小説・童話あらすじ

これだけは読んでおきたい!ミステリーの金字塔・横溝正史の名作12選

推理小説はお好きですか?警察小説や探偵ものなど、一口に「推理小説」といっても様々な分野がありますが、独特の世界観を持つ推理小説家といえば、横溝正史は外せないのではないでしょうか。名探偵・金田一耕助を世に送り出し、五千万部以上の人気シリーズに。テレビドラマや映画など映像化も多数。おどろおどろしいホラーのような雰囲気を醸しながらも、奇想天外なトリックがちりばめられていて推理の世界に引き込まれる……。今回はそんな横溝作品の中から、特におすすめのものをピックアップしてご紹介します。

おどろおどろしさの中にキラリと光る名推理~横溝正史の名作の数々

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横溝正史(よこみぞせいし/本名:よこみぞまさし)は兵庫県出身の小説家。1902年生まれ、1981年没。大阪大学(大阪薬学専門学校)を卒業後、出版社に勤めつつ小説を書き始めます。それから79歳でこの世を去るまで、第一線でミステリー小説を書き続けました。代表作・金田一耕助シリーズは何度も映画やテレビドラマ化されているので、世代を問わず今なお多くの人々をひきつけています。数多く残されている著書の中から、おすすめをえりすぐってご紹介いたしましょう。

予言どおりに三人の妹たちが次々と……『獄門島』

『獄門島(ごくもんとう)』は1947年から1948年にかけて雑誌に連載された長編推理小説。終戦後まもない日本、とある孤島で起きた残虐な殺人事件の真相を、名探偵・金田一耕助が解き明かします。

金田一耕助も、捜査にあたった磯川警部も、戦地から帰還し間もない頃。日本中が混沌とした雰囲気の中にあり、この島の周辺にも海賊や復員兵がうろついていました。

そんな中、大網元の鬼頭家という家の、美しいけれど心に病を抱えて奇行が目立つ三姉妹が次々と、しかも奇妙な殺され方をしていきます。事件のヒントは3つの俳句。怪しげな雰囲気が漂う鬼頭の一族の過去をたどりながら、少しずつ真実に近づく金田一。最後の最後まで目が離せません。

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背筋も凍る残虐な殺人と奇想天外なトリック『夜歩く』

同じく「金田一耕助シリーズ」の長編小説。『獄門島』の少し後、1948年から1949年にかけて雑誌に連載されました。

映画化はされていないようですが、テレビドラマとしては、古谷一行や小野寺昭など人気俳優によって幾度となく映像化されています。『獄門島』や『犬神家の一族』ほど知名度はありませんが、ミステリーファンの間では逸品と称される名著です。

この小説は、屋代という名前の売れない小説家の目線(一人称)で綴られています。だからこそ生まれる、違和感やズレ。そこに、事件を解くカギが……。物語中盤で金田一耕助が登場しますが、推理のヒントは思わぬ形で隠されています。

終始おどろおどろしい雰囲気が漂うホラー要素の強い作品。でもしっかりと、謎解き・トリックを堪能することができるはずです。

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「たたりじゃ!」流行語にもなった問題作『八つ墓村』

1949年から1年間、雑誌に連載された長編小説。過去何度も映画やテレビドラマ化されている、金田一シリーズを代表する作品のひとつです。

1977年に渥美清主演で映画化された際のCMのキャッチコピー「八つ墓村のたたりじゃ~」というセリフが子供たちの間で大流行したことでも知られています。

300年以上も昔に、村人たちによって八人の落ち武者が惨殺されたという歴史を持つ八つ墓村。落ち武者は死に際に「七生までこの村に祟ってみせる」と言葉を残しており、それから村人たちは落ち武者の呪いにおびえるようになります。

繰り返される殺戮、かつて落ち武者が隠したといわれる財宝の行方、過去の呪縛に心を閉ざす村の人々……。金田一耕助が事件の真相に迫ります。

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一面の新雪が名探偵の推理を阻む『本陣殺人事件』

金田一耕助シリーズ記念すべき第一作となるのがこちらの『本陣殺人事件』。1946年から8か月ほどの間、雑誌に連載されたものです。

この小説の主軸となるのが「密室殺人」。とある旧家の離れに、前の日に挙式を終えたりの新郎新婦の惨殺死体。降り積もった雪の上には足跡がなく、犯行現場は完全な密室状態でした。しかも、室内には日本刀や琴、三本の指による血痕が付いた金屏風など、奇妙なものが散乱。異様な状況に、発見者の悲鳴が響き渡ります。

新婦の叔父と旧知の仲であった金田一は事件解決のため現場に呼ばれ、調査を開始。磯川警部とともに複雑怪奇な密室トリックの解明に挑みます。

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もはや解説の必要もない超有名小説『犬神家の一族』

『八つ墓村』と双璧を成す人気小説。小説の人気はもちろんのこと、1976年に市川崑監督によって製作された映画(金田一耕助役は石坂浩二)は、日本映画史に残る秀作と言われています。

莫大な財産を残してこの世を去った財界の大物・犬神佐兵衛。遺産は3人の娘に分配されるものと思われました。ところが遺言書には意外なことが。娘たちそれぞれの3人の息子のいずれかが、佐兵衛の恩人の孫にあたる野々宮珠世と結婚することを条件に、すべてを珠世に残すというのです。

佐兵衛の3人の娘たちは、自分の息子を珠世と結婚させようと火花を散らします。そんな中で起きる惨劇。そして犬神家の忌まわしい過去……。朝もや漂う沼の中、Y字開脚状態の死体が発見されるシーンは、映画を見たことのない人でもご存じかもしれません。

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没落華族の屋敷で起きる惨劇『悪魔が来りて笛を吹く』

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こちらも、何度も繰り返し映像化されている人気作のひとつ。1951年から2年間、雑誌に連載されました。

戦後間もない頃、没落貴族の邸宅が舞台です。

文化や芸術には精通していてもお金を稼ぐ術を知らない椿子爵。家が傾きかけていく中、宝石強奪事件の容疑者にされてしまい、失踪してしまいます。山の中で自殺死体が発見されましたが、その後、椿子爵に似た男の目撃情報が。

子爵の娘から相談を受けた金田一。そして椿家で連続殺人事件が起こります。

この物語は、推理やトリックというより、登場人物たちの愛憎劇を読み解くもの。いったい犯人は誰なのか、なぜ殺戮が始まったのか、ぐいぐいと引き込まれる名作です。

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