日本の歴史江戸時代

江戸幕府ってどんな幕府?一番成功した江戸幕府と当時について徹底解説

江戸幕府が安定していた理由その3身分制度の確立

江戸時代という時代は身分制度がはっきりと分かれていた時代でもありました。今でこそ国民全員がみんな平等となっていますが、江戸幕府では身分を武士、農民、商人、大工の4つの身分に分けていたのです。これをこの4つの身分一文字ずつ使って士農工商と呼んだりしますが、この士農工商が幕府の安定に強く影響を及ぼしたと私は思っています。なぜかというと室町幕府の時は身分がはっきりいていなかったお陰で下克上という下の人が上にのし上がるという戦国時代に入っていく火種となってしまいました。

つまり商人や農民でも武士になれるということ。一見するとロマンがあっていいんじゃない?と思うかもしれませんが政治にロマンなんて必要ありませんので、幕府からしたらめんどくさいだけなんです。さらに戦国時代に入ると浄土真宗と農民が結びついて一向一揆という一揆が各地で発生してしまい、信長を始めさまざまな戦国大名を苦しめる結果となってしまいました。実は江戸幕府を開いた家康も昔三河(愛知県東部)の大名だった時に三河一向一揆という一向一揆に直面してどえらいことになってしまっていたため、息子たちに「農民だけはどうにかしろよ」と伝えてこれがこのような身分制度の確立につながっていったのかもしれません。

 

江戸幕府が安定していた理由その4鎖国

江戸幕府が安定した理由の一つに鎖国体制があったからだと私は思います。鎖国と言ったら日本がオランダや中国以外の国との関係を絶った状態のことを指しますが、皆さんはこの鎖国の制度のせいによって日本の文明は遅れてしまったと思っているかもしれませんし、もしかしたら学校で習ったかもしれません。しかし、この鎖国制度のお陰で日本は外国からの侵略に耐えられたと思います。それには西洋諸国の侵略の仕方にあるのです。

イギリスやフランス、時代は古いですがスペインなどの国々たちは一体どうやって勢力を広げていったというとまず、侵略したい国に潜入してキリスト教を広めます。キリスト教を広めることになるとどうしても国の中で古来からの宗教とキリスト教との対立関係が芽生えていきますよね。あとは簡単です。その古来の宗教を信仰している人が西洋から来たキリスト教宣教師を殺せばこれを口実に侵略することが出来ちゃうのでした。

「えげつな⁉︎」と思うかもしれませんが、スペインなどはこのような手法を使って勢力を拡大していったのでした。これを知っていた日本はキリスト教を日本から徹底的に排除して日本を西洋諸国からの侵略から守ろうとしていました。しかも日本国内でも島原の乱というキリスト教徒の一揆が起こっていますのでこれも一つの原因だったのかもしれません。

江戸時代の幕府と朝廷の関係

江戸幕府の頃の朝廷は日本の歴史の中でも特に影が薄かった時代でした。だって皆さんだってそうでしょ?桓武天皇や聖武天皇のように平安時代や奈良時代などの天皇は小学校の歴史の時間でも習っているメジャーな天皇ですが、東山天皇や後桜町天皇なんで知っている人なんて限られていくかと思います。この東山天皇と後桜町天皇は両者とも江戸時代の頃の天皇なんですが、この時の天皇は禁中並公家諸法度という朝廷専用の法律が存在しており、その権限がかなり制限されていました。

禁中というのは天皇のこと、その並びに公家の諸法度(法律)というふうに分けて考えるとわかりやすいと思いますが、この法律がなかなかやばいもので、まず第1条に「天皇は学問に努めること」という文章があります。これはどういうことかというと「天皇は学問だけやっていりゃいいんだよ‼︎」という風に直すことができるのです。天皇というのは一番偉い存在。そんな存在に対してこのようなことを突きつけたのは恐らく江戸幕府が最初だったと思います。さらに幕府の許可なく紫衣(偉いお坊さんが着る服)を与えることを禁止したり、幕府の相談なく関白や摂政を決めてはいけないなどこれまで天皇がやってきたことのほとんどが幕府を通さなければいけないようになってしまいました。今でも天皇は内閣の許可が降りなければ何もできませんが、この時代の方が厳しかった模様です。

江戸時代の神社仏閣

江戸幕府は神社仏閣に対する意識も怠りませんでした。今でこそお寺などはふつうに僧侶が修行したり、供養したりするようになりましたが、戦国時代や室町幕府の頃になると僧兵といって寺などが独自の支配権を持ち大暴れしていたのです。有名なのが興福寺と比叡山延暦寺と根来寺。室町幕府の頃にはこの3つの寺には手をつけられませんでしたが、戦国時代後期となり信長が比叡山延暦寺を焼いたり、秀吉が刀狩をして武器を没収すると寺の僧侶が大暴れすることはなくなりました。幕府はこれにとどめを刺すかのようにさらに諸宗寺院法度という法律を制定します。

簡単に言ったら寺に対する法律のことですね。この法律では仏道を信じていない「悪い僧侶の追放」から始まり、「徒党を組んで争いを起こすことはダメ」、「本寺末寺制度という区分制度を守り、統制すること」「幕府に従うこと」などこれから先寺が大暴れしなくなるように徹底的に締め付けを行いました。このような努力のおかげで江戸幕府は鎌倉幕府や室町幕府とは違い、争いが起きることもなく、安定した幕府を実現することができたのです。

 

江戸幕府は日本の基礎を固めた幕府

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江戸幕府はこれまでの戦乱の世であった日本を平和で文化的な時代に変えることに尽力していました。そしてその結果、その平和的で文化的な時代はのちの明治時代に大きく影響していくようになるのです。江戸幕府はまさしく日本の原点を作り上げた幕府でした。

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