ギリシャヨーロッパの歴史古代ギリシャ

古代ギリシャ哲学の世界~「万物の根源とは?」「生きるってどういうこと?」

「禁欲の果てにある幸福」ストア派

ストア派(ストア学派)とは、紀元前3世紀頃、キティオンのゼノンという哲学者によって創設されたヘレニズム哲学の学派のひとつです。ストア派の思想は、ローマ時代の哲学者・思想家たちにも伝わり、ローマ帝国の皇帝たちに影響を与えたといわれています。

ストアとは、アテナイの広場(アゴラ)にあった柱廊(柱が連なり屋根のある通路)のこと。ゼノンがよく、ストアで講義をしていたことから、この名がつけられたのだそうです。

ストア派の哲学は「禁欲主義(英単語「ストイック」の語源ともいわれる)」と呼ばれています。

理性(ロゴス)によって欲や感情(パトス)に打ち勝ち、不動心(アパテイア)という境地に達することこそ徳であり幸福であるというものです。

ゼノンの後も、クリュシッポスやポセイドニオス、エピクテトスなど、ストア派を継承した哲学者は数多く存在。ローマ五賢帝のひとりとされるマルクス・アウレリウス・アントニヌスも、政治にストア派の考え方を用いたとして知られています。

「犬のように生きる」キュニコス学派

キュニコス学派(キニク学派)とは、紀元前4世紀頃の古代ギリシャ哲学学派のひとつです。ソクラテスの弟子のひとり、アンティステネスが始めた学派で、「犬儒派」とも呼ばれています。

自由で自足的、何物にもとらわれずのびのびとした犬のような生活を理想としたものです。

この時代、それまで当たり前であった「ポリス(都市国家)」という政治体制が揺らぎ始め、ギリシャの人々の生活は大きく変わろうとしていました。ポリスなどの社会制度や文化など人為的なものにすがることをやめ、動物のように生きることで幸福を得ると主張したのが、キュニコス学派の基本的な思想です。

開祖はアンティステネスですが、この学派を確立したのはその弟子のディオゲネスであると言われています。

何気ない日常の疑問を深く深く~奥が深い古代ギリシャ哲学の世界

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「万物は何からできているか」「人はなぜ生きるのか」「生きるとは何か」「真理はどこにあるのか」そんなこと突然聞かれても「はあ?」で終わってしまう気もしますが、こうした問いが、私たちの暮らしの根っこの部分に無意識のうちに存在しているのかもしれない。記事を書きながらそんなことを感じました。この場合大切なのは「万物が何からできているか知る」ことではなく「考えようとする」ことなのではないか。そんなふうに考えると、難しそうな古代ギリシャ哲学も、ほんの少し、身近に感じられるようになると思います。

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