平安時代日本の歴史

5分でわかる今昔物語集総まとめ!概要や読み方・あらすじ、「羅生門」をはじめ有名で面白い話をわかりやすく紹介

「今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)」という読み物をご存じでしょうか。「国語の時間に習ったような気がする」「名前だけは知っている」「でも実際に読んだことはない」「どういう内容か知らない」という方も多いと思います。難しそう、何が書いてあるのかわからないと思う……と敬遠されがちな古典文学ですが、読んでみると意外にも面白いお話がたくさん収められているんです。現代語に読みやすく翻訳されたものも数多く出版されているのでお奨め。今回の記事では、そんな「今昔物語集」を徹底マーク。作者や成立など基本情報から代表的なお話のあらすじまで、「今昔物語集」の奥深き世界をざくっと解説いたします。

1. 今昔物語集とは何か?作者・時代・構成など基本情報

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日本の古典文学というと、奈良時代の歌人たちの和歌を集めた「万葉集」や、平安時代中期に紫式部によって描かれた長編物語「源氏物語」、紀貫之の紀行文的文学作品「土佐日記」などを思い浮かべる方が多いと思います。和歌集や読み物などは、いつ頃書かれたものか、作者が誰なのか、概ねはっきりしているものが多いですが、「竹取物語」のように作者も成立も不明で写本が残っているだけ、というものちらほら。では「今昔物語集」とは?どのような物語集なのでしょうか。まずは「今昔物語集」の基本情報をチェックしてみましょう。

1-1. 今昔物語とは?謎多き「日本最大の説話集」

今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)とは、平安時代後期に編纂されたとされる日本最大の説話集です。説話とは、人から人へ、主に口伝えで語り継がれた神話や伝説、民話などの総称。全31巻、1000話を超えるお話がおさめられていますが、残念ながらそのうち、8巻・18巻・21巻は欠けてしまっており、現存していません。

さらに、その1000余話のお話の中には、未完成と思われるものもいくつか。題名だけで内容が書かれていないものもあります。もしかしたらもっとたくさんのお話がおさめられていたのかもしれない……。非常にミステリアスな物語なのです。

印刷技術のない時代の書物ですので、残されているものはすべて、紙に墨で、人の手によって書き写されたもの。京都大学図書館所蔵の今昔物語集は通称「鈴鹿本」と呼ばれ(縦およそ30㎝、横25㎝ほどの紙を綴じたもの)、古典文学研究の貴重な資料として大切に保管されています。

1-2. 今昔物語集の作者は誰?いつ頃書かれたものなの?

「今昔物語集」は非常に謎の多い物語集です。作者も、書かれた時期も不明。誰が書いたものなのか分かっていません。書かれた(編纂された)時期についても、おおよそ平安時代後期(12世紀)頃だろう、ということは確かなようですが、具体的な時期ははっきりしていないのだそうです。お話の最初のほうに、お釈迦様に関するお話や仏教渡来にまつわる話がたくさん収録されているので、奈良時代か平安時代のお坊さんが書いたものなのでは……?という説も。ただ、後半になるとだんだん、魔物や泥棒が出てきたり、戦や恋愛話など様々なお話が登場するので、他の可能性も捨てきれません。

平安中期の文学者である源隆国(みなもとのたかくに)や、覚猷(かくゆう・平安後期の僧侶)が編者ではないか、との説もありますが、確かなことはわかっていないのだそうです。

かなりの数の物語が収められていますが、具体的・歴史的な出来事(大きな戦争や飢餓、天災など)に関する記述がほとんど見られないため、内容から成立時期を推測することも難しいのだとか。実にミステリアスです。おそらく900年ほど前に成立した、作者不明の物語集。誰が何のために、誰のために作ったものなのか……。「今昔物語集」の全容が明らかになる日は来るのでしょうか。

1-3. 「今昔」とはどういう意味?何が書かれているの?

今昔物語集は作者も成立時期も不明ですが、実は正確なタイトルも分かっていません。各物語ともすべて「今ハ昔(今は昔)」という書きだして始まっているため、便宜上「今昔物語集」と読んでいるだけ。実際、作者がどのようなタイトルをつけていたのかも不明なのです。「今は昔」は「今となっては昔のことですが」という意味合い。ちなみにどの物語も末尾は「トナム語リ伝ヘタルコトヤ(~と、語り伝えられているのだそうです)」で終っています。「日本版アラビアンナイト」といったところでしょうか。

では、今昔物語の内容とは?おさめられているお話は実に多種多様。天竺(てんじく・インド)のお話と、震旦(支那・中国)のお話、そして本朝(日本)のお話の三部構成になっており、まず初めに仏教の説話が登場・その後、その他の物語が続くような流れになっているようです。

今昔物語集が平安時代に成立したものなら、この当時の情報では、「中国」と「インド」と「日本」が世界のすべてであったはず。その他の、ヨーロッパや中東といった国々の存在などまだ誰も知らない。今昔物語集は全世界の様々な説話を収録した物語集、と言ってもよいのかもしれません。

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