メキシコの国旗が意味するものは?国旗から学ぶメキシコの歴史
その国らしさをあらわす国章
メキシコの国旗をみれば、日本の国旗とは大きく違うことが分かります。なんといっても目につくのが、真ん中にある勇ましい鳥の絵柄ですね。国を象徴するこういった絵柄のことを「国章」と言います。国章が国旗にデザインされていると、ずいぶんと格好良くみえますよね。こうした国章から、私たちはその国の歴史や地理的な情報など様々なことを知ることができます。
ではメキシコの国章には何が描かれているのでしょうか。さっそくみていきましょう。
大空を自由にはばたく無敵の王者
国旗には神話のなかの動物や、本当にいる動物、とりわけ鳥の仲間が多く出てきます。旗は、大空に高くかかげるものなので、描き入れる動物も、飛べない動物よりは、鳥の方が合っているのかもしれません。
なかでも多いのは、古くから鳥の王者として崇拝されているワシやタカで、メキシコの旗に描かれているのもワシです。ほかにも、モルドバやカザフスタン、ザンビアなどの国旗にはワシが描かれています。自分たちの国を、大空を自由にはばたく無敵の王者になぞらえているのですね。
ユニークなメキシコの国章
メキシコの国章に描かれているものを1つ1つ上からみていきましょう。
ヘビをくわえたワシ
湖につき出る岩に生えるサボテン
月桂樹のリース
ほかの国の国章と見比べてみると、メキシコのそれはとてもユニークであることに気が付きます。植物が描かれることは多く、月桂樹は様々な国が国章に取り入れていますが、めずらしいのが、サボテンです。メキシコらしさがあらわれているようですね。
また、ワシを国章にとりいれている国は沢山ありますが、何かをくわえている鳥はめずらしく、とりわけヘビをくわえているデザインは、メキシコ以外にはありません。
このデザインは、メキシコ人にとって非常に身近なもので、貨幣やパスポートにも採用されています。
神が導いた繁栄の土地
では、メキシコの国章はなぜ、このような独特なモチーフになったのでしょう。
その秘密は、ある民族の伝説にありました。その民族とは、かの有名なアステカ族です。アステカ帝国の首都はテノチティトランという場所でした。
アステカ族がその場所を都に定めた理由、そこに、国章の秘密が隠されています。アステカ族はもともと、北方をさまよう狩猟民でした。そんな彼らに、軍神ウイツィロポチトリが「ヘビをくわえたワシがサボテンの上におり立っているところに居を定めよ。その土地こそアステカ族が繁栄する約束の地である」というお告げをしたそうです。
このお告げを聞いたアステカ族は、約束の地を求めて移動をはじめました。そして長い旅の果てに、中央高原のテスココ湖のほとりで、大きなワシがサボテンの上に止まってヘビをくわえている光景を目撃し、この場所を約束の地と信じて定住したのです。
そしてアステカ帝国の首都テノチティトラン(サボテンの地)を築きました。スペイン人に征服される前のテノチティトランは、国王の宮殿と巨大な神殿が中心部にそびえ立ち、人口が集中してにぎわう華麗な水上都市であったといいます。
国旗につかわれている色
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次は国旗の色に注目してみましょう。色にはさまざまな種類がありますが、国旗につかわれている色は、数としてはそんなに多くありません。基本は黄・白・赤・青・黒・緑の6色です。この6色があれば、たいていの国旗は描けてしまいます。
同じ色から同じ意味が生まれる
言葉も歴史もまったくちがう国でも、色に対する感じ方には、共通するところがあります。赤やオレンジなどの色は、暖色と呼ばれるようにあたたかいイメージ、青などの色は寒色と呼ばれるようにつめたいイメージがありますよね。そのため、ほとんどの国旗は、同じ色に同じような意味をもたせています。
メキシコの旗につかわれている色は、緑・白・赤の3色です。この3色をつかっている有名な国といえば、イタリア。色の並びも同じなので、メキシコの国旗はイタリアを参考にしている、と思う人もいるかもしれません。しかし、先にこの三色の旗をつかったのはメキシコの方ですし、緑の色もよくみると濃さが違います。ただしどちらの旗も、フランスのトリコロール(三色旗)に影響を受けて作られました。
旗につかわれる色の意味
緑からイメージされるのは、植物ですね。植物に対する人々の気持ちが、緑によってあらわされていることが多く、繁栄、希望、誠実、自由といった意味も、植物のイメージからきていると考えられています。
白は自然界にある、月、雪、氷などのシンボル。その他にも宗教に関係のある信仰心や仏教、神をあらわしたり、平和と正義、純粋、純潔、平等、名誉など、表現するものも多岐にわたります。
赤は自然界にある太陽や火山のシンボル。表現するものには情熱的な意味が多く含まれます。勝利と歓喜、革命、情熱、勇気、団結、愛国心などですね。