フランスブルボン朝ヨーロッパの歴史

ユグノー戦争を終結させナントの王令を発布した「アンリ4世」を元予備校講師が分かりやすく解説

アンリ4世の死

ナントの王令を発布し、フランス国内の宗教問題を棚上げすることに成功したアンリ4世は、内戦によって荒廃したフランスを復興させようと精力的に活動しました。

この時代の基幹産業である農業の再生や新規の開墾、森林の保護などに着手します。また、街道の整備や橋や運河の整備を行い、公共施設を建設するなどインフラ整備にも力を入れました。信仰を認められたユグノーの商工業者たちは活発な経済活動を行い、フランス経済を活性化させます。

貴族たちだけではなく、国民生活にも配慮したアンリ4世は「大アンリ」、「良王アンリ」とよばれました。1610年、アンリ4世は狂信的なカトリック信者によって暗殺されてしまいます。アンリの死後、マリ=ド=メディシスとの間に生まれていたルイ13世がフランス王に即位しました。

アンリ4世の壮大な外交計画

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アンリ4世はハプスブルク家に対抗する壮大な外交戦略を描いていました。新旧両派の信仰の違いを超え、各国の主権を尊重しつつ国際軍を編成するという構想です。国際委番所や国際軍でヨーロッパの紛争をなくそうという発想は、のちの国際連合に近いものかもしれません。ユグノーとカトリック、二つの立場が理解できるアンリ4世だからこそ広い視野でヨーロッパの平和を考えられたのかもしれませんね。

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