教養豆知識・雑学

脳にもっと栄養を!明日誰かに話したくなる和菓子雑学の世界【9選】

#7 桜餅って地域によって形が違うの?

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「桜餅」とは桜の葉で包んだ和菓子のこと。春の季語にもなっている季節のお菓子ですが、全国的に見ると、地域によって作り方や形に違いがあることをご存知ですか?例外は多々ありますが、関東と関西で桜餅の形式は大きく異なるのです。

関東スタイルでは、薄く焼いた生地で餡をくるみ、桜の葉っぱで包んだ桜餅をよく見かけます。皮の色や包み方は様々ですが、筒状になっているものが多いです。東京・向島にある長命寺(ちょうめいじ)の門前の店が発祥とも言われており、関東風の桜餅を「長命寺桜餅」と呼ぶことがあります。こちらのスタイルの桜餅は、関東・東北・甲信越地方のほかに、島根や鳥取の一部でも見られるそうです。

一方の関西スタイルは、道明寺粉(どうみょうじこ)という荒めのもち米粉を使ったものが主流。水を含ませ蒸らした道明寺粉で餡を包み、桜の葉でくるんで仕上げます。もち米のツブツブした食感が残っているところが特徴です。こちらのスタイルは、関西より西の地域および中部地域を中心に、北海道や東北の一部の地域でもよく作られています。

#8 わらび餅ってわらびが入ってるの?

「わらび餅って何でできてるの?」と聞かれて、すんなり答えられる人は少ないかもしれません。もともとの原材料はずばり「わらび粉」です。わらび粉に水と砂糖を混ぜて火にかけ、ドロドロにしたものを冷まして固めたものを「わらび餅」といいます。

では「わらび粉」とは何なのか?という疑問が残りますが、これもずばり、山菜の「わらび」の根から取り出したでんぷんを使った粉。平安時代の頃から食材として広く使われていました。ただ、わらび粉作りには大変な手間と労力がかかるため、わらび粉で作ったわらび餅は大変贅沢なお菓子でした。

近年では、自生するわらびが非常に少なくなり、わらび粉はさらに高価なものになっています。そのため、一般に流通しているわらび餅は、ジャガイモやタピオカなど他のでんぷんを混ぜたものが主流で、わらび粉100%のわらび餅はなかなかお目にかかれません。わらび粉は他のデンプンに比べると粉臭さがなく、上品な口当たりを楽しめるのだそうです。

#9 お菓子は縄文時代からあったって本当?

日本には、いつ頃からお菓子があったのでしょうか。

奈良時代に成立した、現存する日本最古の歴史書『日本書紀』に、神武天皇の時代に「水無飴」というものを作ったという記録が残されています。これは、米を発酵させて作り出した糖質が醸し出す甘さを利用したもの。この記述の時代がいつ頃なのかは不明ですが、神話の時代には既に、日本人は甘味に力を尽くしていたのです。

また、日本には古くから「甘葛(あまづら)」といツタ植物があり、貴重な甘味料として重宝されていました。砂糖は8世紀頃には中国大陸から伝わっていたと考えられていますが、まだまだ一般に流通してはいませんでした。米から作った水飴と甘葛は、長い間日本の甘味文化を支える素材として注目されていたのです。

甘味の歴史はさらに古い時代まで遡ることができます。日本各地、主に東日本地域に分布する縄文時代の遺跡から、植物の根や果実から取り出したデンプン質と思われる成分(炭化したもの)が見つかっているのです。それは現代のパンやクッキーのように粉を練って焼いたものではなかったかと考えられています。甘味を求める思いは、1万年前も現代も変わっていないのかもしれません。

名前の由来を知ればもっと美味しい!優しい甘さの和菓子雑学

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クリームたっぷりのショートケーキやクッキーもいいけれど、デザートはやっぱり和菓子が落ち着く!という人も多いと思います。砂糖は奈良時代に中国大陸から伝来したものと考えられており、当時は大変貴重なものでした。そんな時代からずっと、日本人は甘いものを求めて様々な菓子作りに知恵を絞ってきたのです。ちょっと不思議な名前がさりげなくついているのも、そんな歴史を持つ和菓子ならではなのかもしれません。

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