イギリスフランスヨーロッパの歴史

中世に起こった大戦争【百年戦争】始まりから終わりまで徹底解説!

抵抗するシャルル7世とイングランドによるオルレアンの包囲

こうしてどんどんイングランドとフランスが合併していくようになりましたが、もちろんフランス国内ではそんなことはぜったに嫌だ!と思っている人は当然いました。その派閥をアルマニャック派ともいうのですが、この派閥の1人でありフランス南部を支配していたシャルル6世の息子であるシャルル7世はオルレアンなどで親イングランド派のブルゴーニュ派に反抗。これを受けたイングランド軍はオルレアンに侵攻してそのまま取り囲みシャルル7世率いるアルマニャック派の兵士をどんどん弱らせにかかります。絶体絶命の危機のシャルル7世。しかし、その時フランス南部のとある村である少女が立ち上がったのでした。

ジャンヌダルクの登場

そんな少女が生まれたのは1414年シュンパーニュ地方のドンレミ村という小さな村でした。その少女の名はジャンヌ・ダルク。彼女は13歳の時に神の声を聞き「善良で正しく過ごし、フランスを救いなさい!」という教えを受けました。最初の頃は半信半疑だったジャンヌダルクでしたが、そこから度々神の声を聞くようになりジャンヌダルクはヴォークルールという町へ行き、そこでシャルル7世に面会させるように頼み込みます。もちろん最初の頃は兵士はそんなことを拒否しましたが、9ヶ月も執念深く懇願する様子に兵士も折れ始めついにシャルル7世に面会する機会が与えられました。

もちろん、シャルル7世もこの時はフランス南部の農民生まれの少女など信用すらしていませんでしたが、シャルル7世がちらほらいる家臣に紛れてジャンヌダルクを試したところ見事にシャルル7世の居場所を当てたのでした。

オルレアンの解放

このことによってジャンヌダルクを信用したシャルル7世はジャンヌに対して1万2千の軍を与え、「オルレアンを解放してフランスを救いなさい!」と命令を下し、これに応えたジャンヌは油断していたオルレアンを取り囲んでいた兵士達を急襲。1429年5月8日にオルレアンを解放してここからジャンヌダルクによる怒涛の反撃が始まっていくことになります。

ジャンヌダルクはイングランドによって支配されていたフランス北部に侵攻。北部の土地をどんどん奪還していきついにシャルル7世はランスにてフランス王に即位。百年戦争はフランスの圧倒的な逆転勝利に傾いたのでした。

しかし、武力による奪還を目指すジャンヌダルクと条約による奪還を目指すシャルル7世との間に衝突が起こってしまい、その直後戦闘で孤立してしまって捕虜になってしまったジャンヌダルクをシャルル7世はイングランドとの講和をスムーズに進めるために見殺しにしてしまいます。ジャンヌダルクはそのままキリスト教の反抗する異端者としてフランスの完全な解放を見ることなく1231年に火刑に処されました。

百年戦争の終結

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こうしてジャンヌダルクを見殺しにしてまでフランスを講和によって完全に解放しようとしたシャルル7世。その後1235年には長年対立してきたアルマニャック派とブルゴーニュ派の和解に漕ぎ着けパリを奪還。さらに1450年にはフォルミの戦いでノルマンディーを手に入れ、1453年に最後のイングランドの土地であるボルドーを占領。こうしてイングランドはカレーを除く全てのフランス領から撤退を開始し、百年断続的に続いた戦争はフランスの逆転劇によって終わりを迎えたのでした。

ジャンヌダルクの名誉回復

フランスが百年戦争に勝利する2年前、シャルル7世は対立こそはしたもののフランスを救った英雄であるジャンヌダルクのやり直し裁判を命じます。シャルル7世からしてみたらジャンヌダルクを見殺しにしていたことを心のどこかで申し訳なく思っていたのでしょうかね。

そしてジャンヌダルクの罪は無実であったこととがついに証明され1256年に無罪を宣告。晴れて再びキリスト教徒となったのでした。

その後時代が進みナポレオン時代になるとジャンヌダルクはフランスを救った救国の少女としてフランスの象徴としてみられるようになっていき、1920年にジャンヌダルクはローマ法皇より聖人に認定。キリスト教から尊敬される立場となったのです。

百年戦争が与えた影響

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百年戦争という戦争は途中で黒死病の流行もあり、さらにイングランドでは百年戦争の敗戦の直後から薔薇戦争というイングランド最大の大内乱が起きてしまい、フランスでは宗教を巡る対立によってイングランドやフランスに存在していた諸侯たちがどんどん没落していきます。

その結果イングランドやフランスなどではこれから封建制度が没落していく一方でこれまでは強力な諸侯としてしかみられていなかったの王の権力が増大していきのちの絶対王政に繋がっていくのです。

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