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第二次世界大戦の前哨戦「スペイン内戦」とは?わかりやすく解説

反乱軍のスペイン上陸

モロッコの政府軍が反乱を起こして始まったスペイン内戦ですが、反乱軍は最初は3日ぐらいで首都を制圧して軍事政権を成立させることができると踏んでいました。しかし、この考えは大きく外れ反乱軍の勢力は反乱軍の援助を決めたポルトガル近くの地域と北東部に限られており、スペインの重要な都市であるマドリードとバルセロナなど人民戦線の領地のままでした。

この反乱軍の誤算がスペイン内戦の泥沼化に繋がっていくことになるのでした。

フランコ将軍の台頭

スペイン内戦といえばフランコ将軍が起こした内乱によるものだと思っている人もいるかと思いますが、スペイン内戦の最初の頃はフランコ将軍はまだ一将軍。当初はモラ将軍とデリャーノ将軍が反乱軍を主導していましたが、フランコ将軍がドイツとイタリアの支援を取り付けるとフランコ将軍の権力が増大。9月にはクーデターを起こして反乱軍の指導者となりました。

ちなみにこれは余談ですがフランコ将軍の呼び方はヒトラーのフューラーやムッソリーニのドゥーチェみたいな形ではなくカウディーリョと呼んだりもします。これはスペイン語で統領という意味。完全にヒトラーとムッソリーニを意識していますね。

人民戦線の内部分裂

こうして反乱軍の方はフランコ将軍が主導権を握りましたが、肝心の人民戦線の方はというと左派特有の内ゲバ問題に悩まされていました。

当時人民戦線の大統領はアサーニャという人がついていましたが、この人は9月に社会党の左派であったカバリェロという人に内閣を組織する命令を出してさらに共産党の人や無政府主義者も入閣させます。

しかし、これで内閣がまとまるはずもなく、内閣は社会党と共産党と無政府主義者で大もめ。無政府主義者は労働者による社会管理を目指していましたが、共産党の方はというとコミンテルンの一員として人民戦線を支えようとしていました。この根本的な差が人民戦線ののちの分裂へと繋がっていきますがこれはまた後ほどということで。

マドリード攻防戦

思わぬところで出鼻をくじかれた反乱軍でしたが、ドイツやイタリアの支援を受けて着実と軍備を整えていったこともありスペイン東部と北部を制圧。着実と首都マドリードへと近づいていき、ドイツ・イタリア空軍はマドリードへの空爆を開始ました。しかし、人民戦線は粘ります。人民戦線側はというと当時共産党の女性指導者であったドロレス=イバルリがマドリードにバリケードと塹壕を展開。

陥落は時間の問題だと国際社会は踏んでいた中人民戦線は2年半も持ちこたえて食糧が不足しても勇敢に戦う彼達に憧れたのか国際旅団によると参加する人が後を絶たず、人民戦線に勇気を与える結果となりました。

人民戦線の反撃とゲルニカ空爆

スペイン全土はおろか首都の制圧も手間取っていた反乱軍。ドイツやイタリアが反乱軍を支援していく中、人民戦線は着実と戦線を整えていき、マドリード近くのグァダラハラという地域ではイタリア軍を人民戦線軍が破るという快挙を成し遂げ、反乱軍の攻勢がどんどん激化。フランコ将軍はマドリードの攻略をしばらくの間取りやめる事を決定してフランコ軍はスペイン北部の工業地帯を制圧して人民戦線軍を降伏に追い込む作戦に打って出ます。

そこでドイツ空軍はスペイン北部のバスク地方に対して無差別爆撃を開始。特にゲルニカという小さな町にはドイツ空軍による猛爆が3時間行われたことによって崩壊。このゲルニカ空爆は世界初の無差別爆撃として世界的な非難を浴びることとなり、スペインの画家であり、この頃亡命生活を送っていたパプロ・ピカソはこの爆撃を非難するというメッセージを込めて大作『ゲルニカ』を描き上げました。

兎にも角にもこの爆撃によって反乱軍はスペイン北部を完全に制圧。反乱軍の攻勢に逆戻りとなりました。

人民戦線の内ゲバ、そして崩壊

スペイン北部の喪失、フランス・イギリスの不参加など様々な不利的な状況であった人民戦線軍。

この頃になると色んな国から国際義勇軍として支援を受けるようになりましたが、それでも軍事大国となったドイツとイタリアの支援を受けた反乱軍には太刀打ちできなくなってしまいます。そうなると必ず起こってしまうのが共産主義国家なら必ず起こってしまう内ゲバという状況となっていき、ソ連の支持を得た共産党と社会党の対立は確実なものとなってしまい、挙げ句の果てにはバルセロナで両派の銃撃戦となって同じ仲間の中て、千人もの死者が出るというもはや内戦どころではないいわゆる内戦の中の内戦となってしまいました。

さらにこれに懲りずにソ連は共産党の基盤を確固たるものとするために社会党の陣営をこれまた共産主義お得意の粛清によって排除。人民戦線軍は一気に崩壊へと突き進んでいくこととなるのでした。

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