イソップ寓話の物語と教訓8選!奥深く大切な話から、本当は怖い童話までわかりやすくご紹介!
2-2.欲張らなければ今頃もっと……「ガチョウと黄金のタマゴ」
【あらすじ】
とある貧しい農夫が飼っていたガチョウが、光り輝く黄金のタマゴを産みました。市場に持っていくとそのタマゴは純金で、たいそう高値で売れたのです。その後もガチョウは毎日1個ずつ黄金のタマゴを産んだので、農夫の暮らしは豊かになりました。
だんだん欲が出てきて、1日1個のタマゴでは満足しなくなった農夫は、ガチョウの腹の中に黄金が詰まっているに違いないと考えるようになります。そしてある日、ガチョウの腹を切り裂いて黄金を取り出そうとするのです。しかしガチョウの腹の中には黄金などありませんでした。ガチョウは死んでしまい、農夫は二度と黄金のタマゴを手に入れることができなくなってしまったのです。
【意味・教訓】
本当に大切なものは何なのか、目先のことにとらわれず、長期的な見極めが必要。この物語には現代のビジネスにも通じる教訓が含まれています。
2-3.油断大敵・コツコツと「ウサギとカメ」
【あらすじ】
むかしむかし、ウサギとカメが山のふもとまで競争することになりました。ウサギはどんどん先に進み、カメはのろのろ。勝負にならないとばかりに、ウサギは途中でひとりごろんと居眠り。一方のカメはのろいながらも休まず着実に歩みを進めます。ウサギが目覚めたときには既に時遅し、カメは山のふもとにたどり着いていたのでした。
【意味・教訓】
自分の能力に過信することなく、例え能力が低く技術がなくても気を緩めず着実にコツコツと物事に取り組めば、やがて大きな成果を得る可能性も。油断は大敵であるという教訓が込められている物語です。
また、カメがあまりに遅いため油断したウサギの様子から「競争相手の様子に気を取られてばかりいないで、しっかりとゴールを見据えるべきである」という教訓を得ることもできます。
2-4.どう読むかはあなた次第「王様の耳はロバの耳」
【あらすじ】
むかし、とある国の王様の髪を切るために、床屋がお城に呼ばれました。その王様はなぜかロバのように垂れ下がった耳をしていて、そのことは絶対に秘密にしていたのです。当然、床屋にも強く口止めをします。
とんでもない秘密を抱えてしまった床屋。喋りたくてムズムズ。森の中で「王様の耳はロバの耳」と叫んでストレスを発散していましたが、なぜかこのことが周囲に知れてしまいます。さて王様は?そして床屋の運命やいかに……。
【意味・教訓】
ギリシア神話の「ミダス王」の物語に由来。長く語り継がれてきたこの物語には、複数のアレンジと結末が存在します。余計なことを喋った床屋が処断されるヴァージョンや、カミングアウトして床屋を許したことで王様の耳が元に戻ったケースなど、その結末によって、得られる教訓も変化。「口は災いのもと」と見るか「勇気をもって正直に真実を明かすことで得られる幸福もある」と見るか……。読み方は人それぞれ、ということになるようです。
2-5.サボりの代償は大きい~「アリとキリギリス」
【あらすじ】
ある暑い夏の日、キリギリスは木の下でのんびりバイオリンを弾いてくつろいでいました。一方、アリたちは一生懸命食料を運んで働いています。食べ物はたくさんあるのに、あくせく働くなんてばかばかしい、とアリをあざ笑うキリギリス。やがて寒い冬がやってきます。
キリギリスはずっと遊んでいたので、冬の備えをしていません。アリは夏のうちにしっかり働いていたので、備蓄は万全です。キリギリスは食べ物を分けてもらいにアリの家へ行きました。
【意味・教訓】
この物語の結末には、大きく分けて2つのパターンが存在します。アリがキリギリスに食べ物を分けてよかったよかった、というケースと、キリギリスを軽蔑したアリが食べ物を分けずに冷たく突き放すケース。前者では、キリギリスは改心して働くようになりますが、後者の場合は飢えて死んでしまいます。いずれにしても、計画的に生活することの大切さが教訓となる物語。キリギリスにチャンスを与えるか否か、選ばれる結末は人それぞれ、ということでしょうか。
2-6.ポトンと一つ、ポトンと一つ……「カラスと水差し」
【あらすじ】
長い間飛び続けてのどが渇いていたカラスが、あるところで少しだけ水が入った水差しを見つけました。しかしその水差しは飲み口が細くなっていて、カラスのくちばしでは水を飲むことができません。もうのどはカラカラです。何とかして水差しから水を飲みたいのですが、どうすればよいでしょう。
ふと、カラスの頭に良い方法が浮かびました。近くにあった小石を一つ、また一つと水差しの中に落としていきます。これは名案。石が水差しの底に沈み、水面が少しずつ高くなっていきます。そしてとうとうカラスは水差しから水を飲むことができたのです。
【意味・教訓】
悪役を演じることが多いカラスですが、とても頭の良い鳥であることは周知のとおり。この物語には、そんなカラスを通して、どんな悪い状況でもあきらめず力を尽くすことが大切である、という深い教訓が込められています。
2-7.情けは人のためならず「ネズミの恩がえし」
【あらすじ】
あるとき、ライオンが寝ていると、その体にうっかり駆け上がってきたネズミがいました。ライオンは目を覚まし、ネズミを捕まえます。「どうか助けてください。もし見逃してくださったら、いつか必ず恩返しします」ネズミはそう懇願します。こんな小さなネズミに何ができる?と思いながら、ライオンは気まぐれにネズミを逃がしてやりました。
後日、ライオンは人間が仕掛けた罠にかかって動けなくなってしまいます。呻き声をあげていると、どこからともなくあのネズミが現れ、ライオンの体に巻き付いている縄を鋭い歯で噛み切り始めました。ネズミは見事、ライオンを罠から救出。いつぞやの約束を果たしたのです。
【意味・教訓】
この物語にも、複数の教訓が込められているといわれています。例え小さなことであったとしても、他人への思いやりや施しは、いずれ自分の身に帰ってくるもの、という、ライオン目線の教訓がひとつ。また、ネズミのような弱者がライオンのような強者を助けることもある、というネズミ目線の教訓も。いろいろな見方ができるところも、イソップ寓話の理由であり利点なのかもしれません。