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ドストエフスキーVSトルストイ、ロシア2大文豪どっちがスゴイ?違いや背景を分析

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ドストエフスキーとトルストイ、作風の違い

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さて、ここまでロシア2大文豪の生涯をざっくり追ってみました。世はすべからくドストエフスキー派とトルストイ派に分かれがちです。これからロシア文学に手をだそうと思うけど、どれがいいのかな、と思っている方のちょっとでもお役に立てるように、2人の作風の違いを分析していきましょう。「文は人なり」とはよく言われることですが、さて彼らの場合は?

ドストエフスキーは超がつく悪文!

ドストエフスキーは本国ロシアではあんまり好かれていないと言います。ええっあんなに面白いのに!?理由は「悪文」。一部を「カラマーゾフの兄弟」から抜粋してみましょう。クセになるような躍動感ある文章ではあるのですが……。

「ちぇっ、ちぇっ、ちぇっ、ちんぷんかんな寝言とくだらん弁説だよ! お坊さんがたはお好きなことを言っていなされ、わしは御免をこうむりますぜ。ところで、倅のアレクセイは父親の権利で、永久に引き取ってしまいますよ。さあイワン・フョードロヴィッチ、いやさ、わしの尊敬すべき倅や、わしの跡からついて来なよ! フォン・ゾン、なにもおまえだってこんなとこに居残ることはなかろう! さあ、今すぐ町のおれんとこへ来なよ。おれんちはおもしろいぞ! ほんの一露里エルスターそこそこだよ。精進油の代わりに、カーシャを添えた子豚こぶたを出すぜ。いっしょに飯を食おうよ。コニャクも出すし、後からリキュールも出る。苺酒いちござけもあるぜ……。おいフォン・ゾン、せっかくの幸運を取り逃がさんようにしろよ!」
 彼はわめきたてながら、手ぶり身ぶりをしながら駆け出した。

――「カラマゾフの兄弟」中山省三郎訳 https://www.aozora.gr.jp/cards/000363/files/42286_37300.html

一方のトルストイは整った美しい文章です。筆力はドストエフスキーに劣らず、いえ小説の完成度からみれば、ドストエフスキー以上でしょう。なんせドストエフスキーはエンドレスに繰り返す賭博と借金で、次から次へと作品を書き上げざるをえない生活状況。原稿料の前借りで生活していたからです。奥さんに何度も泣きついては小説に取り組んでいました。他にもドストエフスキーの「病的な興奮」とも言えるハイテンションさを表現するのに、この文体しかないという見解もあります。筆者はこのハイテンション文体、大好きなんですけどね。

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女性蔑視バリバリのトルストイ、理由は最悪の「毒妻」?

筆者はトルストイ作品が嫌いです。いえ、読むときは心底感動しスゴイと思って読みます。しかし嫌いです。理由は、すさまじい女性蔑視!繰り返しますが、小説は文句なしにすごいし面白いんです。でも、すごい女性蔑視なんですよ!

例に名短編「クロイツェル・ソナタ」を挙げましょう。美しい短編ですが、最初から最後まで女性を蔑み、結婚を罵倒し、女を害悪だとして侮辱しています。女が読むと心底腹が立つレベル!あんた、何様?と言いたくなるのです。「アンナ・カレーニナ」でも、冒頭で男性の不倫をたしなみと判断し、女性のアンナは最悪の破滅のしかたをさせています。

こんな作風となった理由の1つとして「毒妻」ソフィヤが挙げられるでしょう。嫉妬深く仕事のじゃまばかりしてきて、無理解から自身を圧迫するソフィヤにトルストイは絶望し、最晩年なんと家出、最終的にその家出先の駅舎で亡くなるのです。しかしトルストイはろくろく家に給料も入れず(信条のためと言って印税等の受け取りを拒否していました)、子どもの数はなんと12人!執筆や農作業に没頭して家族を無視する、まるで昭和サラリーマンのようなオヤジだったとも言います……。

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