児童文学作家ボーム著『オズの魔法使い』の世界・あらすじをわかりやすく解説!
願いを叶えるため「西の魔女」を退治するドロシー
西の魔女は悪い魔女でした。今まで、誰も退治したことがないのだそうです。
しかしドロシーたちは願いを叶えるため、西の魔女退治に出かけます。
このことを知った西の魔女は怒り心頭。ドロシーたちを殺そうと刺客を差し向けてきたのです。
ドロシーとトト、カカシ、ブリキの木こり、ライオンは、それぞれ特技を活かし、西の魔女が差し向けてきた兵隊たちと死闘を繰り広げます。
一時は形勢不利に陥ったドロシーたちでしたが、西の魔女が「水に弱い」ということを発見。ドロシーがバケツの水をかけると、魔女が絶叫。なんと、西の魔女の体が溶けて、消えてなくなってしまったではありませんか。
かくしてドロシーたちは死闘を制し、西の魔女に勝利したのです。
これで願いを叶えてもらえる!ドロシーたちはエメラルドの都に戻り、オズの魔法使いを再訪します。
再びお城にやってきたドロシーたち。しかしこのとき、トトが玉座の隅に駆け寄ったことで、玉座がパタンと倒れ、小さなオッサンが姿を現します。オズの魔法使いの正体は、ネブラスカから気球で飛んできたという、ただの人間だったのです。
「家ほど素敵な場所はないわ!」ドロシー、帰還する
自分は魔法使いではない、と申し訳なさそうに語るオズの魔法使い、ではなくネブラスカのオッサン。
がっかりするドロシーたちでしたが、オッサンは「自分の気球でカンザスの家まで連れていってあげる」と言い出します。
しかし離陸直前トラブル発生。気球はオッサンだけ乗せて飛び去ってしまうのです。
途方に暮れるドロシーは、南の魔女が家に帰る方法を知っているかもしれない、との情報をゲット。トト、カカシ、ブリキの木こり、ライオンとともに、南の魔女に会いに行きます。
カカシは「本物の脳みそ」、ブリキの木こりは「心」、ライオンは「勇気」を欲しいと願っていましたが、オズの魔法使いに願い出るまでもなく、彼らはもう既に、それらを持っていたのです。
南の魔女は、ドロシーが履いている魔法の靴の力で家に帰ることができるかもしれない、と教えてくれます。
靴のかかとを3回合わせ、家に帰りたいと願うと、ドロシーとトトは宙に浮き、くるくるっと旋回してカンザスの家の前にストン。ようやく我が家にたどり着いたドロシー。「家ほど素敵な場所はない、また帰ることができてよかった」と語るのでした。
子供だけでなく大人をも魅了・ボームが描いた「オズの魔法使い」の世界
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はじめは、ボームが自分の身内に聞かせる物語として書かれた「オズの魔法使い」。わくわくするようなストーリーと鮮やかなイラストが子供たちの心をつかみ、100年以上もの間、人々に愛される物語となりました。もちろん日本でも大人気に。カカシやブリキやライオンはドロシーの「家来」や「お供」ではなく「友達」ですが、日本の「桃太郎の鬼退治」や「水戸黄門の助さん格さん」にも通じるところがあり、日本人にも理解しやすかったのでしょう。固い絆で結ばれた仲間の存在は、なにものにも代え難いもの。ドロシーがうらやましい、こんな冒険をしてみたい……。子供だけでなく大人にも、そんなことを思わせる永遠のファンタジー。それが「オズの魔法使い」の人気の秘密なのかもしれません。