台風はどこから来る?名前の由来は?知って得する気象雑学・豆知識
台風とは何?その正体と発生のメカニズムに迫る
まず、台風の基本的な構造について考えてみましょう。台風とは何者なのでしょう。何でできていて、どこからやってくるのか……。台風のニュースでよく耳にする「気圧」や「台風の目」の正体も気になります。台風の成り立ちと構造を紐解いていきましょう。
台風の定義とは?発生のメカニズムを知ろう
台風とは、熱帯・低緯度地域(赤道付近)で発生した低気圧のうち、最大風速(10分間平均)が17.2m/s(メートル毎秒)以上になったもののことです。
低気圧とは、周囲より気圧の低い状態のこと。空気の流れとは通常、気圧の高いほうから気圧の低いほうへ流れ込みます。熱帯や赤道付近の海上は他の海洋より太陽のエネルギーを多く受ける性質があるため、海面の温度が上がりやすく、上昇気流が発生。それにより低気圧状態となりやすいのです。
また、海上の温度が高い地域は水蒸気が大量に発生するため、上昇気流に乗って大きな雲が発生します。大きな雲を伴って激しい雨を降らせる低気圧のことを熱帯低気圧、この熱帯低気圧がさらに大きくなったものが台風です。
温度の高い海上から上がる水蒸気が放出されるとき、熱エネルギーを発します。これが台風をさらに大きく成長させる要因となり、熱エネルギーがなくなれば規模縮小に。熱帯低気圧が台風になるか消えるかは、周辺の海の温度や気候が大きく影響しているようです。
台風の仕組みとは?「気圧」って何?
台風とは回転する巨大な空気の渦です。
台風の下のほうは、反時計回りに回転し、中心方向に巻き込むようにして空気の渦を作りながら、その空気の渦を上方向にネジ巻きのように押し上げます。上空に押し上げられた空気の渦は、今度は時計回りに回転しながらさらに上方向に噴出して、大きな風を巻き起こしていくのです。
台風の高さは10㎞から15㎞ほどにもなるそう。想像を絶する大きさです。
こうしたことから、一般的に熱帯低気圧(台風)は、陸地では発生しません。温度の高い海上の太陽エネルギーによる膨大な量の水蒸気が、台風のエネルギー源になります。
ところで、何度も話に登場する気圧(air pressure)とは、気体の圧力のことです。特に何も明記がない場合は、一般的には大気の圧力、地上にかかる大気の重さのことを指しています。大気に重さが?と思ってしまいがちですが、空気にもちゃんと重さがあるのです。
気圧は、周囲の気温や時間帯、高度(地上と山の上のほうでは気圧も違う)によって大きく変わります。1平方センチメートルあたり約1kg、これを1気圧と呼びますが、正確に測ることはなかなか難しいのだそうです。この気圧が高くなると晴天に、低くなると雲や雨を伴う気象になりやすいとされています。
台風の中はどうなっているの?台風の「目」とは何?
中心に向かってくるくると空気の渦が作られるため、中央部分は筒状になって、この筒の中を空気が下向きに移動。下降気流が発生することがあるため、中心部分のみ雲が少なく、雨風も弱くなる傾向があります。一般的にこの筒状の部分が台風の目です。
勢力の強い台風ほど、台風の目は小さくくっきりと鮮明に見えるのだとか。威力の小さい台風はぼんやりとしていて台風の目の境目が肉眼では確認しにくいのだそうです。
台風を衛星写真などで上から見ると、円盤のように丸い形をしています。あれは台風の一番上の部分で、下から押し上げられた空気が噴出して広がっている状態です。下のほうは押し上げられた空気が柱のようになっているので、台風の断面はキノコのような形をしていると思われます。
へえ!そうなんだ!今すぐ誰かに話したくなる台風雑学
「気圧」や「上昇気流」「水蒸気と熱エネルギー」など、突き詰めて理解しようとするとかなり難しい理系要素をたくさん含んでいて、台風はなかなか複雑な構造をしているようです。でも、なぜ夏の終わりから秋にかけてたくさん発生するのか、海の気温が関係することがわかって納得できました。台風のことが分かってきたところで、台風の季節に誰かに話したくなる「台風雑学」をいくつかご紹介します。
発生場所によって呼び方が違う?台風のお名前事情
日本では「台風」と呼んでいますが、海外だと「ハリケーン」や「サイクロン」と呼ばれることもあります。この2つの違いは何なのでしょうか。
台風の発生する場所によって呼び方が変わるのです。
ハリケーンはカリブ海やメキシコ湾、大西洋で発生したものうち、勢力の強いもの。赤道より北(上)で、東経180度より東側で発生した台風のことをハリケーンと呼びます。
サイクロンはインド洋や南太平洋で発生したもの。ただしサイクロンは低気圧を表す言葉で、台風ほど大きくなくてもサイクロンと呼ぶのだそうです。
日本を含むアジア圏・北西太平洋で起きた台風のことをタイフーンと呼ぶこともあります。
「大型」と「超大型」の違いは?台風の階級について
気象庁では、台風の威力を表す目安として、台風の大きさや強さを段階的に区分しているのだそうです。
まず、強さは以下の3段階に区分されています。
●強い 33m/s以上、44m/s未満
●非常に強い 44m/s以上、54m/s未満
●猛烈な 54m/s以上
次に大きさ。こちらは2段階です。
●大型(大きい):風速15m/s以上の強い風が吹く範囲の半径が500km以上800km未満
●超大型(非常に大きい):風速15m/s以上の強い風が吹く範囲の半径が800km以上
台風の様子を伝える気象ニュースなどで「大型で強い台風」と言うことがありますが、あれは適当に言っているのではありません。気象庁が定めた区分で台風の威力を言い表しているのです。
ただ、これはあくまで目安であり、正確な測定値というわけではありません。台風は刻々と変化しながら移動しているので、リアルタイムで威力を知ることは難しい。それほど大きな台風でなくても、外出を控えるなど用心する必要がありそうです。