中国の歴史

日本でも大人気!奇想天外・心躍る冒険物語「西遊記」を徹底解説!

苦難の連続・そして天竺へ

玄奘三蔵の旅は、単にお経を取りに行くだけではなく、その力量が試される旅でもありました。行く手には、取経者がやってくることを知った魑魅魍魎たちがてぐすねひいて待ち構えています。

しかしそんな苦難にも、玄奘三蔵がくじけることはありません。

そんな玄奘三蔵を支え、孫悟空、沙悟浄、猪八戒も力を合わせて妖怪たちを倒しながら、ピンチに見舞われながら、失敗を重ねながらも西を目指して歩みを進めます。

時には妖怪たちに誘惑され、お互いの友情や信頼関係が崩れたこともありました。玄奘三蔵が妖怪にさらわれたり、悟空に家族を殺されて恨んでいる魔物たちに遭遇したことも。苦難の末、一行はようやく、天竺へと辿りつきます。

お釈迦様から経典を授かった玄奘三蔵は都へ。悟空の頭からあの忌々しい輪っかは消えてなくなり、沙悟浄も猪八戒も晴れて罪を許されることとなったのです。

オススメは?「西遊記」を題材にした小説・TVドラマなど

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次に「西遊記」を是非読んでみたい!という方に、オススメをいくつかご紹介したいと思います。なるべく原作に近いものを読みたい、翻訳本はないの?とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、現代人にもわかりやすく書かれたものもオススメです。

翻訳・小説版「西遊記」のオススメ

まずは小説から。かなりの長丁場になりますが、岩波文庫の『西遊記』(中野美代子訳:全10巻)をオススメします。

三蔵法師のお供をして天竺を目指すところから物語が始まるとお考えの方もいらっしゃると思いますが、実はその前に、孫悟空が大暴れする一幕が結構長めに描かれていて読み応えアリです。

また、猪八戒や沙悟浄についても、単なるカッパとブタではなく、それぞれそんな姿になるまでのストーリーが描かれており、キャラクターがそれぞれ際立っていて楽しめます。

きんとうんで一気に行けないことはないであろう天竺に、あえて苦労を重ねながら旅を続ける三蔵法師一行の姿から学ぶことも多いです。

10巻と聞くと抵抗を感じるかもしれません。あくまで個人的な感想ですが、軽快で読みやすい印象。後半に進むにしたがって現代調でポップな感じでさらっと読めます。大人になってから改めて「西遊記」を知りたい、という方にオススメです。

また「孫悟空が大好き!」という方には、理論社『西遊記』(斉藤洋著)もオススメ。悟空がとにかくカッコイイ!ファンタジーがお好きなら、こちらのほうがハマるかもしれません。

TVドラマ版「西遊記」のオススメ

近年では中国でも「西遊記」のドラマや映画が作られているそうですが、日本ではなんと、1978年に既に日本テレビでドラマ化され放送されています。

孫悟空を演じるのはミスターかくし芸・堺正章。三蔵法師を女優・夏目雅子が演じて話題になりました。特撮技術などまだ確立していない時代に妖怪や妖術シーンを次々と繰り出し、続編が作られるほどの人気に。主題歌となったゴダイゴの『モンキーマジック』も大ヒットしました。

その後も、1993年には本木雅弘と宮沢りえが、1994年には唐沢寿明と牧瀬里穂、2006年には香取慎吾と深津絵里がそれぞれ孫悟空と三蔵法師を好演。特撮技術も加わって、より見応えのある映像作品に仕上がっています。

数々の人気タレントさんが演じて話題になる「西遊記」ですが、機会があれば是非、1978年の堺正章版の孫悟空を見ていただきたい。今見ると、映像の荒さやアナログ感は否めませんが、孫悟空のアクションは秀逸。登場人物たちもみんな愛嬌があり、ドラマの背景に漂う「西遊記愛」を感じることができるはずです。

番外編:ドラゴン・キングダム

「西遊記」といえば中国、中国といえばカンフー……というわけではありませんが、番外編としてオススメしたいのが2008年公開の映画『ドラゴン・キングダム』です。中国の映画スタージャッキー・チェンとジェット・リーが初競演・ダブル主演ということで話題にもなりました。

ジャッキーが孫悟空でジェット・リーが三蔵法師?いえいえ、残念ながら内容は「西遊記」そのものではなく、舞台は現代のアメリカから始まります。ただ「西遊記」ファンの心をくすぐる演出や仕掛けが随所にあるので、理屈抜きで楽しめること請け合いです。

もちろん、アクションシーンも見応えあり。これは言うまでもありません。まるで踊っているかのように息ぴったり・美しいアクションを繰り広げる二大スターの技。エンターテインメントとして楽しめる「西遊記」の世界、是非ご堪能下さい。

読めば誰でも主人公!孫悟空になりきって楽しめ「西遊記」の世界

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とにかく楽しい「西遊記」の世界。翻訳やオマージュ作品は数多く存在しますので、いろいろ見比べてお気に入りを探すのもまた一興です。でも、改めて読み返さなくても、頭の中で自分だけの冒険を描いてみるのもよいかもしれません。結末としては、孫悟空は闘戦勝仏という名前の仏様になるのだそうですが、ファンの心にはやはり、如意棒をかざして筋斗雲を乗り回し、魔物と戦う頼もしい孫悟空が一番しっくりくるものです。

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