【文学】ヴィクトル・ユーゴー『レ・ミゼラブル』を解説!読みづらい原作の攻略ポイントを整理!
マリウスは?ジャン・バルジャンは?そして……六月暴動の行く末
ここは実際に読んでいただいて、心躍る、そしてユゴーが彼らにたくした悲痛な叫びを味わってください。エポニーヌ、アンジョルラス、ガウローシュ、クールフェラック……バリケードで死にゆく若い命の中に、マリウス、そしてジャン・バルジャン、さらにはジャベール警部もいました。
史実の六月暴動について触れておきましょう。「1832年のパリ蜂起」とも呼ばれます。1832年6月5日~6日の2日間、共和制を支持する秘密結社が主体となって、ルイ・フィリップ王政を打倒すべく立ち上がった民衆によって市街戦が行われました。ルイ・フィリップ王の政治を支えていた首相が亡くなったという政治的空白をついて行われたこの暴動。結局鎮圧されましたが、民衆、それも労働者の力を見せつけた一事件でした。
ジャン・バルジャンが、邂逅したジャベール警部に放った言葉とは。そしてマリウスは?ちなみに、ドキドキ展開のピークに、ここぞとばかりパリの下水道問題ひいては環境問題を唐突に論じて、読者に止めを刺してきます。ここが富士山の八合目、もうちょっと!
去りゆく偉大なる魂
雨降って地固まる。こうしてマリウス青年とコゼットは結ばれ、めでたしめでたし……となった一方で、去らなければならなくなった男。ジャン・バルジャンの過去は消えません。たしかに彼は徒刑囚、警察からマークされていた元囚人であり法的に「悪人」だったのです。
彼を執念深く追い続けていたジャベール警部はある衝撃的な形でいなくなりました。彼の過去を知る者はいるはずがなかったのですが……。法律って?政治の目的の本質ってなんだろう、善悪や赦しってどういうこと?それを『レ・ミゼラブル』を読み進めるあいだ、読者はずっと内面に問い続けることになります。そしてその答えがここで提示されるのです。
ジャン・バルジャンの物語の到達する境地は、ぜひあなた自身がたどり着いてみてください。終わらない読書はない!読書慣れしている筆者でさえ1週間かかったこの大河小説、焦らずじっくり、読み飛ばし上等!フランスと民衆のすべてを描ききった大作です。
ユゴーの政治談義のために物語が作られたスゴイ小説
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日本語に直訳すると、「哀れな人びと」「悲惨な人びと」となる、『レ・ミゼラブル』。めくるめく群像劇、あーだこーだ論じられる政治やフランスや革命の話……そして素晴らしいエンタテインメント。もうお気づきの方もいると思います、この作品はフランスのすべてを描くために人物や要素が散りばめられ、計算しつくされた物語を構築している、スゴイ小説なんです。ちなみに筆者の推しキャラはツンデレおじいちゃんジルノルマン氏。あらすじはつかめた、さあ大河に乗り出しましょう!
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