沌との戦いに、人間の正気が試されるのです。

よく耳にするクトゥルフ用語5選 一挙解説

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ここから先はクトゥルフネタでよく聞くアレを一挙解説。冒涜的な名状しがたい恐怖の世界でSANがガリガリ減っていくクトゥルフ神話。今さら聞けないけどどういう意味?厳選したクトゥルフ用語を5つ、紐解きます。これさえ読めばあなたも彼らのネタについていけるように……?

繰り返される「冒涜的な」「名状しがたい」「いあ!いあ!」

クトゥルフ神話の始祖・ラヴクラフトの原作小説で出てくるワードです。「冒涜的な」「名状しがたい」はラヴクラフトが作中でクセのように使っている単語。文庫本の見開き2ページに「冒涜的な」「名状しがたい」が立て続けに何回も出てきたりもします。あまりにも頻繁に出現するため、TRPGなどではすっかりネタ化。

キリスト教の全能の神が作るはずのない冒涜的な存在、それがクトゥルフの邪神たちです。神の存在、ひいては今人間がいる場を冒涜するような……その形容が言葉にこめられています。

一方「いあ!」は邪神祭祀の祈祷の際などに使用される言葉。使い方としては「いあ!イタクァ!」「いあ!ヨグ=ソトース」など。今は邪神クトゥルフとともに海中に眠る都市ルルイエで使用されていた、ルルイエ語とされています。クトゥルフはじめ邪神たちの名前を含め、これらの言語は声に似て声でない、発音不可能な言語です。また、正しく発音すると命にかかわる単語もあるとか。

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