北欧神話からのオマージュ作品
たくさんありますが、みなさんもご存知だろうというものを紹介しましょう。
〇ニーベルングの指環
ワーグナーが35歳の1848年~61歳の1874年という年月(26年)かけて作られた4部作という大作オペラ。
〇指輪物語
トールキンが北欧神話・ケルト神話の世界をモチーフに書いた長編小説。映画にもなった。
〇アベンジャーズのメンバーであるマイティ・ソーのシリーズ
これは誰もが知っているでしょう。実は最初に見た時に「ソー」なんていう名前なので、トールをモデルにしたヒーローなのかと思っていたんですよね。そうしたらエンディングのクレジットに「トール」。つまりソーはトールの英語読みだったと知って吹き出しました。トールとロキは兄弟になっていて、浅野忠信さんも出ている映画です。
〇進撃の巨人
もう今までの紹介でもわかるように、ユミルから巨人が生まれて、人間は柵の中で巨人から守られて暮らしているという設定はそのままですよね。人間は巨人と戦いますが、その後の話は変わってきますね。
〇ああっ女神様っ
ノルンの3姉妹の女神たちが、さえない大学生が「お助け女神事務所」に間違い電話(実は天上界のシステム「ユグドラシル」の機能が働いた)したことから始まるラブコメディです。
他にもアニメ「聖闘士星矢」のアスガルド編や、オンラインゲーム「ラグナロクオンライン」など色々とありますので、調べてみるのも面白いかもしれませんね。
ラグナロクというのはなに?
簡単に言えば「世界の終末」の話です。
〇古エッダ『巫女の予言』など・「神々の運命」
〇13世紀の詩人スノッリ『エッダ』(通称『新エッダ』)・古エッダ『ロキの口論』・「神々の黄昏」
〇スノッリの『エッダ』・「神々の黄昏」
〇ワーグナー・ Götterdämmerung(ドイツ語訳)・「神々の黄昏」
上3つは綴りが多少違うものの「ラグナロク」と読めますよ。さて、この終末の話はどんな内容なんでしょうか。
事の始まり
北欧神話で光明神と言われていた、ちょっと優柔不断だけども優しくて美形で優しくて公平に裁くことができるという、パーフェクト神の「バルドル」という神がいます。この神様が悪夢を見続けていたことから、豊饒の女神である母親の「フリッグ」が、ありとあらゆる生物・植物・無生物にバルドルを傷つけない契約をさせました。そのために悪夢は見なくなり彼は不死身となったのですね。
そこで本当に死なないのかとバルドルに対して皆で色々な物を投げつけます(ひどい)しかし不死身なので本人は平気で笑っています。これが面白くないロキが、やめておけばいいのに本当にすべてのものと契約したのかを調べました。すると「ヤドリギ」だけがリストからはずれていたのですよ。さっそくロキはバルドルの弟で目が不自由な「ヘズ」にヤドリギを持たせて投げさせました。そのためにバルドルは死んでしまったのですね。
嘆き悲しんだ弟の「ヘルモーズ」は、ロキの娘であり死者の国の女王「ヘル」に生き返らせることを頼みました。ヘルは「すべての者がバルドルのために泣いたら生き返らせてもいい」と答えます。そこですべてのものに頼み泣いてもらったのですが、たったひとり巨人の「セック」だけが泣かなかったので生き返ることができなかったのですよ。しかし、このセックはロキが化けていたのです。そのことがばれて、ロキは地下に繫がれて毒蛇の毒をたらさせるという刑に処せられました。
そして神々の終焉の戦いがはじまりました
光を失った世界では、巨人族のスコール狼が太陽を呑み込み、その兄弟のハティが月を粉砕したために大災害が起きてしまいます。人間の世界ではあらゆる生物が死んでいきました。そして「フィンブルの冬」という、1年中やむことがない雪が降り続けるということになったしまったのですね。
〇巨人族に、1羽目「フィアラル」という赤い雄鶏が、ラグナロクの始まりを告げる。
〇死者達に、2羽目の雄鶏が、ラグナロクが始まりを告げる。
〇神々達に、3羽目の「グリンカムビ」という赤い雄鶏が「終わりの始まり」を告げる。
〇虹の番人のヘイグダムが、ラグナロクが始まったという角笛を吹く。
その時神がしてきた封印や枷は効力がなくなり、鎖で繫がれていたロキやフェンリルは逃げ出します。 海底からもヨルムンガンド、死者を率いてヘルも参戦してきました。ロキ一族が集結して巨人族につき、神々と戦うことになったのですよ。
戦いと、その終末
ロキを大将に、巨人族と死者たちはアスガルドへ進軍していきます。神々もヘイグダムの角笛によってそれに備えていくのでした。ヴァルハラにいた英雄の魂が兵士となった「エインヘリャル」たちを引き連れて先頭に立つのはオーディンですよ。
〇オーディンvsフェンリル・オーディンはフェンリルに飲み込まれて戦死。息子ヴィーダルが仇を討つ。
〇フレイvs炎の巨人スルト・愛剣を召使スキールニルに与えていたために戦死。
〇テュールvsニヴルヘイムの番犬ガルム・相討ち。
〇ヘイムダルvsロキ・相討ち。
〇トールvsヨルムンガルド・トールは勝利するものの蛇の毒で死ぬ。
炎の巨人・スルトの剣によって、すべての世界は焼き払われて、すべてが滅びてしまいました。神々も巨人も小人族もエルフもすべて死滅して、9つの世界は海の底に沈んでしまったのです。
しかし、新しい世界が深い海の底から浮かび上がりました。神々ではバルデルとヘズは復活して、オーディンの息子のヴァーリ・ヴィーザル・トールの息子たちが生き残った神の次世代は、アスガルドがあった被害が及ばなかった「イザヴェル」へと向かいます。人間では唯一焼け残った森で助かった「リーヴ(女性)」と「リーヴスラシル(男性)」が世界を復活させていったのでした。
全ての神が世代交代して蘇るというのは珍しい神話ですね。
北欧神話の世界では人間はとばっちりばかり?
北欧神話では、他の神話と違って人間達は大事に守られていて、神罰とかあまりみかけないかわりに、戦いは完全に神々と巨人族との戦いのとばっちりですよね。そこのところが面白いところかもしれませんね。キリスト教に飲み込まれても十字架をひっくり返したらトールのミョルニルが刻み込まれていたりして、禁止されても大切にされていた神様たちだったのでしょう。1週間の名前の由来も実は、火曜日はチュールの日、水曜日はオーディンの日、木曜日はトールの日、金曜日はフレイ?フレイア?の日ともいわれています。この愛され続けていた神々の話を読んでみたいと思いませんか?
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