アメリカの歴史独立後

世界中の人々に愛される作家「アーネスト・ヘミングウェイ」の生涯をわかりやすく解説

改めて読みたい!ヘミングウェイの代表作をご紹介

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若いころから数多くの作品を世に送り出しているヘミングウェイ。改めて語るまでもありませんが、あえて代表作を2つ、ご紹介したいと思います。若き日のヘミングウェイの出世作であり、初の長編小説となった『日はまた昇る』と、ノーベル賞受賞に寄与した作品として名高い『老人と海』。読んだことがある人もない人も、この記事がヘミングウェイの本を手に取るきっかけになれば嬉しいです。

『日はまた昇る』(The Sun Also Rises)

発表は1926年。ヘミングウェイ初の長編小説として名高い名作です。

ロストジェネレーションと呼ばれる世代。未来を見失い、禁酒法時代のアメリカを抜け出してパリで堕落的で奔放な生活を送っている若者たちを描いた、ハードボイルド小説の先駆けと称されています。

物語は、ジェイク・バーンズという記者の視点で進行。戦争で心に傷を負いながら、明日のことなど考えずにパリで自由気ままな生活を送る若者たちの様子をリアルに描いています。

とあるパーティーで知り合った、自由奔放に振る舞う魅力的な女性ブレット・アシュリー。ジェイクとブレットは心のどこかで通じ合っていますが、それでも多くの男たちを浮名を流し続けます。そんなジェイクとブレット、そしてブレットに翻弄される男たちは闘牛見物のためにスペインへ。ブレットを巡って男たちがドロドロ劇を繰り広げる中、当のブレットは若い闘牛士に心惹かれて……。

小説の登場人物たちの描写が何ともリアル。パリ在住時代に実際に知り合った人々がモデルになったと言われています。もちろん、語り手のジェイクはヘミングウェイ自身です。

正直、なんの予備知識もなく読み始めると「何の話だ?」と眉をひそめてしまう人も少なくないかもしれません。当時の時代背景やモデルになった人物がいることなどを念頭に置いて読むのがおすすめです。

『老人と海』(The Old Man and the Sea)

『老人と海』は1951年に描かれ、1952年に出版。1954年にノーベル文学賞を受賞した、世界的ベストセラーです。

主人公はキューバに住む年老いた漁師・サンチャゴ。若いころに比べると腕は落ちて漁もままならなくなっていましたが、ある日、いつものように沖に出たサンチャゴの釣り針に巨大なカジキがかかります。3日3晩、カジキと一進一退の攻防を繰り広げたサンチャゴ。弱ったカジキの捕獲に成功。しかし港に帰る途中、カジキの血の匂いを嗅ぎつけたサメが集まってきます。サンチャゴは自分の獲物を食いちぎろうとするサメの群れと必死に戦いますが、港に着くころには、カジキはほとんど骨だけの状態になってしまっていたのです。

大富豪でもギャンブラーでもイケメンでもない、年老いた漁師が勇敢に大自然と向き合う様子が淡々と描かれています。

あらすじを読んだだけだと「面白いの?」と思ってしまいそうですが、サンチャゴの心の声はとてもリアル。自分と重ねて読む人も多いかもしれません。年齢を重ねてから読むと、若いころとは違った感情が沸き上がってくること間違いなし。繰り返し読みたくなる名作です。

型にはまらず新しい分野を切り開いた文豪・ヘミングウェイ

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文学というと、何かと「型」にはめて分類してから読み解くものだと思われがちですが、ヘミングウェイは当時のどのジャンルにも収まらず、ひとつのジャンルを作り出した作家と言えるかもしれません。今でこそ、ハードボイルド小説というジャンルが存在していますが、当時の人々は「何だかわからないけどカッコいい!」と理屈ぬきで何かを感じて、ヘミングウェイの作品に夢中になっていったのでしょう。自分自身に振り返ってみると、正直、意味が分からず途中で投げ出してしまった作品もいくつかあるので……。年齢を重ねた今なら、違った感想を持つこともできるかも。これを機会に、ヘミングウェイの小説をもう一度読み返してみたいと思います。

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