フランスヨーロッパの歴史

ドビュッシーの名曲5選。神秘的で癒される曲を紹介します!

#4 同名詩を元にした曲!『前奏曲集第1巻』より第8曲「亜麻色の髪の乙女」

「亜麻色の髪の乙女」は1910年に作曲され、『前奏曲集第1巻』に収録されたドビュッシー後期の作品。ドビュッシーによるピアノのための前奏曲は24曲あり、『前奏曲集第1巻』・『前奏曲集第2巻』(1913年完成)にそれぞれ12曲が入っています。この曲を作った時期のドビュッシーは既に作曲家として有名でした。これらの小品集の発表によって、彼はさらにピアノ曲作曲家として名を馳せることとなったのです。

フランスの詩人、ルコント・ド・リール(1818年~1894年)の詩集『古代詩集』(1852年)に収録された「亜麻色の髪の乙女」という詩。ドビュッシーはこの詩を元にして歌曲を作曲、未発表であったその歌曲をピアノ曲に編曲したと考えられています。詩や絵画を元にした作品がたくさんあるので、文学や芸術に精通していたのですね。詩のなかでは、美しい夏の日に「亜麻色の髪の乙女」がひばりと一緒に歌う様子が描写されています。「亜麻色の髪の乙女」はそんな内容にぴったりの、美しいメロディーが魅力のピアノ曲です。

#5 人形が踊り出す楽しい曲『子供の領分』より第6曲 「ゴリウォーグのケークウォーク」

これまで紹介してきた曲はどちらかといえばゆったりしたものが多かったのですが、「ゴリウォーグのケークウォーク」は弾んだメロディーが特徴的な曲です。この曲が収録された『子供の領分』は1908年に完成。6つの曲から構成される組曲であり、「ゴリウォーグのケークウォーク」はその最後を飾る第6曲に位置しています。ドビュッシーはこの組曲を、娘であるクロード・エマのために作りました。43歳にして、はじめての娘さんだったそうです。

この曲が作曲された当時、絵本に出てくる黒人の男の子のかっこうをした人形が流行。その人形の名前が、「ゴリウォーグ」でした。では「ケークウォーク」は何かというと、黒人の文化で生まれたダンスの名前。また、この頃ヨーロッパにおいてジャズ音楽も聴かれはじめていました。そんなジャズ要素も取り入れられた「ゴリウォーグのケークウォーク」ですが、アーティキュレーション(強弱や音のつなげ方、弾き方などのこと)が非常に細かく指示されています。比較的弾きやすい曲ではあるのですが、楽譜に書いてある指示を再現するのはなかなか難しい。しかし完璧に弾くことができたならば、きっとゴリウォーグが踊る楽しい場面が目の前に浮かんでくるはずです。

ピアノ曲以外にも名作あり

image by iStockphoto

ピアノ曲作曲家としてのイメージが強いかもしれないドビュッシーですが、そのほかにも作品を多数残しているんです。たとえば、管弦楽作品(『海』、『夜想曲』、『牧神の午後への前奏曲』など)から歌曲、フルートによる独奏の『シランクス』という作品まであります。また、完成させたのは1つのみなのですが、オペラの作曲もおこなっていました。有名どころを押さえられたら、あまり知られていない曲のなかでお気に入りのものを見つけてみるのも楽しいと思いますよ。ドビュッシーをあまり聴いたことがなかった、という方はぜひピアノ曲をはじめとした独特の音楽世界を体験してみてください。

1 2
Share: