日本の歴史

死ぬまでに見る価値のある日本の自然・文化~日本にある世界遺産8選~

#7 江戸時代に最盛期を迎えた日本最大の銀山【石見銀山遺跡とその文化的景観】

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2007年に世界遺産登録されており、構成資産としては銀山そのものだけでなく、周辺の集落や街道、代官所や城跡なども含んでいます。戦国時代には毛利氏と尼子氏との間で熾烈な争奪戦が繰り広げられた歴史があるため、3つの中世山城跡が指定されているのですね。

銀山の坑内には【間歩(まぶ)】という坑道が無数に掘られており、そのうちのいくつかは内部を見学することができます。特に龍源寺間歩は常時公開されている唯一の坑道で、壁面には当時のノミの跡がくっきりと残っていたり、深さ100メートルもの竪坑を見ることも可能です。

また周辺には、銀山最盛期の頃に栄えた街並みや代官所跡などもあり、のんびりと散策するのにおすすめ。古民家をリノベーションしたカフェやレトロな土産物屋などもあるので、ゆっくりした時の流れを感じるのも楽しみの一つかも知れません。

ここにある石見銀山世界遺産センターは、これら構成遺産訪問の玄関口であり拠点です。模型やレプリカでわかりやすく石見銀山を解説しているので、初めての方でも安心して学ぶことができるでしょう。

※石見銀山へのアクセス

マイカーで。

東方面からお越しの方は、山陰自動車道の出雲ICから約30分。

広島・九州方面からお越しの方は、浜田自動車道の大朝ICから約60分。

四国方面からお越しの方は、中国自動車道の三次ICから約90分。

鉄道で。

東方面からお越しの方は、JR山陰本線大田市駅から路線バス。

広島・九州・四国方面からお越しの方は、JR広島駅より直行バス【石見銀山号】に乗車。

 

#8 奥州藤原氏の栄華を現在に伝える【平泉の文化遺産】

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2011年に世界遺産に登録されており、平安時代後期に奥州(現在の東北地方)で栄えた藤原氏の遺跡群です。正式には【平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―】といい、浄土思想によって表現された寺院や庭園などが現存しています。大陸文化の影響を受けつつも日本独自に発展をとげた文化が垣間見えるのも特徴。

【中尊寺】は、奥州藤原氏の初代清衡による造営で、中でも1124年に完成した金色堂は国宝に指定されており、国内外でも有名です。奥州へ攻め入った源頼朝が、その伽藍の壮麗さに驚き、後に鎌倉で中尊寺を模した永福寺を建立したほどでした。

【毛越寺(もうつうじ)】は、世界遺産以外にも、国の特別史跡、特別名勝としても指定されていてトリプルの栄冠に輝いています。最盛期には堂塔40、僧房500を数える大寺院だったとのことで、その壮大さは鎌倉期の記録【吾妻鏡】にも記されているのです。またその庭園は【浄土庭園】といわれ、仏の世界を地上に再現したものだとされていますね。

【無量光院跡】は、奥州藤原氏3代秀衡が造営したもので、京都宇治の平等院を模して造られています。過去に何度も火災に遭って建物はすべて焼失し、現在は礎石や庭園だけしか残っていませんが、発掘調査によれば、その規模は平等院をはるかにしのぐ大きさだったそうです。復元整備も進められており、期間限定で池に水を張る作業も行われているそう。

【観自在王院(かんじざいおういん)跡】は、奥州藤原氏2代基衡の妻によって建立されたといわれており、大小2棟の阿弥陀堂の前に美しい浄土庭園が広がっていたとされています。戦国時代の兵火によって建物は消失しましたが、発掘調査の成果に基づいて伽藍や庭園の修復整備が進み、現在は地元町民や観光客の憩いの場となっているのですね。

【金鶏山】は、藤原秀衡が一晩で人工的に築かせたという話や、山の頂上辺りに雌雄一対の金の鶏を埋めさせたという伝説も残り、浄土思想のシンボル的存在となっています。たいして高くはない山なので、ちょっとしたウォーキングや散策にちょうど良いかも知れません。

※奥州平泉(岩手県西磐井郡平泉町)へのアクセス

マイカーで。

東北自動車道で平泉前沢ICから約10分。

鉄道で。

東北新幹線の一ノ関駅~JR東北本線の平泉駅~毛越寺まで約0.7km、中尊寺まで約1.5km

飛行機で。

札幌、名古屋、大阪、福岡~花巻空港。鉄道で乗り換え。

札幌、中部国際、大阪、小松、広島、福岡~仙台空港。鉄道で乗り換え。

日本の世界遺産をもっと知ってみよう!

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ここまで8つの日本にある世界遺産をピックアップし、ご紹介してきましたが、残るあと14の世界遺産も素晴らしいものばかりです。【京都】などは、ほとんど街ぐるみで世界遺産登録されているのも同然ですし、美しい建造物としては【姫路城】【日光の社寺】などもあります。また日本特有の精神世界を表現した【神宿る沖ノ島】【紀伊山地の霊場と参詣道】なども忘れていはいけない存在ですよね。これから先、日本における世界遺産の数はもっともっと増えるでしょう。だからこそ私たち日本人が率先して日本の文化を知ったり、文化財保護のために努力していければ良いのではないでしょうか。

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明石則実