安土桃山時代日本の歴史

一代で安土桃山のトップ画家に躍り出た「長谷川等伯」~その代表作も合わせてご紹介~

等伯乾坤一擲の傑作【金碧障壁画・楓図】

Érable entouré d'herbes d'automne (détail) par Hasegawa Tōhaku.jpg
By 長谷川等伯 – La peinture japonaise – Les trésors de l’Asie – auteur: Akiyama Terukazu – éditeur: éditions Albert Skira – Genève – langue: français – année: 1961 – pages: 217 – passage:186., パブリック・ドメイン, Link

等伯が狩野派を抑えて獲得した大仕事が祥雲寺でも障壁画製作でした。その中でも「楓図」は国宝に指定されているほどで、その構図のダイナミックさといい、安土桃山らしい金地の使い方といい、等伯の最高傑作といえるかも知れません。

ちなみに楓図は巨大な障壁がの一部分に過ぎず、息子の久蔵が描いた「桜図」もまた国宝に指定されているのです。祥雲寺は現在は智積院(ちしゃくいん)と名を変え、宝物館ではそれらの国宝級の傑作を一般公開していますね。

亡き息子への鎮魂歌【松林図屏風】

Hasegawa Tohaku - Pine Trees (Shōrin-zu byōbu) - right hand screen.jpg
By 長谷川等伯Emuseum, パブリック・ドメイン, Link

左隻と右隻に分かれた屏風なのですが、墨一色で描かれた幽玄かつ大胆な構図が特徴です。将来を期待していた息子久蔵を亡くした等伯の嘆きや悲しみが現れているようでもあるし、ただ単に松を描き出すという無常観めいたものも感じますね。

いずれにしても、見た人の感情や思いの起伏によって情景が変わるような印象を受ける作品となっています。現在は東京国立博物館に所蔵されていますね。

長谷川等伯は東洋のミケランジェロ?

image by PIXTA / 13043693

長谷川等伯をミケランジェロとなぞらえるのは何か変な印象があるかも知れませんが、ミケランジェロは彫刻や建築などにマルチに才能を発揮した人物でしたが、等伯と同じく障壁画や天井画も得意としていました。大胆な構図や色使いもどこか似通っているような気もしますし、どちらも天才肌の芸術家だったことは確かなようです。天賦の才に恵まれ歴史に名を残したこの二人の名作は色褪せることはないでしょう。

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明石則実