ヨーロッパの歴史

聖書っておもしろい!世界一のベストセラー・旧約聖書と新約聖書をダッシュで解説

世界史を学ぶときに絶対外せない一冊の本。そう「聖書」です。旧約と新約とあるけど違いはなに?何が書いてあるの?預言者や救世主、ヤハウェって?実際に手をつけたけどわけわからない!これを読めばポイントがわかる!世界のはじまりからユダヤ教、キリスト教の誕生の物語、聖書の世界をご一緒に。

「創世記」世界はここからはじまった

image by iStockphoto

「光あれ」と父なる神が言い、世界に昼と夜が生まれ、最初の男女アダムとイブが創られました。有名な聖書最初の書「創世記」ですが、どんな内容かご存知ですか?神が天と地と生物を創ってからのち、「イスラエル」のはじまりができるまで。神話と伝説の創世記をたどってみましょう。

旧約聖書の父なる神「YHWH」って?天地創造、楽園追放

そもそも聖書の父なる神とは何者でしょう?原文ではYHWHと記されます。みだりに主の名を唱えてはならない、という教えのもとでこの記述になったとか。読み方はヤハウェ説とエホバ説に分かれていましたが、現在ではヤハウェ説が有力です。

さてこのヤハウェ、7日かけて世界を創りました。最後の日はつかれたのでお休み。これが「安息日」の根拠です。ヤハウェによって創られた最初の男女、アダムとイブは平和に楽園で暮らすことに。しかし食べることを禁じられていた知恵の樹の木の実を、蛇のそそのかしによって食べてしまいます。これに怒ったヤハウェが行ったのは有名な「楽園追放」です。しかしヤハウェはこう言って2人を祝福しました「産めよ、増えよ、地にみちよ」知恵の実を食べたことは、性的な快楽を2人が覚えたという象徴とも言われています。

人類最初の殺人、ノアの箱舟、バベルの塔

創世記のエピソードで有名なものを一挙にピックアップしていきましょう。まずは人類最初の人殺し、牧畜をするカインと農耕をするアベル。2人はそれぞれ神に供え物をしますがヤハウェはアベルのもののみ喜び、カインの供え物を無視。怒りと妬みにかられたカインはアベルを殺害。カインはヤハウェによって放逐されたのでした。

ノアの方舟のは、大洪水で人類が滅ぼされる物語。堕落してしまった人類。唯一正しい人であった老人ノアは家族や動物のつがいをのせた「方舟(はこぶね)」を作ります。そしてやってきた150日の大洪水。ノアたちは無事に生き残り、ヤハウェはもう人を滅ぼそうとしないと約束したのでした。人類絶滅と方舟伝説は他の神話にも酷似した内容が伝わっており、中東に起こった大洪水がベースの物語になっていると言われています。

バベルの塔は、すべての民が天まで届く塔を作ろうとした物語です。神はその力を脅威に感じ、人びとの話す言葉を乱してしまいました。別々の言葉を話すことで、意思の疎通(そつう)がとれなくなった人びとは世界中に散っていったのです。

約束の地「イスラエル」「エルサレム」の誕生

ここまでは神話の領域。この先は「伝説」に移ります。アブラハム、イサク、ヤコブの親子三世代の物語です。まずは太祖アブラハム。長年の不妊の末にできた息子イサクを生贄に捧げるよう要求します。アブラハムは神の仰せということで人気のないところでイサクを殺そうとしました。ここでヤハウェがストップをかけます。「主である神様にそこまで忠実になれる」と信仰を買われたアブラハムは「カナン(約束の地)」を与えられました。これが後のエルサレムです。

あやうく殺されかけたイサク。彼は無事に双子の兄弟エサウとヤコブをもうけます。しかし長子の権利をめぐって揉め、兄のエサウを追い出してヤコブが跡継ぎとなりました。ヤコブはその後独立。そして神の天使と格闘することになります。天使に勝利したヤコブは「イシャラー(勝つもの)」「エル(神)」の名前を与えられました。これが「イスラエル」の国名のもとです。また、ヤコブの子どもたちはその後、イスラエル12部族の始祖となったと伝えられます。そしてその後ヤコブの子ヨセフの縁で、イスラエルの民はエジプトへ一族そろって移住したのでした。この移住が「出エジプト記」への助走となります。

エジプト脱出!出エジプト記へ

image by iStockphoto

出エジプト記、聖書最大の預言者の1人モーセ……みなさんイメージは「海が割れる」あのシーンではないでしょうか?あるいは「モーゼの十戒」も思い浮かぶはず。創世記でエジプトに移住したイスラエルの民。その後は一体?迫害の地エジプト脱出から建国されたイスラエル王国の栄光、そして……聖書の「歴史」物語、はじまりはじまりです。

「預言者モーセ」そもそも預言者って?

「預言者」とは神の言葉を預かって人びとに伝える人のこと。魔法や神がかりで未来を見て伝える「予言者」とは違います。歴代預言者の中でももっとも偉大とされるその1人が、モーセです。

ヤコブの一族がエジプトへ行ったころには厚遇されていたイスラエル人も、王様が変わると一転迫害されるように。そんな中で登場したのがモーセでした。神に選ばれし預言者モーセはイスラエルの一族を引き連れてエジプトを脱出。奇跡の力で紅海を割って海底を歩いてアフリカ大陸からアラビア半島を渡ってしまいます。

つらい旅路。エジプト帰りたいと言い出したり勝手に偶像を拝んだりする人びとに、モーセはキレて神から賜った石版を壊しちゃったりもしました。しかしそこは聖なる預言者、お腹をすかせた一行に奇跡の力で水や食べ物を与えてなだめつつ、なんとか約束の地カナン(現在のパレスチナ周辺の地、後のイスラエル王国領)へ帰還したのでした。

モーゼの十戒は神から与えられた大切な掟です。神はヤハウェのみであること。偶像崇拝の禁止。その他殺人や姦淫の禁止、両親を敬うべしというモラル面が説かれています。これがユダヤ教、キリスト教、イスラム教の基本倫理として現在も脈々と保たれているのです。

イスラエル王国の栄光と「ディアスポラ」

エジプトを長い時間をかけて脱出したイスラエル人。創世記の昔に神から得たの約束の地を再度武力のもとに征服して王国を再建します。イスラエル王国。この頃にはダビデ王、ソロモン王2人の英君を戴き、最盛期を築いたのです。

しかしソロモン王の時代に行われた重税や強制労働、政治腐敗への不満が王の死後に爆発。イスラエル王国は南北に分裂してしまいます。周辺の強国に吸収されユダヤ人は国を失ってしまいました。イスラエル王国のあとを治めることとなったアッシリアの政策により、強制的にサマリアの地などへ移住させられたこれが「バビロン捕囚」です。

独自の宗教とコミュニティを作ってユダヤ人は「ディアスポラ(撒き散らされた者)」として世界中に散り、生きのびつづけます。破壊されたエルサレム神殿の残存する一部は、今もユダヤ教の聖地となっているパレスチナの「嘆きの壁」です。

次のページを読む
1 2 3
Share: