【絵画】古典主義・新古典主義の世界！影響を与えた芸術運動との違いも比較しながら解説【画像つき】

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【新古典主義】フランス革命からナポレオン時代にかけて興った芸術運動

By ジャック＝ルイ・ダヴィッド – histoire image: info pic, パブリック・ドメイン, Link

さてみなさん、この絵に見覚えはありますね？新古典主義の画家ダヴィッドの「ベルナール峠からアルプスを越えるナポレオン」です。ということで新古典主義が隆盛を極めたのは18～19世紀（覚えやすくて助かります）。フランス革命の後ナポレオン戦争が巻き起こり、カオスとなったヨーロッパにおいてでした。古典主義の継承として行われた、名前が似ているようでちょっと違うのが「新古典主義」。どんなものでしょう？

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ナポレオンと意気投合！激動の時代を生きた画家・ダヴィッド

By ジャック＝ルイ・ダヴィッド – The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., パブリック・ドメイン, Link

ジャック=ルイ・ダヴィッドはフランス革命期からナポレオン時代に活躍した、新古典主義の御大。ブルボン王朝の斜陽にかけてはバロック様式の他、軽薄で華やかすぎるロココ様式が隆盛で、ダヴィッド自身も一時期まではロココな絵を主に描いていました。しかしローマに渡りルネサンス期の傑作に触れたことで一転、新古典主義――プッサンやラ・トゥールらを継承する絵画世界を作り上げたのです。

ダヴィッドら新古典主義の画家たちが重視したのは、デッサンと形。いかんせんドラマティックさと色彩を重視しすぎてデッサンが変になりがちだったバロック、軽薄な色使いと華やかさ重視のロココへのアンチテーゼとして、しっかりしたデッサン（線）の構築をメインとしたのです。ダヴィッドも、硬派な線と色使いがかっこいいですね。

ダヴィッドは画家として活躍する一方で政治的な運動にも関わり、かのバスティーユ牢獄襲撃事件にも参加する行動派。その後ナポレオンと出会いますが、2人とも夢の都ローマが大好き。それがきっかけでナポレオンと意気投合。なんとダヴィッドはナポレオンから首席画家に任命され爵位も与えられて大出世を果たしたのでした。いくつもナポレオンの肖像画を残している他、教科書に載っているこの絵「ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」もダヴィッドのものです。

ピカソにも影響を与えた！デッサンの巨匠ドミニク・アングル

By ドミニク・アングル – The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., パブリック・ドメイン, Link

ダヴィッドと同時期に活躍したのがドミニク・アングルです。古きをたずねて新しきを知る、という言葉がありますが、アングルはひたすらに古典絵画、特にルネサンス期の巨匠ラファエロを熱心に研究。新古典主義画家らしくデッサンを重視した画家ですが、その緻密な計算、美意識に則った画面構成の仕方がその後の画家に与えた影響は計り知れません。どういうことかと言うと……。

上の「グランド・オダリスク（横たわるオダリスク）」をよく見て変なところを探してみましょう。わかりますか？……よく見ると、胴が異常に長い！この絵の女性は「脊椎骨がふつうの人間より3本多い」と言われています。

デッサンといっても、自然にただ忠実に描くことをせず、魅せたいもの・美意識のために全体を美しく崩すというやり方をつらぬいたのです。これは革新的なことでした。魅せるデッサン重視画家、それがアングル。ピカソらのキュビズムにも影響を与えています。キュビズムは、遠近法を放棄して複雑な視点で画面を構成したり、形態の単純化や形式化を行うという高等技術。ドミニク・アングルのあえて崩したデッサン方法のある種、延長線上にあるものです。子供の落書きじゃないんですよ！

芸術世界は、古典を学び独自の世界を作って前進する！

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どんな芸術運動も古典的な傑作・良作へのリスペクトや、それまでの芸術に対する疑問からはじまります。ルネサンスをただリスペクトをするのではなく、そこから発展し、他の芸術運動の影響もうまく取り入れつつ、新たな世界を作り上げていった古典主義・新古典主義画家たち。すごいですね。この後にはロマン主義絵画が発展し、新古典主義画家たちと激しく対立することになるのですが……それはまた別の記事でご紹介いたしましょう。