ルイス・キャロルが産んだ奇跡の児童小説『不思議の国のアリス』を徹底解説!
3.『不思議の国のアリス』の書き出し文
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日本語訳の『不思議の国のアリス』は、明治41(1908)年に実業之日本社の『少女の友』という雑誌の連載で登場しました。須磨子(永代静雄)が訳した『アリス物語』です。これは、12回の連載で、3回まではルイス・キャロルのものですが、それ以降は須磨子の創作でした。
アリスは、だんだん退屈でたまらなくなってきました。川べりでお姉さんのそばに座っていたのだけれど、何もすることがないのです。一、二度、お姉さんの読んでいる本をのぞき込んでもみたけれど、絵もなければ会話もありません。
「いったい何の役に立つの?」ってアリスは思いました。「絵もセリフもない本なんて」
4.『不思議の国のアリス』のあらすじ
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アリスがウサギ穴に落下し行き着いた不思議の国で起る、非現実的なことを楽しく描いた物語です。不思議でいっぱいのワンダーランドでの冒険に引き込まれるような描写が、『不思議の国のアリス』の魅力ではないでしょうか?それでは、あらすじをご紹介しましょう。
4-1ウサギ穴に落ちたアリス
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「遅れる~」と人間の言葉をしゃべり、時計を手に時間に追われる白ウサギの後を追いかけるアリス。ウサギ穴に落ち、どこまでも落下します。不思議なことに怪我一つなく、穴の底に到着。急ぎ足でトンネルを走るさっきの白ウサギをみつけ追いかけると、ドアがたくさんある玄関ホールに到着します。ガラスのテーブルにあった金の鍵では、どのドアも空きません。カーテンで隠れていた小さなドアだけが金の鍵で開き、その奥にはとても美しい庭がありました。
アリスの体は大きく、小さなドアに入りません。そんな時に、「私を飲んで」と書かれた液体があり、それを飲んだら急に身長が縮み、また「私を食べて」と書かれたお菓子を食べると身長が伸びました。アリスは、自分に何が起こったか分からず不安で泣き出します。
4-2アリスが流した涙の池
大きくなったアリスをみた、白ウサギは驚き白い手袋と扇子を落として逃げていきます。アリスの涙は、床にたまりました。ウサギが落とした扇子を手にし、また小さくなったアリスは、自分の涙でできた池にはまります。
ネズミや多くの鳥獣たちも泳いで集まってきました。アリスを先頭に、岸に向かって泳ぎます。
4-3ちょっと変わった戦争と長い話に困惑するアリス
池から上がったアリスたちは濡れた体を乾かすために、鳥のドードー(キャロル自身がモデル)が提案した「コーカスレース」をします。競争をしながら円を描いて30分走ると、ドードーが「戦争終わり!」と叫び、止まると体は無事に乾いていました。
ネズミになぜ犬や猫が怖いか聞くも、自分が飼っている猫のダイナの自慢話をしてしまいます。アリスにとってかわいい猫ですが、ネズミや小鳥など猫の餌になる動物たちは慌てて去りました。アリスは一人ぼっちになります。
4-4白ウサギの家での出来事
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涙の池を泳いでいる内に、ホールや金の鍵、小さなドアもなくなって景色も一変していました。そんな時、白ウサギが何かを探しながら戻ってきたのです。アリスの事をメイドと勘違いして「家から手袋と扇子をもってこい。」と命令します。
白ウサギの家で、アリスは小瓶をみつけ飲んでしまいます。体が大きくなったアリスは、家から出ることも身動きを取ることもできません。白ウサギは「トカゲのビル」に頼んで、アリスを家から追い出そうとしますが上手くいきません。白ウサギたちは家の中に、体が縮むお菓子になる小石を投げ込み、アリスに食べさせて無事に救出しました。
4-5芋虫から忠告されるアリス
Sir John Tenniel – Alice’s Adventures in Wonderland (1865), パブリック・ドメイン, リンクによる
森ではキノコの上で眠そうに座る芋虫と出会います。芋虫はぞんざいに色々な質問をしました。その後でキノコの一方をかじれば体が大きくなり、もう一方は体が小さくなると教えてくれました。アリスは試行錯誤しながらキノコをかじり、元の大きさに戻りました。ここから自信が生まれ、不思議の国の住人たちとの関わり方が変わります。