日本の歴史飛鳥時代

日本最古の仏教寺院「飛鳥寺」1400年の歴史と見どころを解説

国宝に指定されている文化財【極楽堂】

元興寺の本堂にあたりますが、僧坊の三部屋分を寄棟造りとし、本瓦葺き六間四面の聖堂に改造されたもの。僧坊の一室(極楽坊)の中心部を内陣とし、東妻を正面として前面向拝とした鎌倉時代に作られた堂々たる建造物です。

奈良時代の僧智光の禅室として、また百日念仏を聞く人々が極楽往生できるよう智光が描いた浄土曼荼羅が祀られていたため、曼荼羅堂とも呼ばれました。

国宝に指定されている文化財【禅室】

元興寺にかつてあった伽藍の僧坊遺構のうち四室分を今に伝えており、切妻造り、本瓦葺き四間四面の簡素でありながらも重厚な趣きがありますね。


僧たちが寝起きし学修した官大寺僧坊の遺構で、かつての雰囲気がよくわかります。建築様式としては鎌倉時代の大仏様を示していますが、構造材は奈良時代以前の古材が多く再利用されていますね。中世の頃には春日影向堂とも呼ばれ、江戸時代には客殿として、明治以降には学校舎にも使われてきました。

国宝に指定されている文化財【五重小塔】

ミニチュア版の五重塔といった感じで、高さはわずか5.5メートルしかありません。しかし、内部構造まで忠実に造られていて、工芸品ではなくあくまで建造物として国宝に指定されているところが驚きです。

かつては元興寺西小塔堂に安置されていたとされていて、現存する奈良時代の五重塔としては唯一のものとして著名なもの。細部まで本格的な建築物であり、国分寺の塔の1/10の縮尺だろうという意見もあります。近代を迎えるまでは、極楽堂の床を落として収蔵していたそうです。

徒歩またはレンタサイクルで飛鳥寺を巡ってみよう!

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飛鳥寺の流れを汲む本元興寺(明日香村)、元興寺(奈良市)ともに周辺には史跡スポットが充実しています。徒歩で巡るもよし、レンタサイクルで軽快に走るもよし、ぜひ古代の息吹を感じてみませんか?

本元興寺(明日香村)のモデルコース

飛鳥(明日香村)巡りなら、やはり近鉄橿原神宮前駅が起点になるでしょうか。駅前でレンタサイクルを借りれますし、ハイキングのつもりで歩いても約5キロほどです。モデルコースをご紹介していきましょう。

近鉄橿原神宮前駅から西へ向かい、飛鳥資料館を目指します。途中には平城京遷都後に残った本薬師寺跡なども。

飛鳥資料館で事前に予習をしてから次に飛鳥寺へ。この周辺にも史跡が多いので、山田寺跡飛鳥坐神社を訪ねてみても良いかも。

飛鳥寺で飛鳥大仏を見学した後は、板蓋宮跡川原寺跡などの史跡を巡ります。

ここから駅前へ戻るコースとなりますが、やはり途中には亀石菖蒲池古墳植山古墳丸山古墳などの史跡がありますから、チェックしておきたいところですね。

レンタサイクルを使うともっと幅が広がりますので、ぜひともおすすめしたいです。

元興寺(奈良市)のモデルコース

元興寺はJR奈良駅近鉄奈良駅から程近い場所にありますので、周辺の史跡や歴史建造物はたくさん存在しています。

やはり起点は奈良駅あたりになりますから、徒歩またはレンタサイクルでの散策が便利でしょう。ただし奈良駅から元興寺までは徒歩で15~20分ほどですから、徒歩に不安がある方はバスの利用もおすすめします。

まずはJR奈良駅または近鉄奈良駅から南へ元興寺を目指しましょう。途中に「ならまち」がありますから、そぞろ歩きをしても良いですね。

ならまちとは元興寺の元境内にあたり、平城京の外京にあたります。当時の道筋を元に発展した長い歴史を持つ町で、江戸時代末期から明治時代にかけての町家の面影を今に伝える懐かしい雰囲気がする町並みが魅力。

元興寺を拝観した後は、春日大社を訪れてみましょう。この辺り一帯は奈良の鹿も多いエリアですし、いかにも奈良らしい雰囲気が楽しめるところです。

また春日大社の北側には隣接するように東大寺がありますから、ありがたい大仏さまのご尊顔を拝するのも良いですね。

次に奈良駅へ戻るコースになりますが、途中には興福寺がありますので、ぜひ立ち寄ってみて下さい。宝物館には国宝の仏像が30体以上安置されているので、見るだけで圧巻です。

以上のコースはユネスコ世界遺産に指定されているエリアですので、休日には多くの観光客が訪れる場所。うまく効率よく巡るのがコツですね。

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明石則実