「Windows」とともにわたしたちは育った
冷戦期はワールド・ワイド・ウェブ(インターネット)は軍事機密。それが解禁されたのが冷戦崩壊後、つまり平成になってからです。ビル・ゲイツ氏が世に送り出した革新的オペレーションシステム(OS)は世界の景色を変えます。Windows95です。以後98、2000……とアップデートを重ねていき、もはやなくてはならない文明の利器の1つとなりました。
この頃、記録媒体として「フロッピーディスク」「CD-ROM」「MO」などがありましたが、最終的には「USBメモリ」にほぼ統一。電子メールも普及しました。ちなみのこの頃のパソコンは「箱型モニター」。非常に繊細で、水分や衝撃であっという間に壊れました。「ドゥンッ」というエラー音とともに勝手に強制終了し、データが全消去されるという悲劇に何度襲われたことか……。あの音はトラウマなので聞きたくありません。
当初、パソコンのスペックの関係で動画のローディングに莫大な時間がかかったことから、ネット上ではテキストメディアが盛り上がりを見せます。2001年には一大ブログブームが到来。「アルファブロガー」という単語も生まれました。
ガラケーの時代、そしてスマートフォン誕生!
1995年ごろ、携帯電話が本格的に生活に浸透してきました(筆者が物心ついた頃、まだ父はポケベルを使っていたのですが)。「iモード」「EZweb」にはじまる多機能携帯電話(いわゆる「ガラケー」)が普及。まさにSF世界の到来です。筆者も中学生のころから塾の送り迎えに携帯電話を持たせてもらいましたが、二つ折りの携帯電話をパッチンパッチンやりすぎて接続部分が……
そんな中でアップル社のスティーヴ・ジョブスが2008年に革命を起こします。「iPhone」――このスタイリッシュな「魔法の板」のような携帯端末は今まで見たことのない世界を作ってしまいました。(筆者もお金がないのにSoftBank店舗で一目惚れし、iPhone3Gのためにバイトをはじめました)
当時、スマートフォンは通信費は1万円超えという鬼畜なお値段。家計を圧迫はしましたがコレ1つで、カメラにメールにインターネット、動画閲覧やチャットなど、パソコン以上の機能がまかなえる!なによりもタッチパネルの快感を一度知ったら離れられない!すでにスマホのない生活など考えられません。
ツイッター、Facebook、インスタ、YouTube、2ちゃんねる……生活とともにあるSNS
ソーシャル・ネットワーキング・サービスいわゆる「SNS」は登場とほぼ同時、あっという間に若者の間に浸透しました。ツイッター、Facebook、インスタグラム……SNSで出会ったカップルが結婚することも増えました。2011年にはLINEが登場。無料通話が使えるLINEは電話代を気にすることなく、スマホをスピーカー通話状態にしてうだうだとダベるという光景も「平成」以降のものです。
また2010年代以降、匿名掲示板「2ちゃんねる」が市民権を得ました。当初は「便所の落書き」と見られていた2ちゃんねるも、今では「町の人の声」扱いでニュースに登場していたり。時代は変わっていきますね。
一方で「いいね」の数で人物を秤にかけたり、デマや誹謗中傷、プライバシー侵害などの問題はあとをたちません。しかしこれも、これまで歴史で何度もあった価値観の転換点と捉えるしかないでしょう。遡ればテレビができたときも、汽車が発明されたときも、紙幣ができたときだって危険や反対論はあったのですから。生まれてしまった文明の利器はやがて人によって使いならされていくもの。良い使い方をしていきたいものです。
平成生まれってどんな人間?その「正体」やいかに
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拾いきれていない部分もありますが、かなり急ぎ足で平成「あるある」をまとめてきました。さて、平成しか知らない平成っ子とは、そもそもどんな新人類として昭和のオトナたちに見られてきたのか?ブラック企業、草食系、そしてゆとり……昭和世代が不可解な若者世代を理解しようとしたワードをピックアップしながら、最後に「平成っ子とは何者なのか?」を見据えていこうと思います。ついでに、昭和世代に物申しますよ!
「ブラック企業」にうつ病に……変わっていく「仕事場」の光景
いよいよ平成っ子も大人になり、社会人として働くこととなりました。ちょうど問題となってきたのが、そう「ブラック企業」です。さらには平成時代の特徴として「うつ病」「自律神経失調症」などの精神疾患の認知度と社会的な受容が進んだことが挙げられます。ブラック企業に入って体を壊し、心療内科で診断書をもらって療養へ……そんな光景は昭和にはなかったことではないでしょうか。
しかしブラック企業体質は今にはじまったことではありません。問題が露呈しなかっただけです。「精神が軟弱でこれだからゆとりは」などと、またおっさんおばさんの声が聞こえるようですが、非人間的な時間外労働やハラスメントがまかり通っていたこれまでの社会のほうが倫理的に異常。現在ももちろん時間外労働やハラスメントは横行していますが、少なくとも問題視され、人権を守ろうという試みはされています。
一方でインターネットの恩恵により、在宅で仕事を受けて生計を立てることが可能になりました。ブログでのアフィリエイト収入やハンドメイド作品の通信販売、テレワーク。ノマドワーカーや在宅ワークが普及。収入の源泉となる場所が増えたのも平成ならではです。
買い物も勉強も仕事も結婚も……「インターネット」という救済
もはや生存になくてはならなくなったインターネット。困ったらググり、品物がなかったらAmazonや楽天をポチり。電子マネーやクレジットカードのポイントを駆使し、愚痴をツイッターにつぶやいて「いいね」をもらう。KindleやiTunesで一瞬にして本や音楽を買っちゃう。
半径数十キロメートル程度の学校・会社・ご近所で完結していた世界が時代は過ぎました。ワールドワイドに人間関係の相手を求められることになったことは、さまざまな自由や可能性を生みました。オフ会を通して生涯の親友や伴侶を見つけることも珍しくありません。
インターネットは悪、ネット断ちすれば心身ともに健康になる!という大人も(信じがたいことに)まだいますが、現代っ子のわれらにとっては狭い範囲の交友関係こそ束縛そのもの。ちなみに「会ったこともない人とリアルで会うなんて危なすぎる」と思うのがおっさんおばさん。「リア友にネットでつながるとかマジやばい」が現代っ子の価値観ではないでしょうか。