室町時代戦国時代日本の歴史

秀吉に迎えられた「竹中半兵衛」戦国一の天才軍師の短い生涯をわかりやすく解説

戦国時代を彩った、綺羅星のごとき軍師的な武将たち。その中でもひときわ輝きを放つのが、竹中半兵衛(たけなかはんべえ)です。鮮やかな知謀と柔和な佇まいで、三国志の名軍師・諸葛孔明(しょかつこうめい)もなぞらえられますね。豊臣秀吉の参謀として、短い生涯を生き抜いた彼の生涯を、今回はご紹介したいと思います。

美濃斎藤氏に仕えた時代

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竹中半兵衛は、美濃(岐阜県)の豪族の家に生まれ、美濃斎藤氏に仕えました。若くして才能にあふれた彼は、知謀によって織田信長を退けるという大きな功績を挙げます。天才軍師の誕生の瞬間でした。

初陣で敵を撃退

半兵衛は、天文13(1544)年に美濃の豪族・竹中重元(たけなかしげもと)の息子として誕生しました。正式な名前は「竹中重治(たけなかしげはる)」と言いますが、ここでは「半兵衛」で統一しますね。

父・重元は、最初は美濃を支配していた土岐(とき)氏に仕えていましたが、土岐氏が斎藤道三(さいとうどうさん)に国を奪われると、そのまま道三に従うようになったそうです。

しかし、「マムシ」と呼ばれて恐れられた道三は、息子の義龍(よしたつ)と対立し、弘治4(1556)年に起きた長良川(ながらがわ)の戦いで敗れて死去してしまいました。この時、半兵衛の父・重元は道三方として参戦していたため、屋敷にも義龍の軍勢が攻め寄せてきたそうです。しかし、それを相手に守り抜いたのが、初陣でありまだ13歳だった半兵衛とその弟だったんですよ。すでに才能があったことがわかりますね。

斎藤龍興に仕えるも、家臣たちはばらばら

永禄5(1562)年、父の死去に伴い、半兵衛は19歳で家督を継ぎました。

この前年に、父と敵対した斎藤義龍は急死しており、半兵衛はその息子の龍興(たつおき)に出仕します。義龍が存命だったならば、わだかまりがあったかもしれませんが、少年当主だった龍興には、そこまでのこだわりはなかったかもしれませんね。

しかし、龍興が若すぎたことが、織田信長の侵攻を招くことになってしまいました。勢い盛んな信長相手に、こんな当主で大丈夫なのか…と、家臣たちの間には動揺が走り、士気も下がってしまったのです。

そんな中で、信長の軍勢が攻め込んできました。これに立ち向かったのが、半兵衛だったのです。

策を用いて織田信長に勝利!

永禄6(1563)年、5,700の信長勢と、半兵衛を含む3,500の斎藤勢は、新加納(しんかのう)の戦いで激突しました。数から言えば、信長が圧倒的な有利です。

しかし、弱冠20歳の半兵衛は、ここである策を用いました。「十面埋伏(じゅうめんまいふく)」の計というものです。

これは、兵をすべて伏せさせて敵が通り過ぎるのを待ち、そこで敵の背中側の兵たちに奇襲をかけさせ、敵が驚いたところを残りの兵たちも取り囲んで攻めるというものでした。中国の「三国志」でも用いられた策だということですよ。

この鮮やかな用兵によって、半兵衛は見事信長勢を退却させることに成功したのでした。

たった16人で主君の城を占拠!伝説を作る

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信長の兵を退けた半兵衛ですが、主君・斎藤龍興からの評価はいっこうに上がりませんでした。酒色にふけり、気に入った家臣だけをそばに置いて政務に無関心な主君を前に、半兵衛はきついお灸を据えることを決心します。そして彼は、新たな道を歩むことにしたのでした。

半兵衛を評価しなかった主君・斎藤龍興

信長という強大な勢力を少ない兵で退けたとなれば、本来なら英雄です。半兵衛の株はこれで急上昇するはずでした。

ところが、そうはならなかったのです。

主君の斎藤龍興は、祖父・道三や父・義龍とは異なり、凡庸な人物だったと伝わっています。まだ若いのにもう酒色にふけり、政治にも戦事にもあまり興味を示しませんでした。そして、自分に諫言する西美濃三人衆などの重臣を遠ざけ、阿諛追従する取り巻きだけをそばに置くようになってしまったのです。

主君の側近にまで侮られた、半兵衛の柔和な容貌

しかも、取り巻きたちもやりたい放題でした。彼らまでもが半兵衛をバカにし、ある時、櫓の上から半兵衛に向かって小便をかけたこともあったというのですから、ひどいものですよね。

というのも、半兵衛は、一般的な戦国武将のイメージからは程遠い外見をしていたのです。筋骨隆々で勇壮…とうものとは正反対で、病弱で痩身、女性のように柔和な面差しで、いつも物静かだったそうなんですよ。このため、侮られることが多かったのです。

しかし、半兵衛は内心である決心をしていました。

「こんなことでは、お家が傾いてしまう…殿に変わってもらわなくては」と。

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