平清盛より500年以上前からあった!神々の島に建つ厳島神社の歴史
厳島神社というと平清盛を思い浮かべる人も多いと思います。現在のような、壮大な社殿を築かせたのは平清盛ですが、厳島神社はもっと古い時代から建てられていました。長い長い厳島神社の歴史、駆け足で辿ってみましょう。
全国に500社以上ある?!厳島神社とは?
広島県の宮島にある厳島神社は、公式には「嚴島神社」という字を用いるそうですが、実は「厳島」という名前を持つ神社は北海道から九州まで、全国に500社ほどあるといわれています。宮島の厳島神社はその総本社です。氷川神社や熊野神社のように、厳島神社も古くから多くの人の信仰を集め、全国に広がっていったのでしょう。
厳島神社は日本神話に登場する宗像三女神の一柱、市杵島姫命(イチキシマヒメ)または狭依毘売命(サヨリヒメノミコト)を祭神として祀る神社。地域によっては弁財天など別の神様と一緒に祀られているところもあります。
杵島姫神は水の神様であり、厳島神社の名前の由来になったとも。また、宮島という島の自然そのものが信仰の対象となっていたとも考えられています。宮島の神々しい自然を見れば、なるほど納得です。
また、厳島(宮島)からは、古代のものと思われる土器や勾玉などがいくつか出土しているそうで、厳島神社創建より前から、神々に捧げる祭祀が行われていた可能性も示唆されています。「神にいつく(仕える)島」が語源になったのでは、という説もあるそうです。
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創建は593年・1500年以上の歴史を持つ厳島神社
厳島神社は平清盛が創建したもの、と思われがちですが、創建自体はそれより500年以上も昔のことで、593年とされています。593年といえば時代は飛鳥時代。推古天皇のもとで聖徳太子が活躍していた時代です。
当時の有力豪族・佐伯氏がこの島に社殿を創建し、市杵島姫命を祭ったことが始まりとされています。古くは「伊都岐島神社」と記されることもあったようです
宮島は巨岩に覆われた険しい山や穏やかな入り江を持つ、自然豊かな場所。標高500mを超える山々の勇壮な風景を背に、現在も社殿が建つ海側に社殿が建てられました。
平安時代に入って間もなく、厳島神社は安芸国(現在の広島県のあたり)の一之宮(その地域で最も格の高い神社)に昇格。朝廷からの奉幣を受けるまでになります。
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異国人もビックリ!平清盛によって壮大な海上社殿に
平安時代末期の12世紀頃、安芸一帯を治めるようになったのが平家一族です。めきめきと頭角を現してきた平清盛をはじめ、平家一門は厳島神社を深く信仰していたと伝わっています。
1167年、平清盛は太政大臣に任ぜられ、翌年から厳島神社の大規模改築を慣行。この頃、現在のような海上に浮かぶ壮大な社殿が造営されたものと考えられています。
確かな記録はありませんが、平清盛は中国(当時は宋王朝)との交易に力を注いでいましたので、中国へ旅立つ船の航海の安全を願ったのかもしれません。
あるいは、瀬戸内を通る中国船に見せつけて、自らの力を誇示する目的があったとも考えられます。
また、代々神社を守っていた佐伯氏が平清盛に近づいたことから、厳島神社とのつながりができたという可能性もあるそうです。
歴史的に見ればほんの十数年ということになりますが、当時の平清盛の権力と財力は絶対的なものでした。平家の氏神となった厳島神社は、平家の繁栄とともに大きくなっていきます。
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あの戦国武将も詣でた?人々に愛される麗しき名刹
平家が滅亡した後も、鎌倉幕府や室町幕府の将軍たちから奉納品を預かるなど、時の権力者たちからの信仰を受け続けていきます。
しかし、その道のりは決して、華やかなものではなかったようです。
清盛が建てたとされる大鳥居や海上社殿は、長年、海水や海風にさらされ、腐食に悩まされていました。13世紀、14世紀頃には社殿が全焼したり、大鳥居が倒れたこともあったそうです。もう、清盛の時代のような隆盛ぶりは見られません。
それでも厳島神社は、多くの人々の信仰を集め、その都度再建され続けてきました。
戦国時代に入ると、安芸の国を治めていた戦国武将・毛利元就が厳島神社を信仰するようになります。元就は社殿の大々的な修復工事を行い、やや荒廃していた神社は再び注目されるようになっていきました。
江戸時代に入って世の中が平和になると、庶民の間に厳島詣が流行。門前に出店が並び、参拝者で大変にぎわったのだそうです。
1996年、景観の美しさや建物の芸術性、歴史的な意味などが評価され、世界文化遺産に登録されました。
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日本が誇る世界遺産!厳島神社の見どころをご紹介
現在残る厳島神社の建物の多くは、およそ800年前に建てられたもの。長い間、多くの人々の手によって守られ、信仰され続けてきました。歴史を知ると、やっぱり行ってみたくなりますよね。宮島は、フェリーでおよそ10分ほど。自然豊かで四季折々の風景を楽しむことのできる厳島神社の見どころをご紹介します。
潮の満ち干きがポイント!海上に建つ「大鳥居」
境内からおよそ200mほど沖合に建てられている、海に建つ朱色の大鳥居は、厳島神社のシンボルです。
高さおよそ16m、2本の主柱の間隔およそ11mという巨大さ。主柱にはクスノキが使われています。現在の鳥居は、明治8年に建て替えられたものだそうですが、海に浸かっているため、ところどころ木を継ぐなど修繕作業は欠かせないのだそうです。
柱の基礎部分はどうなっているのでしょう。まず丸太の杭が何本も海の中に打ち込み、その上に固い岩とコンクリートでしっかりとした土台が築かれます。そしてなんと、あの巨大な鳥居は、その土台の上に自力で立っているのだそうです。
海の上で、海風や波にさらされてなぜ倒れないのか!?と心配になってしまいますが、あの鳥居は60トン近い重量があるそうで、その重さで倒れない仕組みになっています。材木だけでも相当な重さがありますが、さらにもう一工夫、主柱の間の横木の中が箱状になっているそうで、そこに石をたくさん詰めて重さを増やしているのだそうです。
鳥居の建っているあたりは浅瀬。潮の干満は1日2回、12時間ごとに繰り返され、日によって差がありますがだいたい1m~2mほど水位が変わるようです。潮位が100㎝以下になると、鳥居の下まで歩いていくことができます。