ヨーロッパの歴史

3分で読める世界三大宗教の教えと成り立ち、エッセンスをダッシュで再確認!

生活と人生に密着型、イスラムの教え

ムハンマドがアッラーから啓示を受けて記された聖典コーラン(クルアーン)の解釈や実践は、個人のみならず国や地域、時代によっても千差万別。ですがここでは基本的な主だった部分をご紹介しましょう。

ムスリムには五行と呼ばれる信仰の行いがあります。有名なのは「アッラーの他に神はなし、ムハンマドは神の使徒なり」という信仰告白(シャハーダ)。また1日5回、メッカに向かっての礼拝(サラー)を行います。礼拝はムスリムにとっては1日のサイクルを整える大事な時間。1ヶ月間、日の出から日没まで行う断食(ラマダーン)、年収の一部を貧しい人や修道者に施す喜捨(ザカート)、一生に一度メッカへの巡礼(ハッジ)。女性が髪の毛をスカーフなどで隠すのは「美しい髪は男性を惑わす」から。日常生活や人生によりそい、より良い人生のために、言葉ではなく行動をするのがイスラムの教えです。

一神教かつ多神教?フシギ大好きヒンドゥー教

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ヒンドゥー教はインドとネパールを中心に9億人の信者を持つ、世界で3番目に大きな宗教。そして三大宗教の中でもっとも特殊な宗教です。ミステリアスで複雑な宗教のため、ここではほんのエッセンスをご紹介しましょう。ヒンドゥー教は後述する「超世襲」システムのため他の国や地域に広がりにくい性質を持ちます。日本人にはなじみがないヒンドゥー教、一体どんなものなのでしょうか?

すべての神さまをまるっと!なんでもアリの多神教かつ一神教

ヒンドゥー教はどんな宗教か、一言で説明するのはとても困難です。信仰であり、生活様式であり、風習であり……はっきりとしているのはヒンドゥー教はインドやネパールに土着の民族宗教であること。ゆえに国外には広がりにくいことです。信者が多いのはシンプルに、インドの人口がとても多いから。

万物に神や霊性を見出すヒンドゥー教は、あらゆる神・信仰・霊性を包括する宗教。仏教の教祖ブッダ(釈迦)も「ヒンドゥー教の神の1人」として崇められています。一方で預言者や宗教指導者、組織はなく、共通の聖典も存在しません。多種多様な神々の中でどなたを選ぶか、どんな思想を持つかは自由。見方によってはすべてを包括する一神教。もちろん多神教のようにも捉えられます。どこか日本の神道に似ていて、かつ神道よりも懐が広いのです。日常生活のみならず、人生そのものを支配する傾向が非常に強いのがヒンドゥー教。清浄・不浄の概念が非常に強く、それは世代を超え、前世と来世にまで渡っています。次の項から見ていきましょう。

ヒンドゥー教の教えをダイジェストで!

ヒンドゥー教の教えを駆け足でご紹介。無限にいるとも言われるヒンドゥー教の神々の中でメインの神さまはブラフマー・ヴィシュヌ・シヴァのお三方。ブラフマーによって創造された世界は、ヴィシュヌ神によって維持され、シヴァ神によって破壊されます。どれでもお気に入りをチョイスして信仰できるヒンドゥー教で、特に人気なのはヴィシュヌ神とシヴァ神。世界はシヴァ神により壊しては創り直され……この世はスクラップ・アンド・ビルドで成立しているのです。

ガンジス河はそのシヴァ神の体を伝って流れ出た聖水とされ、沐浴したり水を飲んだりして罪を清めます。またヒンドゥー教の教えで日本でもっとも有名なのはヨガでしょう。今やダイエットに欠かせないワードとなったヨガ。ヒンドゥー教においては「死んでから輪廻を突破するのは効率が悪い、生きてるうちに解脱(げだつ)しよう!」という意図で行われる修行行為。精神を統一し、肉体を制御するほか、霊的世界にまで到達するのが修行としてのヨガの目的です。

絶対的身分制度〈ヴァルナ〉超世襲職業 〈ジャーティ〉

ヒンドゥー教はバラモン教の流れを汲む宗教。古代からインドの地根強く存在しているのがカースト制度。カーストはジャーティ、ヴァルナという2種類に分けられます。これを克服するためには現世で輪廻を突破する努力をし、来世に期待するしかありません。

ジャーティは、生まれたときから決められた役割のこと。靴屋さんのジャーティに生まれたら一生靴屋、貴族のジャーティはずっと貴族。現世をこえて来世まで、超がつく世襲制です。ヴァルナバラモン(司祭)クシャトリヤ(貴族)ヴァイシャ(市民)シュードラ(労働者)の4段階に分けられる身分制度。が、これに含まれない不可触民という人びとも存在。不可触民はカースト内でも最底辺、不浄な人びとであるとされます。日本の「えた・ひにん」に似た身分です。理不尽のようにも感じられますが……現在はインドでは憲法により、カーストによる差別は一切禁止されています。

まずは「知ろう」という意思と、信仰への敬意から!

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世界三大宗教の教えと成り立ち、歴史をダイジェストでお送りしました。歴史や争いの中に成り立っていることもあり、宗教と信仰の問題はセンシティブ。まずは知ろうとする敬意の姿勢が大切です。この記事をきっかけにあなたが三大宗教に目を向け、歴史や世界情勢の理解の一助になりますように!

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