その後の二条城
やがて明治維新となり、日本の首都は東京に定められました。およそ1000年ぶりに遷都されたのです。そして戦火にも遭わず、ほぼ全ての建造物が残っていた二条城は臨時的に京都府庁舎となりました。
やがて1884年には宮内省の所管となって「二条離宮」と名付けられ、皇室の別邸となったのです。大正天皇の即位礼の饗応もここで行われていますね。
1939年に京都市に払い下げられますが、太平洋戦争の戦火にも遭わず、その遺構や建造物を今に伝えています。
戦後の1995年には「古都京都の文化財」の一部として世界文化遺産に登録され、2006年には日本100名城として指定されました。現在に至っては歴史ファンのみならず、世界中から訪問客が訪れる一大観光スポットとなっているのです。
二条城のここを見るべき!おすすめスポットをご紹介
二条城は見どころのたくさんあるお城です。そのうち「ぜひここは見てほしい!」というスポットを縄張りと共にご紹介していきましょう。
二条城の構造はどうなっている?
vector image Gothika このW3C-unspecified ベクター画像はAdobe Illustratorで作成されました. – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
お城を平面に見て、曲輪や建物の配置のことを「縄張(なわばり)」と呼びます。二条城」真上から見れば、ちょうど正方形のようになっているのですが、よく見れば西半分が少し上下に引っ込んだような形状になっていることがわかりますね。
実はこの西半分は、1624年に拡張された部分です。後水尾天皇の行幸に備えて天守も新築されたといいますから、幕府の権威を朝廷に示す絶好の機会だったに違いありません。
この拡張の際に縄張り自体も大きく姿を変え、本丸を中心にして二の丸がぐるっと取り囲む輪郭式城郭の形となりました。東西500メートル、南北400メートルの大きさとなっていて、京都の碁盤の目のような市街地の形状に合わせた形になっています。
二条城のメインは東側にある二の丸御殿を中心とする部分で、この一帯にお城としての役割が集約されているのです。
東大手門
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大きなメインストリートである堀川通に面し、二条城の正門にあたります。チケット売り場やパンフレット置き場もある場所です。
現在の東大手門は1662年頃の建築だとされていて、国の重要文化財に指定されていますね。二階建ての櫓門ですが、かつて後水尾天皇の行幸があった際には「天皇を上から見下ろすのは失礼にあたる」と理由で一重の門に建て替えられていたという逸話があるそう。
また二条城には、この東大手門の他に北大手門も現存しています。枡形(敵を誘い込んで袋小路にする仕掛け)が備えられていないため、守りの城ではなく儀礼のための城だということがわかりますね。
東南隅櫓
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当初、二条城に造られた櫓は四隅にそれぞれ存在していましたが、1788年に起こった大火によって焼失してしまい、東南隅櫓と西南隅櫓だけが再建されました。
いずれも国の重要文化財に指定されており、観光に訪れた方にとってはおなじみの城らしい櫓かも知れませんね。櫓は本来、見張り台としての役割を持っていますが、この東南隅櫓の場合は武器庫として使われていたそうです。
夜はライトアップされますので、白く浮かび上がる漆喰造りの櫓は幻想的に映りますね。
唐門
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城内へ入ってから、二の丸御殿への入り口にあたるのが唐門です。これも後水尾天皇の行幸にあわせて造営されたもので、切妻造りに桧皮葺の四脚門で、その屋根の前後に唐破風が付きます。精妙な彫刻と豪華絢爛な金細工が施され、これほどきらびやかな唐門は、他に日光東照宮や豊国神社などでしか見られないでしょう。
とはいえ1788年の大火で二条城が大きな被害を受けたため、火災除けの目的で屋根が本瓦葺となったことがあります。しかし明治になってから、再び桧皮葺に戻されたとのこと。もちろん国の重要文化財となっていますね。
二の丸御殿
CCP2017 – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
この二の丸御殿こそが二条城のメインだといえるでしょうか。徳川家康と豊臣秀頼が会見し、徳川慶喜が大政奉還を発表した場所ですから、歴史のターニングポイントとなったのも、まさにこの空間なのです。
東南から北西にかけて、遠侍、式台、大広間、蘇鉄の間、黒書院、白書院の6棟が雁行形に立ち並ぶ御殿となっており、部屋数が33室、合わせれば800畳余りもある広さにびっくり!またそのほとんどが国宝に指定されていますね。
御殿の内部は、有名な「松鷹図」をはじめとして、将軍の威光を表す虎や豹、桜や四季折々の花を描いた狩野派の障壁画で美しく装飾されています。
ちなみに現存している城郭の御殿は、この二条城と川越城、高知城にしか存在していません。