イタリアヨーロッパの歴史ローマ帝国

5分でわかる古代最強の国家「ローマ帝国」わかりやすく解説

トラヤヌス【帝国の最大版図を築いた皇帝】

五賢帝の中で2番目にローマ皇帝となったトラヤヌス。彼を簡単に言えばローマ帝国を最盛期にさせた皇帝でした。

そんな彼ですが、皇帝になれたのはネルヴァと同じく棚ぼたによるもので、元々トラヤヌスはイベリア半島南部の属州生まれというこれまでだったら皇帝になることなんて不可能な地位のスタートだったのです。

しかし、軍人としての生活を始めるとその才能を見事に開花。ローマ軍人として各地で連戦連勝を上げていったのです。これに目をつけたのが上で紹介したネルヴァ。彼は自身の年齢と元老院中心の政治を行なっていた理由で軍人に人気がなかったこともあり、ネルヴァはトラヤヌスを養子にしました。そしてネルヴァがこの世を去ると養子であるトラヤヌスが即位。こうして史上初の属州生まれの皇帝が誕生したのでした。

こうして皇帝となったトラヤヌスですが、彼はそれにおごることなく政策を次々と立てていき、内政では属州出身の元老院議員とローマ市民の元老院議員の勢力を均等にすることに努め、政治的な安定を確立させていきます。さらに軍事の方でも元々トラヤヌスが軍人出身だったこともあって次々と外征を行っていき、ダキアやパルティアを征服。ローマ帝国の領域を最大までにしたのでした。

ハドリアヌス【ローマ国境の安定に尽力】

五賢帝の中で3番目に皇帝となったハドリアヌスはトラヤヌスが行ったローマ帝国の拡張政策を引きついでに戦争をどんどん行なっていきました。そんな戦争の実績によって皇帝となったのですが、このハドリアヌスはもしローマ帝国が攻められた時の対処法も行わなければならないと考えていました。そして彼はローマ帝国の国境にハドリアヌスの長城の建設を開始。ローマ帝国に異民族が侵入しないように所々に砦も建設してローマ国境の安定を図りました。また、国内政治においても彼は官僚や法の制度を整え、属州における建設事業も開始。ちなみにパルテノン神殿は彼の代に再築されました。

アントニヌス・ピウス【慈悲深き皇帝】

こうして国境地帯を安定させローマの平和を確固たるものとしたハドリアヌスでしたが、その養子となり五賢帝の中で4番目に皇帝となったのがアントニウス・ピウスでした。

ちなみに、ピウスというのはラテン語で『慈悲深き人』という意味でして、その名の通りこの皇帝は民衆に優しい政治を行なっていきました。

そんな彼の代表的な慈悲深い政策が奴隷の市民権獲得の緩和。この政策によってかつては虐げられてきた奴隷が簡単にローマの市民権を得るようになり、さらには今では当たり前の推定無罪の法則も創始。罪が確定するまで罪人としては扱わない今のような裁判のシステムを確立させたのでした。

マルクス・アウレリウス・アントニヌス【哲人皇帝】

五賢帝の中で最後に皇帝となったのがこのマルクス・アウレリウス・アントニヌスでした。長ったらしい名前ですが我慢して覚えましょう。

ちなみに、彼は後漢書と呼ばれる中国の史書に『大秦国王安敦』として名前が残っています。安敦はアントニヌスのことでしょうかね。

そんな彼でしたが、なんと好きなものが哲学。特にストア派と呼ばれる哲学を愛して『哲人皇帝』とも呼ばれていました。

しかし、この頃になるとローマ帝国内では異民族による反乱が続出。さらに第六次パルティア戦争によって天然痘が持ち込まれたことによりローマ市内では疫病が蔓延します。さらに彼は177年にコンモドゥスとともに共同皇帝に就任。これまでの優秀な人を皇帝にする五賢帝の時代は終わりを迎え、皇帝の世襲化の時代となったのでした。

ローマ帝国の知られざる生活と技術

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ローマ帝国といえば共和制時代と合わせれば紀元前から存在していた国家となります。紀元前と言ったら日本ではまだ弥生時代。人々が竪穴住居に住んで共同で稲作をやっている時代だったのですよ。そこで次では日本では弥生時代だった時ローマ帝国ではどんな生活を送れていたのか?という疑問について解説していこうと思います。

ローマ帝国の生活

ローマ帝国の生活を一言で表すのであればとっても楽。その名の通りローマ市民であれば誰でも必要最低限の生活を送ることができたのです。

例えばローマ市民であれば必要最低限の食料と娯楽を受ける権利というものがあります。穀物は属州からどんどん送り込まれますし、例え無料であったとしても問題はなかったのでしょう。

また、ローマ皇帝も完璧な独裁ではなかったためある程度の人気取りの政策を行わなければなりませんでした。そのためローマ皇帝は市民の生活を保障し、コロッセオなどの娯楽施設を建設して日々剣闘士による戦いや模擬海戦などを行なってローマ市民を飽きさせないように工夫していたのです。

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