5分でわかる『失楽園』!イギリス文学史上の最高傑作のあらすじ・筆者のミルトンをわかりやすく解説!
4-1『失楽園』の構想
構想のテーマは、アーサー王物語から始まっています。その後、アダムとイヴの楽園追放が描かれ、民族の英雄的行為を称える物語へと変えられました。叙事詩の幸福で終わるという伝統に沿わせるために変更されたのです。
永遠の摂理を守り、神道の正当性を明らかに描くことに成功します。ミルトン自身が、サタンやアダムに身を置いた心情を読み解くのも面白さでしょう。更に、サタンとアダムのどちらが主人公かを考察しながら読めば、イギリス激動の時代背景に密接していることも見えてきます。
4-2キリスト教叙事詩の読み比べ
ダンテの『神曲』の「地獄篇」とミルトンの『失楽園』は、キリスト教叙事詩の代表作としてよく比べられます。『失楽園』は、『神曲』の三世紀半ほど後に書かれました。
『神曲』を読むには、ギリシャやローマ神話の予備知識が必要とされます。『失楽園』は、清教徒革命が絡んでいるので、キリスト教を信仰する方の感動はひとしおかもしれません。ぜひ、読み比べてみてくださいね!
4-3幸福へ向かう物語
エンディングの前途多難な荒野へ向かうシーンからは、その先に幸福が待っているという前向きな「喜劇」としての存在感も、ミルトンならではの表現方法。神の栄光を称える作品を残した盲目の詩人ミルトンだからこそ、希望に満ちた将来を見据える終わり方が成り立ったのでしょう。
神に叛き楽園を追い出された人間の罪と救済の物語からは、安息の地を求め戦いを挑む人間の力強ささえ感じられます。ミルトンは、美しい夫婦愛を描く天才詩人といっても過言ではないでしょう。
『失楽園』は後世に大きな影響を与えたイギリス文学史上の最高傑作!
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悪魔のサタンが物語の中で、英雄と道化として相反する姿を読み解くのが最大の面白さです。人間が脱落してから希望の世界へ向かう喜劇として読むと、また違った見え方ができるかも。気持ちが沈んだ時に、ちょっとだけ時間をかけて読めば、きっと何らかの方向性が見えてくるはず。ぜひ。