#7 回る子犬を見て即興で作った『子犬のワルツ』
image by iStockphoto
子犬がくるくると回って遊んでいる情景が思い浮かぶ、かわいらしい曲。それが『ワルツ第6番』、通称『子犬のワルツ』です。『英雄ポロネーズ』で少し触れた恋人・サンド。彼女が飼っていた子犬が自らのしっぽを追いかけて遊んでいる様子を見ている折、サンドに頼まれて即興で作った曲と言われています。英語で「Minute Waltz」とも呼ばれるように、とても短いワルツ曲です。ショパンはこの曲を憧れの人、デルフィーヌ・ポトツカ伯爵夫人に献呈しました。彼女はかなりの美人だったそうで、ショパンは『子犬のワルツ』のほかにも『ピアノ協奏曲第2番』をささげています。
『子犬のワルツ』が作られた時期は1846年から1848年。ショパンは1849年に亡くなってしまいますので、かなり後期の作品です。ポトツカ夫人とショパンの関係が実際どのようなものだったのか、はっきりとは分かっていません。しかし彼女はショパンの危篤時に見舞いに訪れ、そこでショパンのためにその美しい声によって歌を歌ったと言われています。もしかしたら、お互いに特別な想いを寄せていたのかもしれません。
恋があったからこそ生まれた名曲もあります
曲を紹介するなかで女流作家サンドと美しい声を持つ美女ポトツカについては触れましたが、ショパンの恋した女性のなかで特筆すべき人物があと二人います。まず一人は、コンスタンチア・グワトコフスカ。彼女はショパン初恋の人です。告白などはしなかったようですが、ショパンは初恋の想いを曲に込めました。その結果できた曲が、『ピアノ協奏曲第2番』の第2楽章だそうですよ。
そして二人目はマリア・ヴォジンスカ。彼女はショパンの幼馴染。1835年、ドレスデンで運命の再会をし、マリアに一目ぼれしたショパンは彼女と婚約にまでこぎつけます。しかし、ショパンの身体が弱いことなどが原因になり、結婚に至ることはありませんでした。ショパンは哀しみ、『ワルツ変イ長調』をはじめとして彼女への想いを込めた曲を作曲。このワルツ曲の通称は『別れのワルツ』です。
ショパンの曲は、情景が浮かぶ!?
image by iStockphoto
7曲+αを紹介しましたが、ショパンの曲には「通称」が付けられたものが非常に多いことが分かります。それは彼の曲が、当時の人々や私たちの想像力をかきたてるものであったからではないでしょうか。ぜひこの機会にショパンの名曲を聴いてみてください。聴きながら、ショパンはどんなことを考えてこの曲を作ったんだろうと考えてみるのも楽しいですよ!
こちらの記事もおすすめ
モーツァルトの名曲6選!今なお愛される魅惑の旋律 – Rinto~凛と~