日本の歴史鎌倉時代

鎌倉文化の時代に革新を遂げた鎌倉仏教と仏像を元予備校講師がわかりやすく解説

六波羅蜜寺空也上人像

さいごに紹介するのは六波羅蜜寺に安置されている空也上人の像です。空也は法然以前に浄土教を広めた僧侶。阿弥陀聖とも市聖ともよばれ、平安時代の中期に活躍しました。鎌倉仏教の開祖たちのような教団は組織しませんでしたが、人々に阿弥陀仏への信仰を説きました。

六波羅蜜寺に伝わる空也上人像は、運慶の四男である康勝の作品です。左手で鹿の杖をつき、阿弥陀仏への信仰を示す「南無阿弥陀仏」の六文字を唱える空也の様子を彫り上げました。

空也が念仏を唱えると、南無阿弥陀仏の一文字一文字が仏となったという伝承がありますが、空也上人像は、そのエピソードを余すところなく描ききった名作ですね。この像を見ていると、1000年以上前に存在した空也とまるで会っているかのよう感じます。それだけ、リアリティがあるのでしょうね。

末法の世を救うため、仏教が革新を見せた鎌倉文化の時代

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鎌倉仏教を開いた宗祖たちが活躍した平安時代末期から鎌倉時代初期は、源平合戦をはじめとする戦いや養和の大飢饉のような天災が相次ぐ不安定な時代でした。救いを求める人々の心に呼応するように、それまで貴族たちの独占物だった仏教が衆生を救うために革新します。鎌倉文化では、鎌倉仏教なくして語ることが出来ないほど、文化と仏教がしっかり結びついていたといえるでしょう。

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