モーゼの十戒とは?神から与えられた10の戒律
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ひとまずスペクタクル映画『十戒』のことは置いておいて、まずはもともとの「モーゼの十戒(じっかい)」について解説します。映画を見たことがある方なら、古代エジプトや中東地域が舞台となっていることは想像がつくはず。モーゼとは何なのか、十戒とは何か、いつ頃のことなのか、歴史上の出来事なのか……。詳しく見ていきましょう。
モーゼとは?聖書にも登場するユダヤ民族の指導者
「モーゼの十戒」とは、のモーゼ(モーセともいう:Moses)という人物が神から与えられたとされる「10の戒律」のことで、『旧約聖書』の「出エジプト記」に書かれています。
モーゼとは神話や伝説上の人物と解釈されることもありますが、おそらくは紀元前16世紀ごろに実在し活躍していた民族指導者・預言者。実在の人物と考えられています。
中世ヨーロッパでは絵画や彫刻のモチーフとして描かれることもあり、概ねヒゲを蓄えた老人の姿をしていることが多いようです。
そんなモーゼがたびたび登場する「出エジプト記」とは、ユダヤ人(またはイスラエル人・ヘブライ人とも)たちを連れてエジプトを脱出するという物語を中心とした『旧約聖書』の2番目の書。虐げられ苦しい生活を送っていたユダヤ人たちを率いたのがモーゼでした。
モーゼ自身は、エジプトで生まれたヘブライ人だと伝わっています。奴隷のように扱われていた人々を救い出すよう神のお告げを受け、彼らを連れてエジプトを脱出する……というのが「出エジプト記」の概要であり要約です。
この物語には、シナイ山(シナイ半島南部にある標高2500mほどの岩山)など実際の地名も登場。史実に基づいているのでは?との見解もあるのだそうです。
モーゼが受けた「十戒」は、二枚の石板に刻まれて記録されたと伝わっています。
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モーゼの十戒と『旧約聖書』の「出エジプト記」
『旧約聖書』の最初の書「創世記」の後に登場する「出エジプト記」によると、ユダヤ人たちはエジプトで農業を営んで暮らしていました。それを見たエジプトの新しい王(ファラオ)が、ユダヤ人たちの豊かな生活を見て、彼らの人数が増えて脅威になることを恐れます。王はユダヤ人たちを制圧して奴隷にし、町の建造などの重労働をさせたのだそうです。
王はユダヤ人たちの反逆を警戒し、男の子が生まれたら殺せ、川に捨てろと残酷なことを命じます。
いずれにせよそんなこと、できるわけもありません。ユダヤの人々は、生まれた男の子を密かに葦(またはパピルス)の船に乗せて逃しました。その男の子がモーゼです。
ある日モーゼは、苦しい生活を強いられているユダヤ人たちを救出するよう、神から命じられます。
モーゼはユダヤの人々を国外に逃がすべく画策し、不思議な術を使って見せたりしながら、何とかエジプト脱出を成功させるのです。
怒った王はすぐさま、追っ手の大軍を差し向けます。海岸沿いまで追い詰められたユダヤの人々とモーゼ。でもモーゼが海を真っ二つに割り、人々は海の間を歩いて逃げることができました。
モーゼたちは長い旅を経てシナイ山という険しい岩山に到着。そこに神が現われ、人々を代表してモーゼが十戒を授かります。
そして神のための幕屋(礼拝や儀式など神様のためのテントのような建物)を建造。物語は終わります。
【モーゼの十戒】
1)主(しゅ)の他に神があってはならない(主が唯一神である)。
2)偶像を作ったり、それを拝んだり敬ったりしてはならない。
3)神の名をみだりに唱えてはならない。
4)安息日を守ること。
5)父母を敬うこと。
6)人を殺してはいけない。
7)姦淫をしてはいけない。
8)盗んではいけない。
9)隣人に対し、偽証してはいけない。
10)隣人の家や財産を欲しがってはならない
超スペクタクル大作映画『十戒』:概要とあらすじ
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旧約聖書の中の記述というと、もっと厳かで敷居が高いものかと思いきや、何ともドラマチックな「出エジプト記」。「出」とは、エジプトを脱出する物語であることを表しているのでしょうか。これを映画にしない手はありません。そんな「出エジプト記」をもとに製作されたのが映画『十戒』です。どんな映画なのか、簡単ではありますがご紹介します。
映画『十戒』はいつ作られた?主演は?
『十戒』は、1957年にアメリカの映画監督セシル・B・デミルによって製作された映画です。
全編230分を超える超大作。まだコンピュータ・グラフィックなどない時代に、特撮技術を駆使して作られた迫力満点の映像とが話題となりました。総制作費は1350万ドルにも及ぶといわれています。
モーゼを演じたのはチャールトン・ヘストン。一方のエジプト王はユル・ブリンナーが怪演。ユル・ブリンナーは同じ頃に公開されている『王様と私』でも王様を演じており、モーゼと対峙するファラオを貫禄たっぷりに演じています。
クライマックスとなる「海が割れる場面」は、この映画の象徴的なシーンに。現代では、映画に限らず、「十戒」というと必ずといっていいほどこの映像が用いられるようになりました。「十戒」そのものを知らなくても海が割れるシーンは見たことがあるという人も多いようです。
セシル・B・デミル監督は1923年に一度、旧約聖書をモデルにした『十誡』という映画を撮っています。1957年の『十戒』は、この映画の一部をリメイクしたものなのだそうです。
名優激突!映画『十戒』のストーリー(1)
舞台は今から3000年以上も前のエジプト。ヘブライ人(ユダヤ人またはイスラエル人)は奴隷として働かされていました。
あるとき、エジプト王ラメセス一世は予言者から「救世主が誕生するらしい」との話を聞きます。そこでこれから産まれる赤ん坊が男だったら全部殺せと命令を下すのです。男の子を産んだ母親は、我が子を籠に入れてナイル川に流します。その籠を拾ったのはなんとラメセス一世の娘、エジプト王女でした。
王女に拾われた赤ん坊はモーゼと名づけられ、賢くたくましい青年へと成長します。これがチャールトン・ヘストン。長身で端正な顔立ち、筋肉美、貧しい身なりをしていてもオーラ全開です。
しかしモーゼの出生の秘密が王子ラメセス二世にバレてしまい、モーゼは王宮を追放されてしまいます。この王子を演じたのがユル・ブリンナー。きりりとした目元が凛々しく、憎らしい役どころではありますが見ていて引き込まれること間違いなしです。
放浪の末、モーゼはシナイ山の麓で静かな暮らしを堪能していました。