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【5分で解説】ピタゴラスの功績は?どんな人物?「万物は数なり」をわかりやすく解説!

[2]数こそが物事の根源である「万物は数なり」

「万物は数なり」とは、ピタゴラスの思想の中核を担う言葉です。

自然や宇宙のすべては数から成り立っており、すべて数で表すことができるというもの。「アルケー(万物)は数でできている」。ピタゴラス教団はこの思想に基づいて宇宙の真理を探究し続けました。

またまた余談になりますが、自身の功績に対して「哲学」という言葉を最初に用いたのはピタゴラスだったといわれています。

ピタゴラスは異様なまでに数に整合性や完全性を追求。10を完全な数と考え、10個の点を1、2、3、4とピラミッド型になるよう配置した「テトラクテュス」という三角形を教団の紋章としていました。

ピタゴラスが特に崇拝していたのが「完全数」。自分自身(例えば6)とその約数(6の約数である3と2と1)が等しくなる数のことで、28=1+2+4+7+14や496=1+2+4+8+16+31+62+124+248など、規則性なく神出鬼没に登場します。「完全数」は小説『博士の愛した数式』にも登場するので、ご存知の方も多いでしょう。

[3]そんなものは認めない!「無理数」との闘い

「無理数」とは分数で表せない数、割り切れず小数点以下の数値が延々続くけれど続き方に規則性がない数のことです。

例えば平方根、ルート3、ルート5、円周率やネイピア数など。よくよく見ると、無理数はけっこうたくさん存在しているのです。

「完全数」を崇拝するピタゴラスは、「無理数」の存在を認めていませんでした。

しかしあるとき、教団メンバーの一人が、正方形の対角線の研究をしていて「無理数」の存在に気づいてしまいます。ピタゴラスの教えに反する「無理数」。このメンバーが無理数の存在を公にしようとしたため、なんと教団は彼を処刑してしまったのだそうです。

ピタゴラスがなぜ「無理数」を嫌ったのか、彼自身の言葉で記した文章が残されていないため、詳しいことはわかっていません。ルート2も円周率も、なかなか美しい数だと思うのですが、ピタゴラスにとっては、美しくない不完全で調和の乱れた数、ということになるのでしょうか。

[4]「音楽は数字」ピタゴラスと音階

ピタゴラスは音楽も数で表すことができると考えていました。音という目に見えないものも数で表そうとしたのです。

その概要はというと、音程を数の比で表現するというもの。オクターブは1:2、五度は3:2、四度は4:3……。音楽と数学を関連付け、そこに規則性があることを見出しました。この比を「ピタゴラス音階(ピタゴラス音律)」と呼びます。

ピタゴラスは実際に弦楽器や笛を奏で、音の長さや振動数を測定して音程と数の規則性を発見。現代の音楽にも通じる「ドレミファソラシド」も、ピタゴラスが作ったとされています。もしピタゴラスが音の数値化という概念を生み出していなかったら、楽譜やコードといった音の記録の仕方など、現代の音楽にも何かしら影響が及んでいたかもしれません。

ただ、なぜピタゴラスが音楽に目を付けたのかについては、文書や記録が残っているわけではなく、よくわかっていないのだそうです。

天才?変人?2500年以上経ってなお存在感を増すピタゴラス

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ギリシャのサモス島には、ピタゴラスにちなんだ名前を持つ「ピタゴリオ」という街があり、世界遺産にも登録されています。もともとは別の名前を持つ街でしたが、1955年に改名したのだそうです。直接の著書や文献がまったく残っていないのは大変残念ですが、そう聞くと余計に、どんな人物だったのか、何を見て数々のひらめきを呼び起こしたのか、一層知りたくなりました。いつかピタゴラスの足跡を訪ね歩いてみたいです。

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