豆知識・雑学

日本ではいつ頃から?「コーヒー」の歴史や起源をわかりやすく解説

煮出しからドリップへ:コーヒーの飲み方の変化

17世紀に入ってヨーロッパへ広まり、コーヒーの消費量が増えるにつれ、飲み方にも様々な工夫が見られるようになりました。

当初は豆を煮出して作っていたコーヒーですが、この方法だとどうしても、豆のカスが混ざってしまいます。そんなとき、人間はより美味しいコーヒーを飲むために工夫を凝らすもの。どこかの誰かが、煮出す前に豆をつぶして粉状にし、麻の袋に入れて煮出し、見事カスが残らないコーヒーの淹れ方を考案したのです。

やがて麻袋に改良が加えられ、現在でも使われる布ドリップ方式が考案されます。この方法は瞬く間に各地に広まり、ドリップのための様々な道具も生み出されていくのです。

さらに、ドリップした後でいちいち麻布を洗わないとならないところにも着目。20世紀初頭には、ドイツのメリタ夫人によって考案された紙ドリップが大ヒットとなり、ペーパーフィルターはドリップコーヒーに欠かせないアイテムとなりました。

このようにコーヒーは、まず各地に広まり、豆の調理法や淹れ方、使う道具などが改良され、それぞれの地域で独自の発展を遂げていきました。同じコーヒー豆でも、国や地域によって淹れ方・楽しみ方に違いがあるのもうなずけます。

日本にはいつ?コーヒーの歴史・日本編

日本に初めてコーヒーが伝わったのは18世紀頃。当時の日本は江戸幕府が鎖国をしいていたので、長崎の出島にオランダ商人が持ち込んだものを、日本人も飲むようになったと考えられています。

しかし、当時の日本人には、コーヒーの味がよく理解できなかったようです。コーヒーが日本に広まったのは明治に入ってから。横浜などの外国人居留地にコーヒー・ハウスが設けられ、西洋風の文化を習得しようとする日本人たちにも飲まれるようになりました。ただ明治時代のコーヒーはまだまだ高価で、上流階級のみの贅沢な飲み物。一般に普及したのは大正時代に入ってからといわれています。

1960年代、インスタントコーヒーが発売されるようになると、一般家庭でのコーヒーの消費量が増大。同じころに発売された缶コーヒーも、1970年の大阪万博で注目されるようになります。

日本には、コーヒー豆や喫茶文化だけでなく、インスタントコーヒー、缶コーヒーの充実という、独特のコーヒーの歴史がありました。

コーヒーノキってどんな木?コーヒー豆栽培の歴史

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コーヒー豆が採れるコーヒーノキとは、アフリカ大陸中西部と周辺の島々に分布する常緑樹。濃い緑色の艶やかな葉が特徴的です。コーヒーが世界中で飲まれるようになったため、世界各地でコーヒーの栽培が盛んになっていきます。コーヒー栽培の歴史を振り返ってみましょう。

栽培を自分たちの手で~コーヒー種の伝播の歴史

イスラム社会やトルコなどにコーヒーが流通し始めた15世紀頃は、まだコーヒーの栽培自体は行われていなかったようです。おそらく、エチオピアなどからコーヒー豆を取寄せていたのでしょう。

17世紀に入ってコーヒー文化がヨーロッパに広まり始めると、ヨーロッパ商人たちは「豆を輸入するより、自分たちで豆を育てて売った方が儲かるかも」と気づき始めます。しかしヨーロッパではコーヒーノキは育ちません。そこで目を付けたのが、自国の植民地です。時は大航海時代、ヨーロッパの国々は次々と船を出し、新天地で領地を広げていました。

まずオランダがジャワ島(インドネシア)やセイロン島など南国の島々にコーヒーの苗を持ち込み、栽培を始めます。育った木の種が他の地域に渡って、コーヒーの栽培は遠く南米へも伝播。ブラジルやコスタリカ、ベネズエラ、キューバなどでもコーヒーの栽培が始まりました。

コーヒー農園の大規模化!ブラジルが世界を席巻

18世紀、ブラジルでコーヒー栽培が行われるようになると、コーヒー農園の大規模化が進みます。豊かな土壌を含む広大な敷地は、良質なコーヒー豆の大量生産を実現し、世界のコーヒー市場にも大きな影響を与えることになるのです。その背景にはアフリカから連れてこられ、過酷な労働を強いられた奴隷たちの姿がありました。

19世紀後半、南米で奴隷制度が次々と廃止になると、仕事を求めてやってきたヨーロッパ系の移民たちがコーヒー農園の新しい労働力となります。

このようにして、オランダによってインドネシアに植えられたコーヒーの苗が世界中へ広がっていき、各地で独自の工夫を凝らしながら盛んに栽培されるようになっていきました。ここ数年のコーヒー豆生産量国別ランキングでは、ブラジルが1位、長くフランス領だったベトナムが2位を占め、3位以下はコロンビア、インドネシア、エチオピア、ホンジュラスといった国々がしのぎを削っています。

多くのコーヒー生産国では、17世紀にジャワ島に植えられた「アラビカ種」というコーヒーノキの栽培が盛んですが、2位のベトナムでは「ロブスタ種」という苦味の強い木が中心。こちらはそのまま飲むより、インスタントコーヒーなど加工用によく用いられるのだそうです。

香りとコクに誘われて~知っておきたいコーヒーの歴史

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コーヒーの歴史を振り返ってみると、どの国も積極的・精力的にコーヒー豆を取り込もうと躍動してきた様子がよくわかります。最初は一種の「秘薬」のような扱いで広まっていったところも興味深かったです。眠いときは眠いですが、それでも「眠気覚ましの一杯」は格別。丁寧に淹れた美味しい珈琲がもたらしてくれる贅沢な時間、大切にしていきたいです。

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